それは絶対になにか危ない電波だよ
「お前達の姉妹仲は確かに認めよう。だが、それでも俺達の兄妹仲には敵わないと言わざるをえないな!」
「なんですって…っ!」
煽る恭介と、怒りに顔を歪ませる佳奈多さん。
「って話が変わってない?どっちの妹が可愛いかでしょ?」
「違うわ直枝。いくら妹が可愛くても兄や姉がダメでは話にならないの。だから今まで棗さんも葉留佳もクラスでの評判がいまひとつだったのよ」
「そうなんだ…」
余計なことは言ってはいけない空気だった。だから言わない。
「でも葉留佳さんが佳奈多さんを好きなのは」
「訂正しなさい。好きじゃなく大好きなのよ」
「あ、はい。えと、なんだっけ」
「葉留佳が私を愛しているのはわかるけど、と言ったわね」
「え?…あ、うん、それでいいや。でね、僕らは鈴が恭介を信頼してるの知ってるけど客観的に見てるとわかりにくいよね」
「「…はぁ」」
うわ、これだから一人っ子はと言わんばかりの顔で二人が肩を竦めてる!なんか腹立つなぁ。
「これだから直枝は…」
言われた!
「十年来の幼馴染みとして恥ずかしいぞ理樹」
僕の方が恥ずかしいからね。それといいかげん机から降りてきなよ恭介。
「察します、棗先輩」
「サンキュ、二木」
「…で、どうなのさ?」
思ったよりも低い声が出た。どうも自分で思っているよりも僕は不機嫌らしく…
「す、すまん理樹。ちょっと悪ふざけが過ぎた」
「えぇ、私達が悪かったわ。だからその顔はやめてくれない?」
恭介はおろか佳奈多さんまで謝ってきた。
「本当にそう思ってる?って、その顔やめてってもしかして喧嘩売ってる?」
僕は『その顔』で佳奈多さんを睨んだ。
「ち、違うわよ!」
実は葉留佳さんなんじゃない?ってくらいに佳奈多さんが狼狽する。
「落ち着け理樹!今のお前は本気の真人も謙吾も来ヶ谷でさえも謝りそうな迫力があるぞ!?」
「お、お茶にしましょ!クドリャフカと神北さんから良いお茶とお菓子を貰ったのよ!」
「ナイスだ二木!な?理樹、お茶にしようぜ?」
佳奈多さんらしからぬ提案に同意する恭介。
「…うん」
珍しい二人を見れたことだし、僕は提案を受けることにした。
「「ほっ…」」
―――
そして急遽開催された放課後ティータイム。
「…でだな。説明するが、理樹はツンデレ知ってるよな?」
「そんな当たり前のように聞かないでよ。なんとなく、ニュアンス程度しか知らないよ」
この幼馴染みは自分のオタク知識を一般常識と捕らえているのかもしれない。
「それで大丈夫だ。結論を言えばだ、鈴はツンデレなんだ」
・・・・・・
「は?いや、え?」
「そんなに難解な事を俺は言ったか?」
「いや、えと…鈴が、ツンデレ?」
「あぁ」
「そうだったの?」
知らなかった…
「長年幼馴染みでいながら気がつかなかったの?」
佳奈多さんの目が以前の委員長モードに!?
「私はあなた達がはしゃいでるのを棗さんがハイキックで止めたのを見た時に気がついたわよ」
「いやいや、のんきに観戦してないでよ」
まぁ、ある意味暴力沙汰だから本気で介入されたら困るけど。
「棗さんはね、自分を悪役にしてでも騒いでるあなた達を、迷惑に成り兼ねないくらいに騒いでる棗先輩を止めたのよ」
・・・なんだって?
「普段ぶっきらぼうなのは照れ屋で、どう感情を表現すればいいのかわからないだけ。本当は棗先輩が大好きなのよ。だから棗先輩に悪評が立たないようにああいう手段に出たのよ」
「えー…」
どう解釈すればそうなっちゃうのさ?あれは本当にうるさいから怒ってただけじゃ…
「…っ!鈴っ!」
「って恭介!?」
泣いてるーっ!?
「おっと…鈴の秘めた想いを感じとって涙が出てきちまったぜ」
…それは絶対になにか危ない電波だよ。言える空気じゃないけど。
「さすが棗先輩ね」
「って認めちゃってるよこの人っ!?」
互いに高め合うライバルを称賛するように誇らしげに笑う佳奈多さん…違うよ!佳奈多さんはこんな人じゃなかったよ!
