もしも、TJがギャルゲーになったら(体験版)
ショタ:
やばいやばい!転校初日から遅刻とか、それなんてギャルゲ?
僕の名前はショタ。今日から私立TJ学園に転入…なんだけど、緊張してあんまり眠れなくて、遅刻寸前!
パンをくわえて全力疾走してる真っ最中!
ショタ:
転校初日で遅刻…恥ずかしすぎる!!
陸上で鍛えたこの脚力、今活かさずしていつ活かす!
ショタ:
どりゃーっ!って!?
曲がり角から人が!よけきれな
???:
っ!?
ショタ:
くっ!
僕はその人…あ、女の子だw…にぶつか
???:
なめるなぁっ!
ショタ:
えー!?
る直前、その子は一歩分下がり…僕は何事もなく通り過ぎた。
ショタ:
フラグが逃げた!?
???:
フラグ逃した!?
どうやら、向こうも同じように思ったらしい。
仲良くなれそうだ。
とは言え、それを確認するには時間が…
???:
待って、ボクのフラグ!
追 っ て き て る 。
???:
逃がさない!こんなベタベタな展開、リアルじゃまずないんだから!
ショタ:
なんかこわっ!?
転校初日…最初のイベントは、何故か追いかけっこだった。
≡┌|∵|┘
≡┌|∵|┘Σ└|∵|┐
≡┌|∵|┘≡≡┌|∵|┘
どうにかこうにか逃げ切った僕は(遅刻も免れた)、自己紹介をしていた。
ショタ:
北海道から来ました、ショタです。よろしくお願いします
ぺこり〜と頭を下げると拍手が鳴り響いた。
それを担任の神谷榛希先生が制し、僕を見ながら言った。
神谷:
ありがとうございました。さて、誰か質問のある人はいますか?
お約束な展開ではあったが、僕を待ち受けていたのはお約束な質問ではなかった。
???
はい!
神谷:
はい、えむさん
ピシッと綺麗に手を挙げた女の子(可愛いw)をあてる先生。
女の子は立ち上がり、言ってのけた。
えむ:
なんで男装をしてらっしゃるんですか?
ショタ:
…え?
突如、教室が『ざわ…ざわ…』ってなった。
所々から『さすがえむさんだぜ…』『あぁ、マジパネェぜ…』なんて声が聞こえる。
えむ:
こんなに可愛い子が男の子のわけありません!
何故かガッツポーズで言い切る彼女。
なんていうか…
神谷:
ご家庭の事情です
ショタ:
なん…だと…?
何言ってんの?この先生?
神谷:
詳細は明かせませんが、彼女は…失礼、彼は自由を手にする為に男装をしているのです
本当、何言ってんの、この先生!?
えむ:
なん…だと…!?
めっちゃ驚いてる!
まさか信じてるのか!?
よく見ると、教室全体が『なんだってー!?』と『なん…だと…!?』で埋め尽くされていた。
とてもノリが良い。
ショタ:
ってそうじゃないから!僕は男だから!!
えむ:
ボクっ娘!?
ショタ:
いやいやいや!?
なんて言えばいいんだ、こういうときは!?
???:
ほら、落ち着きなさいよ、あんた達
涼やかな声とともに、一人の女生徒が入ってきた…窓から。
ショタ:
なんで窓!?
???:
いきなり突っ込むとは、エロいのね、転校生
ショタ:
いきなりのエロ扱い!?
なんなのこの人!?
グラビアアイドルになれそうなくらいのスタイルしてるのに!
神谷:
相坂時流さん、遅刻です
時流:
ごめんなさい、ちょっとしつこいスカウトに絡まれて
神谷:
スカウト?
時流:
姉ちゃんえぇ体しとるのぉ、魔法少女になってみん?って、何故か広島弁で誘われたのよ
ショタ:
なんのスカウトだよ!
神谷:
なるほど…それでは仕方ありませんね
ショタ:
いいのかよ!
なんなんだこのクラス!変なのばっかりか!
神谷:
どうやら、上手くやっていけそうですね
ショタ:
え?
ま、まさかそんな、僕の事を考えて、早くクラスに馴染めるようにって…
神谷:
良いツッコミです。改めて、これからお願いしますね、ツッコミ係さん
ショタ:
…は?
ツッコミ係?
