あいさかけ 番外5 『それは舞い散る○○のように』
某喫茶店。
マーシュ:はぁ…
三原:呼び出しておいていきなり溜息か?良い度胸だな
マーシュ:…あぁ、来てたのか。いや、さ
三原:なんだ?
マーシュ:実は…
マーシュの向かいに座る男、名を三原色(みはら・しき)。
他称『マーシュの相方兼恋人』である。
他称…である。
―
では誰がそう呼んでいるのだろうか?
それは…
ヒメ:ふっふっふ…まさかまさか、だね。あれに見えるは三原っちとマーシュぢゃんw
百合にBL、女装に男の娘が大好きなヒメ。
アキ:ですね。こんな時間から逢い引きでもしてるんでしょうか?
可愛いものは全て手に入れる…ヒメの後輩アキ。
楠:あ、逢い引き…//
ヒメのメイド(見習い)のボクっ娘、楠。
ヒメ:事実関係なんか二の次だ!今大事なのは…ボクらが楽しめるかどうかである!
合言葉は『自分に素直であれ』である。
アキ:その通りです。むしろこれを既成事実にしてしまう勢いで二人を見守りましょう
それはすでに見守るの範疇ではないのでは?
ヒメ:見守ろう!
楠:見守りまくりましょう!
アキ:いざ…!
そして、彼女達は熱い(ある意味で薄ら寒い)視線を男達に向けた。
…道の真ん中で。
―
マーシュ:俺、上手くやってく自信がないんだ。先輩達の友達に会ったんだけど…濃い人達ばっかりでさ…
三原:…そんなことか
マーシュ:む…お前から見たらつまらない悩みかもしれないけどさ…!
三原:確かにつまらない悩みだ。だってそうだろ?お前、お前が思うほどキャラ薄くないぞ?
マーシュ:…それはそれで複雑だな
三原:我が儘だな、お前
―
ヒメ:むむむ…
楠:何を喋ってるのか、よく聞こえないよ…
店の外にいるのだから当然である。
アキ:任せて。実は私、読唇術が使える
なんですと!?
楠:独身術?
ヒメ:そうそう、一人で生きて行く為の術でね、これさえ覚えれば一生独身でも大丈夫…って嫌だよ!結婚したいよ!一生独り身なんて嫌だよ!
楠のボケにノリツッコミをしたヒメ…だが、どこか切実だった。
アキ:唇を読む読唇術ですよ。心を読む読心術でも独り身の独身術でもありません
最後はともかく、アキさん(通称アキ姉さん)はただ者ではない。
ヒメ:だよね―w
―
先程のシーンをアキさんが訳してみました。
マーシュ:俺、自信がないんだよ…お前を幸せにする自信が…
三原:…そんなことか
マーシュ:む…お前から見たらつまらない悩みかもしれないけどさ…!
三原:確かにつまらない悩みだ。だってそうだろ?俺はお前といられるだけで幸せなんだからな
マーシュ:…恥ずかしい奴だな、お前//
三原:愛してるぜ、マーシュ
…先程のシーンをアキさんが(自分達に都合よく)訳してみました。
―
ヒメ:きゃーん//
楠:す、凄い…
アキ:これはもう結婚式直行コースですね
大盛り上がりである。
―
そんな彼女達を遠目に見る影があった。
スイ:なに…やってんだろうね…アレは…
ナハト:腐の嗜み…ってやつじゃないのか…?
あまりの三人のテンションに、さしものスイも引き気味だった。
―
ヒメ:あ!ねぇ、こんなのはどうかな?
ヒメの挑戦が始まる!
―
ヒメVersion。
マーシュ:俺達、出会って何年経ったかな?
三原:…くだらないな
マーシュ:む…くだらないとはなんだよ!俺達…
三原:そうだろ?何年経っても俺達は一緒だ。俺はお前を逃がさない
マーシュ:…三原
三原:お前を幸せにしてやれるのは俺だけだ
―
アキ:…アリですね
楠:うんうん//
若さとは振り向かないこと、愛とは躊躇わないこと、そして妄想とは留まらないことである。
―
榛希:…凄いな。あの三人が怪し過ぎて誰も近寄らないぞ、あの一角
時流:本当ね…
さらに別の影が彼女達を見ている。
この二人ですら戦慄し、近づこうとはしなかったのだが。
―
マーシュ:なぁ?