「以前は辛かったわ。本当は棗先輩と一緒に妹を語り合いたかったのにそれが許されなくて」
「この話と家の話は同じレベルなんだっ?」
なんだろう…佳奈多さんが遠く感じる。
「自分の属性がツンデレだったことがあれほど役立ったことはないわ」
「あれツンデレだったんだ!?」
怒られたり鼻で笑われたり罵倒されてばっかりの記憶が…ツンに比重置きすぎだよ。
「ナイスツンデレ!」
親指を立てる恭介と
「さんくゆー」
何故かクドいんぐりっしゅな佳奈多さん。
僕の中で二木佳奈多という言葉の意味が崩壊し再構成され…そうになってまた崩壊する。そろそろ僕の中で二木佳奈多がゲシュタルト崩壊し、宇宙の法則が乱れてしまいそうだ。
…さすがは葉留佳さんの姉ということか。
「じ、じゃあ、恭介から見て葉留佳さんは?」
耐えられなくなりそうだった僕は話題転換の為にに恭介に強引に話を振ってみた。
「三枝か…真人を馬鹿と評するなら、あいつは馬鹿になれる奴、だな」
「馬鹿になれる?」
「あぁ。敢えて空気を読まずに道化を演じ、俺達を癒してくれる存在。さすがは二木の妹だな」
と、朗らかに笑う恭介だけど…
「じゃあ普段から計算してあんないたずらとかしてるの?」
「いや、普段のはもう二木を振り向かせたくてしていたのが染み付いたんだろうな。二木を理性とするならあいつは本能、本能で察して行動しているんだ」
本能って…
「さすが棗先輩ね。そこまでわかるなんて」
「って否定しないんだ!?」
佳奈多さんまで朗らかに笑ってる…そこは笑うとこじゃ無い気がする僕が間違ってる?
「日本人は空気を読むことと流れにのるのが美徳と思われているけれど、あの子はそんな常識すら壊す先進的な妹なのよ」
先進的と言うよりも前衛的なんだと思う。と言うか絶対に普段はそんなこと考えてないよ葉留佳さんは…喉元まで出かかっているツッコミを僕は空気を読んで飲み込む。
「葉留佳さんがルールブレイカーなら佳奈多さんはイマジンブレイカーだよね」
あ、言っちゃった!?
「…直枝」
「は、はいっ!?」
佳奈多さんの目がまた委員長モード!?
「まさかこんな時にFat○ととある魔術○インデックスからネタを持ってくるなんて、中々やるじゃない」
「ぅえっ!?」
変な声出た!じゃなくて認められた!?
「さすが理樹だな。オレの笑いは伝染する[ツッコミの病原菌]とはよく言ったもんだな」
「いやいやいや!それ僕じゃないからっ!ハル○ちゃんのキ○ンだから!」
って…
「話変わってるからっ!」
「ネタを振ってきたのあなたじゃない」
「う…ごめんなさい」
そんなつもりじゃなかったのに…
「理樹…オタクは恥ずかしくなんかないぞ。鉄道オタクにアイドルオタクに二次オタ…好きなものは好きだからしょうがないんだ」
「…好きし○ですか?本当手広いですね」
「西園が俺そっくりの声の声優が出てるって言うからつまみ食いさ。それほど詳しくない」
「な、なんの話?」
「可愛い男とイケメン男子しか存在しないファンタジー世界の話だ」
西園さんの好物の話か。
「安心しなさい。ホモの嫌いな女子はいないと偉い人は言ったけれど、私は西園さんほど好きじゃないから」
決して嫌いとは言わない佳奈多さんに僕は少し不安になった。
「だってマリア様が見てるかも知れないでしょ?」
「は?マリア様?」
突然なんの話?
「マリ○てか。あれのおかげで俺は女子校に多大な幻想を抱くようになっちまったぜ」
「私も…もしここにスール制度があったら…」
「よくわかんないけどまた話変わってるよね?」
「そうでもないぞ。スール制度ってのは上級生が姉のように妹、この場合下級生を教え導いていくことだからな。ほら、妹の話だろ?」
えー?そうなのかな…
「私、どうにも下級○のヒロインは苦手で」
「…そのネタは危険過ぎるぞ」
「その話は絶対に関係ないよねっ!」
ディスク割られたって知らないからねっ!
「で、結局お互いの妹の話をした感想は?」
僕は強引に話を本筋に戻した…合ってるよね?この話だよね?