時流:
ここ、ボケはいるんだけどツッコミが少ないの。期待してるわよ
えむ:
任せてくださいっ
時流:
あんたには言ってないわよ、えむ
えむ:
しゅん…
なんだか、大変なとこに転校してしまったらしい僕の明日はどっちだ。
┌|∵|┘アッチ?└|∵|┐コッチ?┌|∵|┘ソッチ?
さて、ここは学食に併設された購買部(食)。
(食)とはもちろん食べ物のことで、他にもノートや備品を扱う購買部(備)、制服や体操着を扱う購買部(衣)がある(ちなみにブルマはない)らしい。
ショタ:
うわ…
なんでこうも購買は混むのだろうか。
昨日、半額弁当を求めて熱くバトルを繰り広げるラノベの新刊を読んだせいか、突撃するのがとても怖い。
怖いが、ここで足踏みしていたら僕の昼食は余り物になってしまう…余り物すらなければ…おして知るべしである。
ショタ:
いざ…!
???:
ストップ
ショタ:
え?
背後からかかった女の子の声に振り返ると、そこには…
???:
あ?
ショタ:
なにーっ!?
やたらマッチョな男が威風堂々と立っていた。
┌|∵|┘
└|∵|┐
Σ└|∵|┐
??1:
あははごめんね、面白いかな、と思って
僕の前にいるのは、さっき購買で声をかけてきた女の子で、名前をスイさんというらしい。
スイ:
いやぁ、転校生だから女子用の購買があるって知らないのかと思ってさ。そしたら男子だったなんてねw
なんとここには女子用の購買があるらしい。
スイ:
たいらさんも驚いたんじゃない?
たいら:
あ?ん、そうだな…
たいら…スイさんに呼ばれて振り向いた時にいたマッチョマン。
まさかの同学年…そして彼とスイさんは僕とは違うクラスだった。
たいら:
骨格で男なのはわかってたが、顔見たら女子だったからな。そこは驚いたな、うん
スイ:
骨格で!?…さすがだね、たいらっち
たいら:
なぁに、あんたほどではないさ
朗らかに笑い合う二人…凄い場違いな気がしてきたよ、うん。
ショタ:
あの、もしかしなくても僕はお二人のお邪魔ではありませんか?
スイ:
なんで?
たいら:
誘ったのはこっちだ、何を気にしてるんだ?
購買で声をかけられて、色々教えてもらって、そのままの流れで僕は二人がよくご飯を食べるという屋上に来たのだけど。
ショタ:
だって、その…二人って付き合ってるんでしょ?
スイ:
はい?
たいら:
誰と誰が?
ショタ:
だから、二人が
スイ:
…
たいら:
……
二人が見つめ合い…
スイ:
あははっ!ないない、それはないよw
たいら:
光栄ではあるがな、それは勘違いだ、ショタ
笑われた。
スイ:
あぁ、でも気をつけた方がいいよ?
ショタ:
はい?
スイ:
この学校、性別を気にしない人多いから
ショタ:
…え?
セイベツヲキニシナイ?
せいべつをきにしない…
性別を気にしない…!?
ショタ:
性別を気にしない!?しかも多い!?
スイ:
多いね
たいら:
多いな。気をつけろ、俺はバイだからな
ショタ:
あ、はい…って!?なんて言った!?
なにか凄い単語が混ざっていた気がする。
たいら:
俺はバイだ
ショタ:
転校初日からなんたるカミングアウト!しかも本人から気をつけろとか言われた!
たいら:
冗談だ
ショタ:
冗談かよ!
たいら:
お前がその気になってくれたなら、俺は性別の壁を越えてみようと思うんだが
ショタ:
ならないから!僕はノーマルだから!
たいら:
その顔で!?
ショタ:
童顔がノーマルだとなんかおかしいのか!?
スイ:
あははっw
ショタ:
おかしいのかよ!?
スイ:あははっ、違うんだよ、あははっw
ショタ:
どっちさ!?
僕とたいらのやり取りがツボにはまったみたいで、スイさんは当分笑っていた。
で…
スイ:
あはは、あーもう、面白いなぁ、二人とも。久しぶりだよ、こんなに笑ったのはw
ショタ:
笑いすぎだよ
スイ:
ごめんごめんwお、もうお昼終わるね
ショタ:
あ、本当だ
長居しちゃったな。
スイ:
話が出来てよかったよ、うん。なにか困ったら言ってよ。面白おかしく大事(おおごと)にするから
ショタ:
よし、断る
スイ:
えー
たいら:
まぁ、なんだ。外部からの転入だと色々と戸惑うかもしれないが、ここは良いとこなんだ。だからよ…
ショタ:
ん?