三原:ん?
マーシュ:なんか、背中がゾクゾクする視線を感じないか?
三原:…あぁ
むしろ、物理的な威力を持っていそうである。
マーシュ:お前、なんかしたんじゃないのか?
三原:存在するという大罪を犯すお前が言うな
マーシュ:俺の存在そのものが罪だと!?
三原:何を今更…
気のおけない友人という奴は容赦がない。
―
楠:危ない危ない…
ヒメ:バレるかと思った
バレてないのが奇跡だと気づいてほしい。
アキ:大丈夫ですよ。それよりも…
ヒメ:んぁ?
アキ:いえ…楠さんもいかがですか?やってみると楽しいですよ
楠:…うん、やってみる
楠のターン!
―
楠の出番!
マーシュ:なぁ?
三原:ん?
マーシュ:俺達…そろそろ一緒にならないか?
三原:…あぁ
マーシュ:三原…いや、色。俺の全てを受け取ってほしい
三原:お前の存在全てを受け入れる。今からお前は俺のものだ
マーシュ:俺はずっとお前のものだったさ…知ってるだろ?
三原:あぁ…そうだな
―
楠:…なんてのはどう?
楠は上目づかいで親愛の姉達を見た。
ヒメ:…ふっふっふ、腕を上げたじゃん、スノ
ヒメは嬉しそうに頷く。
楠:お嬢様に褒められるなんて…嬉しいです♪
アキ:ふふ、さすがは楠さんですね。あぁ…食べてしまいたいくらい魅力的ですよ
…?雲行きが…
楠:そんな…//
アキ:むしろ食べます。ヒメさんも。というか、可愛い女の子はみんな私のです
アキさんの暴走。
時流:待ちなさい。聞き捨てならないわね
ここで時流お姉さんキタ━━━(゜∀゜)━━━!!
アキ:相坂…時流…!
何故か憎々しげなアキ姉さんである。
時流:このあたしを差し置いてよくもまあ…恥を知りなさい
こっちはこっちで何を言っているのか。
アキ:ふん…何故貴女の許可がいるんです?
時流:決まってるわ。この世の可愛いものは全てこのあたし、相坂時流のものだからよ!
アキ:…!
たからかに宣言する時流お姉さんと、許すまじと睨むアキ姉さん。
似たキャラは必要ないとばかりに高まる殺気。
スイ:はいはい、落ち着いてね、二人とも。あんまり馬鹿騒ぎするなら地下室でお仕置きされちゃうからね
そこに現れたのは、別方向にいたスイであった。
アキ:望むところっ
マジパネェ。
スイ:望んじゃうの!?
スイさんも驚きだ。
時流:ちなみに待ち受けてるのは笑夢姉さんとニャハトからのお説教
アキ:ナハトさんなんかくたばればいいのに
楠:ナハトくたばれー
容赦なかった。
ナハト:突然巻き込まれ、しかもこの扱い…
何気にデリケートなナハトは傷ついている!
ヒメ:ってアレ!?なんで皆がいるの!?
スイ:ヒメちゃん今気がついたの!?
ヒメはたまにスイの予測を超えることがある。
榛希:騒ぎすぎだ。だから俺達にも気がつかないし、周りの視線にも無頓着になる
ちなみに、現在注目の的である。
ヒメ:そうかな…?
何故気づかないのか?
ナハト:というか、いいのか?あいつら逃げたぞ
騒ぎに気がついたのか、マーシュと三原の姿はもうなかった。
ヒメ:なにーっ!?
アキ:ぬかりました!
楠:追わないと!!
三人は姦しく騒ぎながら、彼女達にとってのフロンティアを追った。
―
ナハト:…いやぁ
スイ:凄いねぇ…w
時流:濃い〜わね〜w
榛希:奴らも災難だなw
四人は、追われる男達に同情した。
―
三原:…なんだったんだ、いったい
マーシュ:俺も驚いた…
見目麗しい乙女達(腐)が自分達を見て、ハァハァしていたらそれは驚くだろう。
三原:お前、友人は選んだ方がいいぞ
マーシュ:いや、良い人達なんだよ…うん…きっと…
自信がなくなりかける、マーシュなのでしたー。
10/08/04 22:57更新 / ナハト