「聞くまでもないわ」
「だな」
「「うちの妹の方が可愛いっ!!」」
―放課後ティータイムの結論。
相手や相手の妹を褒めることの出来る二人だけど…
「何を言っているの?大丈夫ですか?棗先輩」
「お前こそ大丈夫か?取り敢えず眼科に行って視力検査してこいよ」
「棗先輩こそ、精神科に行ってカウンセリングしてもらうべきです」
自分の妹が一番ということだけはどうあっても譲れないことらしくて。
「上等だ!勝負だ二木!お前に鈴がどれだけ最高の妹か教えてやるぜ!」
「望むところです。葉留佳こそが最高の妹だと教えてあげます」
「って二人とも!?」
なんだか大変なことになりそうな予感が…
「なんですって…っ!」
煽る恭介と、怒りに顔を歪ませる佳奈多さん。
「って話が変わってない?どっちの妹が可愛いかでしょ?」
「違うわ直枝。いくら妹が可愛くても兄や姉がダメでは話にならないの。だから今まで棗さんも葉留佳もクラスでの評判がいまひとつだったのよ」
「そうなんだ…」
余計なことは言ってはいけない空気だった。だから言わない。
「でも葉留佳さんが佳奈多さんを好きなのは」
「訂正しなさい。好きじゃなく大好きなのよ」
「あ、はい。えと、なんだっけ」
「葉留佳が私を愛しているのはわかるけど、と言ったわね」
「え?…あ、うん、それでいいや。でね、僕らは鈴が恭介を信頼してるの知ってるけど客観的に見てるとわかりにくいよね」
「「…はぁ」」
うわ、これだから一人っ子はと言わんばかりの顔で二人が肩を竦めてる!なんか腹立つなぁ。
「これだから直枝は…」
言われた!
「十年来の幼馴染みとして恥ずかしいぞ理樹」
僕の方が恥ずかしいからね。それといいかげん机から降りてきなよ恭介。
「察します、棗先輩」
「サンキュ、二木」
「…で、どうなのさ?」
思ったよりも低い声が出た。どうも自分で思っているよりも僕は不機嫌らしく…
「す、すまん理樹。ちょっと悪ふざけが過ぎた」
「えぇ、私達が悪かったわ。だからその顔はやめてくれない?」
恭介はおろか佳奈多さんまで謝ってきた。
「本当にそう思ってる?って、その顔やめてってもしかして喧嘩売ってる?」
僕は『その顔』で佳奈多さんを睨んだ。
「ち、違うわよ!」
実は葉留佳さんなんじゃない?ってくらいに佳奈多さんが狼狽する。
「落ち着け理樹!今のお前は本気の真人も謙吾も来ヶ谷でさえも謝りそうな迫力があるぞ!?」
「お、お茶にしましょ!クドリャフカと神北さんから良いお茶とお菓子を貰ったのよ!」
「ナイスだ二木!な?理樹、お茶にしようぜ?」
佳奈多さんらしからぬ提案に同意する恭介。
「…うん」
珍しい二人を見れたことだし、僕は提案を受けることにした。
「「ほっ…」」
―――
そして急遽開催された放課後ティータイム。
「…でだな。説明するが、理樹はツンデレ知ってるよな?」
「そんな当たり前のように聞かないでよ。なんとなく、ニュアンス程度しか知らないよ」
この幼馴染みは自分のオタク知識を一般常識と捕らえているのかもしれない。
「それで大丈夫だ。結論を言えばだ、鈴はツンデレなんだ」
・・・・・・
「は?いや、え?」
「そんなに難解な事を俺は言ったか?」
「いや、えと…鈴が、ツンデレ?」
「あぁ」
「そうだったの?」
知らなかった…
「長年幼馴染みでいながら気がつかなかったの?」
佳奈多さんの目が以前の委員長モードに!?
「私はあなた達がはしゃいでるのを棗さんがハイキックで止めたのを見た時に気がついたわよ」
「いやいや、のんきに観戦してないでよ」
まぁ、ある意味暴力沙汰だから本気で介入されたら困るけど。
「棗さんはね、自分を悪役にしてでも騒いでるあなた達を、迷惑に成り兼ねないくらいに騒いでる棗先輩を止めたのよ」
・・・なんだって?
「普段ぶっきらぼうなのは照れ屋で、どう感情を表現すればいいのかわからないだけ。本当は棗先輩が大好きなのよ。だから棗先輩に悪評が立たないようにああいう手段に出たのよ」
「えー…」
どう解釈すればそうなっちゃうのさ?あれは本当にうるさいから怒ってただけじゃ…
「…っ!鈴っ!」
「って恭介!?」
泣いてるーっ!?
「おっと…鈴の秘めた想いを感じとって涙が出てきちまったぜ」
…それは絶対になにか危ない電波だよ。言える空気じゃないけど。
「さすが棗先輩ね」
「って認めちゃってるよこの人っ!?」
互いに高め合うライバルを称賛するように誇らしげに笑う佳奈多さん…違うよ!佳奈多さんはこんな人じゃなかったよ!