たいら:
一緒にバカやって笑いあっていこうぜ!
ワイルドな笑みを浮かべ、たいらは片手をあげてみせた。
だから僕は
ショタ:
もちろん!
同じように手を挙げ、パンッとタッチした。
あぁ、なんかこう…男って感じだねw
たいら:
性的な意味込みで
ショタ:
込むな!
なに、マジで狙われてんの僕は!?
スイ:
あははははっw
こうして、僕に違うクラス(僕はA、彼女達はC)の友人が出来た。
ちなみに…
スイ:
そういえばさ、B組にも転校生がきたんだって。その転校生は中々変わった女の子だ、って聞いてたからショタさんを見て勘違いしちゃったんだよね、うん
だそうだ。
とは言え、まさか本当に男装した女の子はいないだろう。
結論から言えば、確かにそんな(男装)女子はいなかった。
…もっと凄かった。
┌|∵|┘└|∵|┐イェーイ!
帰り道。
放課後に質問されまくって、さすがに疲れた。
早めにご飯食べて、課題を済ませて…風呂は面倒だし、シャワーで…
なんて考えていた。
そんな時だった。
???:
いましたよ、ゆきひめさん!彼女…じゃなくて彼ですよ!
ゆきひめ:
よっしゃぁっ!見つけたぞ、ボクのフラグ!
ショタ:
ん?
聞き覚えのない声と、聞き覚えのある声に振り返った先には…
ショタ:
…え?
雪だるまがいた。
ショタ:
雪だるまぁぁっ!?
もしかしたら今日の疲れで、僕の目は限界なのかもしれない。
Σ└|∵|┐ギャー
ショタ:
な、なるほど…アキさんとゆきひめさんですね
普通の制服姿の子がアキさんで、雪だるまの着ぐるみ(頭部パージ)が噂のもう一人の転校生ゆきひめさん。
なんで着ぐるみなのかは…この際いいや。
それよりも…
ショタ:
それで、二人は僕にどうしろっていうの?
ゆきひめ:
朝、ぶつかりそうになったよね?ボク達
ショタ:
あ、うん
でもそれは未遂だ。フラグゲットならずだ。
ゆきひめ:
まさか、転校早々リアルでこんな出会いがあるとは思わなかった。だから追いかけたのに…逃げたよね?
ショタ:
いや、それは…
怖かったし。
ゆきひめ:
で、決めたのさ!君と一緒にいようって!
ショタ:
いきなり結論!?
ゆきひめ:
まだるっこしいのは嫌いなのさ!
アキ:
私から説明しましょう
と、アキさんからの助け舟が。
どうやら彼女は転校生のゆきひめさんのことが相当気に入ったらしく、今日一日で彼女の趣味嗜好を理解したらしい。
アキ:
ゆきひめさんは、ぶっちゃけ女性が好きな人なんです
ショタ:
…ぶっちゃけたね
スイさんとたいらと話してなければもっと驚いていたと思う。
というか、この学校はそういう人が集まるの?
アキ:
本題はここからです。ゆきひめさんは貪欲な方なのです
ショタ:
貪欲?
アキ:
そう…女の子みたいな男の子、いわゆる男の娘も同じなんじゃん?と
ショタ:
…
すいません、僕にはあなたがおっしゃる意味がよくわかりません。
アキ:
まぁ、つまり…女の子だけとの恋愛しか知らないのはもったいない、でも男!ってタイプは苦手…だからあなたなんですよショタさん!
ショタ:
は、はぁ…そうなの?
ゆきひめ:
いえすb
サムズアップされた。
いや、確かに僕は童顔だけどさ。
ゆきひめ:
だからボクと付き合ってよ、ショタくん
僕は…とんでもない所にきたのかもしれない。
ショタ:
お友達からで…
だって…
ショタ:
お願いしますb
初日からこんなにハプニングが僕を迎えてくれたのだから。
┌|∵|b−d|∵|┐
というわけで、僕の転校初日はこんなだった。
当然ながら僕の、僕達の物語は始まったばかり。
だけど、今回はこの辺りで勘弁してほしい。
これから…その、ね?
言わなくてもわかるだろう?
だから…機会があればまた語るとするよ。
この学園で奏でられた恋の詩を…ね。
11/03/04 21:40更新 / ナハト