メーデー
原作 ゆりさん 文章 ナハト 『メーデー』 ――― 暗い部屋に一人。 時計が時を刻む音。 カタカタとキーボードを叩く音。 カチカチとマウスをクリックする音。 スピーカーからは人気アニメの主題歌が流れる。 部屋をともすのはパソコンのモニターの明かりのみ。 それが俺の世界だった。 それだけが俺の世界だった。 引きこもり…そういうやつだ。 そうなった原因なんか覚えていない。 原因なんかないのかもしれない。 …最初はたしか、吐き気だった。 それまで家を出ていた時間になると吐き気を催し…吐いた。 それが何日も続き、親に街一番の病院へ連れていかれた。 自律神経失調症。 俺は病気らしかった。 母は無理することはないと、学校を休むことを認めてくれた。 父は厳しい人で、中々認めてくれない人だった。一度、それで大喧嘩をした。生まれて初めてのことだった。 『俺だって…学校に行きたい…でも…行けないんだよ!時間になったら体が震えて…足がすくんで…気持ち悪くて…なんなんだよ!どうして俺がこんな目にあわなきゃならないんだよっ!!教えてくれよ父さん!…頼むから…助けてくれよ…』 俺はその日、初めて父の前で泣いた。 週に一度、俺は病院でカウンセリングを受けている。 無縁だから知らなかったが、他にも所謂不登校児童の為の施設は色々あるらしい。 ― この話は、そんな俺が経験した不思議な話と引きこもりからの脱出…そして大事な人との出会いを綴ったものである。 | ||||||||||||
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