「以前は辛かったわ。本当は棗先輩と一緒に妹を語り合いたかったのにそれが許されなくて」
「この話と家の話は同じレベルなんだっ?」
なんだろう…佳奈多さんが遠く感じる。
「自分の属性がツンデレだったことがあれほど役立ったことはないわ」
「あれツンデレだったんだ!?」
怒られたり鼻で笑われたり罵倒されてばっかりの記憶が…ツンに比重置きすぎだよ。
「ナイスツンデレ!」
親指を立てる恭介と
「さんくゆー」
何故かクドいんぐりっしゅな佳奈多さん。
僕の中で二木佳奈多という言葉の意味が崩壊し再構成され…そうになってまた崩壊する。そろそろ僕の中で二木佳奈多がゲシュタルト崩壊し、宇宙の法則が乱れてしまいそうだ。
…さすがは葉留佳さんの姉ということか。
「じ、じゃあ、恭介から見て葉留佳さんは?」
耐えられなくなりそうだった僕は話題転換の為にに恭介に強引に話を振ってみた。
「三枝か…真人を馬鹿と評するなら、あいつは馬鹿になれる奴、だな」
「馬鹿になれる?」
「あぁ。敢えて空気を読まずに道化を演じ、俺達を癒してくれる存在。さすがは二木の妹だな」
と、朗らかに笑う恭介だけど…
「じゃあ普段から計算してあんないたずらとかしてるの?」
「いや、普段のはもう二木を振り向かせたくてしていたのが染み付いたんだろうな。二木を理性とするならあいつは本能、本能で察して行動しているんだ」
本能って…
「さすが棗先輩ね。そこまでわかるなんて」
「って否定しないんだ!?」
佳奈多さんまで朗らかに笑ってる…そこは笑うとこじゃ無い気がする僕が間違ってる?
「日本人は空気を読むことと流れにのるのが美徳と思われているけれど、あの子はそんな常識すら壊す先進的な妹なのよ」
先進的と言うよりも前衛的なんだと思う。と言うか絶対に普段はそんなこと考えてないよ葉留佳さんは…喉元まで出かかっているツッコミを僕は空気を読んで飲み込む。
「葉留佳さんがルールブレイカーなら佳奈多さんはイマジンブレイカーだよね」
あ、言っちゃった!?
「…直枝」
「は、はいっ!?」
佳奈多さんの目がまた委員長モード!?
「まさかこんな時にFat○ととある魔術○インデックスからネタを持ってくるなんて、中々やるじゃない」
「ぅえっ!?」
変な声出た!じゃなくて認められた!?
「さすが理樹だな。オレの笑いは伝染する[ツッコミの病原菌]とはよく言ったもんだな」
「いやいやいや!それ僕じゃないからっ!ハル○ちゃんのキ○ンだから!」
って…
「話変わってるからっ!」
「ネタを振ってきたのあなたじゃない」
「う…ごめんなさい」
そんなつもりじゃなかったのに…
「理樹…オタクは恥ずかしくなんかないぞ。鉄道オタクにアイドルオタクに二次オタ…好きなものは好きだからしょうがないんだ」
「…好きし○ですか?本当手広いですね」
「西園が俺そっくりの声の声優が出てるって言うからつまみ食いさ。それほど詳しくない」
「な、なんの話?」
「可愛い男とイケメン男子しか存在しないファンタジー世界の話だ」
西園さんの好物の話か。
「安心しなさい。ホモの嫌いな女子はいないと偉い人は言ったけれど、私は西園さんほど好きじゃないから」
決して嫌いとは言わない佳奈多さんに僕は少し不安になった。
「だってマリア様が見てるかも知れないでしょ?」
「は?マリア様?」
突然なんの話?
「マリ○てか。あれのおかげで俺は女子校に多大な幻想を抱くようになっちまったぜ」
「私も…もしここにスール制度があったら…」
「よくわかんないけどまた話変わってるよね?」
「そうでもないぞ。スール制度ってのは上級生が姉のように妹、この場合下級生を教え導いていくことだからな。ほら、妹の話だろ?」
えー?そうなのかな…
「私、どうにも下級○のヒロインは苦手で」
「…そのネタは危険過ぎるぞ」
「その話は絶対に関係ないよねっ!」
ディスク割られたって知らないからねっ!
「で、結局お互いの妹の話をした感想は?」
僕は強引に話を本筋に戻した…合ってるよね?この話だよね?
「聞くまでもないわ」
「だな」
「「うちの妹の方が可愛いっ!!」」
―放課後ティータイムの結論。
相手や相手の妹を褒めることの出来る二人だけど…
「何を言っているの?大丈夫ですか?棗先輩」
「お前こそ大丈夫か?取り敢えず眼科に行って視力検査してこいよ」
「棗先輩こそ、精神科に行ってカウンセリングしてもらうべきです」
自分の妹が一番ということだけはどうあっても譲れないことらしくて。
「上等だ!勝負だ二木!お前に鈴がどれだけ最高の妹か教えてやるぜ!」
「望むところです。葉留佳こそが最高の妹だと教えてあげます」
「って二人とも!?」
なんだか大変なことになりそうな予感が…
09/10/15 14:49更新 / ナハト