no title
くだらない。
全てが下らない・・・。
私は何も楽しくはない。なににも興味はない。
同年の女子共が叫ぶ愛だの、同学年の奴等が言うテストの成績も。
学校全体が無駄に沸く学園祭、体育祭なんてのも同様に、つまらない。
私は生きている。惰性で生きている。それと同時に私は“死んでいる”
そう。私は死にながら生きている。
この馬鹿みたいに下らない日常を。
no title
また、始まった。
下らない今日という一日が。
何時もの様に朝飯を食べ、そして何時ものように登校する。
学校でも、何時ものように授業を受け、何時ものように帰宅する。
そんな変わらず下らない最悪(普通)な一日になる、そう思っていた。
べつに今更どうも思わない。これだって何時ものことだ。
そう。思っていたのだ。
そのときが来るまでは。
登校したとき、クラスメイトが騒がしかった。
私には転校生という単語が聞こえた。
(・・・転校生、ね。私には関係ない。)
そう思い、私は席に着く。
そして、学活。
転校生が、紹介された。
その転校生に、私は驚かざるを得なかった。
その転校生は、見事に見知った顔で・・・そして。
私同様に“死んでいた”
そう、その転校生も死にながら生きていた。
表面上はそうでなくても、私には分かる。
不思議なもので、人は同類をすぐに見分けられるという。
その転校生の名前は澤上光(サワガミ アキラ)。
こいつは、容姿端麗、ある程度の金持ち、世話焼きであるため、男子には人気があった。
しかし、女らしく虫の類は苦手で、見ると避ける。というか、逃げる。
私には、関係ないが。
そして、こいつは私の幼馴染である。
光は私の顔を見ると嬉しそうに手を振ってきた。
面倒だ・・・しかし、流石の私も知り合いを無視するほど礼儀しらずじゃない。
礼儀として、手をふりかえしてやった。
ただ、死んでいるくせに楽しそうにしているのは酷く気に食わなかった。
クラスメイトたちは手をふりかえしている私を見て、目を丸くしていた。
それはそうだろう。
他の人間に私は反応すらしないのだから。
休み時間。
当たり前のように光のまわりには人だかりができる。
どこから来たのか、など、そんなテンプレートなモノ。
光は笑顔で対応しているが、やはり、といえばいいか、どこか、空虚。
・・・私の解釈で言えば、死んでいる、であるが。
心の底から楽しんでもいない、嬉しくもない。
それどころか、心は、何も感じていない。
死んでいる、なんていうのは、大袈裟だとは思う。
しかし、これが、ぴったりな表現である、と私は思っている。
何も感じていないのにさも心の底から楽しそうにしている。そのことが酷く気に食わなかった。
(そんなのは、人をだましているのと同じだ。あいつは・・・昔は・・・もっと楽しそうだった。心の底から笑っていた・・・。)
私は、そう思わずにいられなかった。
「ねぇ」
いきなり、声をかけられ、私は二重の意味で、驚いた。
一つ目の理由がこのクラス・・・いや、学校で、私に話しかける奴がいたこと。二つ目はいきなり声をかけられたことである。
驚いたとはいえ、返事をしなければ失礼に当たる。
(他人に関心がないはずなのになんで礼儀などということを考えるんだろうな。馬鹿馬鹿しい)
そうは思うが性分なので変えようはない。何より、変えるのが面倒で、そして、変える必要性を感じない。
「・・・何だ?」
「野月玲・・・だよね?」
「・・・それがどうした?」
野月玲(ノヅキ レイ)それが私の名前である。
というかそもそも、違ったらこいつはただの変人である。
何の関係もない初対面の人間に満面の笑顔で手を振ったことになるのだから。
「やっぱり!久しぶりだね!!何年ぶりだっけ?」
「・・・少し静かにしろ、五月蝿い」
「は〜い・・・ははっ・・・変わってないね、そういうとこ」
「・・・お前は変わったみたいだがな」
「・・・?何か言った?」
「・・・関係のないことだ。気にするな」
「ん、了解」
『え・・・?野月さんって、澤上さんの知り合いなの?』
『おぉ〜〜・・・野月さんが話してんのはじめてみたかも』
『まぁ・・・滅多に話さないしね・・・』
私と光が話してる間、周りの連中が五月蝿かった。
会話自体は嫌いじゃない。だが、周りが騒がしいのも、相手が興味ない奴だと面倒だからやる気が起きない。
相手を知りたいとも思わない。知ってもらいたいとも思わない。
私は私である。
そう考えて、驚く。
(たった一人、知り合いが来るだけでも考え方、気持ちってのは変わるもんなんだな。こんなの初めて知った・・・)
いい傾向なのかは、自分には分からない。
しかし、今朝までの自分だったら確実に、下らない、というふうに切り捨ていたと、思う。
今でもやはり、くだらないとは思う。
ただ、そのことを、考えることができるようになっている。
それが、大きいのか、小さいのかは分からない。
しかし、変わったことは自覚した。
「にしたって、ずいぶん久しぶりだよね〜!確か・・・小2の頃だよね、転校したのって」
「・・・あぁ」
「・・・とすると・・・・・・」
目の前で楽しそうに悩む“ふりをする”道化師。
その存在は私を苛立たせた。
(こいつは・・・こんな奴じゃなかった)
と、そのときチャイムが鳴った。
「あ、なっちゃった。う〜ん・・・じゃあ、また次の休み時間に!」
「・・・」
その授業は、何時もよりも、頭に入らなかった。
授業が終わり、光が来る前に廊下へ、そして屋上へと出る。
幸いにも今日は午前だけで学校が終わる日だった。
突如出現した非日常(イレギュラー)は、私という存在を大きく変えた。
幼馴染、死にながら生きている光。
私は、如何するべきなのかわからない。考えても泥沼にはまり抜け出せない。
どんな理由があったのかも分からない。
如何したいのかも分からない。
分からないことだらけで、自分が壊れそうだった。
(私は・・・なにをしようとしているんだろう・・・)
しかし、そんな中、ひとつの可能性を見出した。
それは
光を殺したものを突き止める、ということ。
これは、光に聞くのが一番いい。こそこそ探るのは、無駄である。
そう思い当たったのだ。
そのためには、言葉が必要だ。
聞き出すための、突き止めるための鍵を。
(・・・わたしにも、いや、わたしにしかできない、か。)
そう思うと、幾らでも力が湧いてくるような気がした。
何十のパターンにもそなえて、鍵を作っていく。
あいつは、明るくてこそなんだ・・・
あんなのは光じゃない・・・!
教室に戻った私に光は少し怒ったようなふりをして、迎えてきた。
いろいろといっていたが、私は一言、放課後に用事がある、とだけ伝えて、話を打ち切った。
そして、放課後。
光を屋上に連れ出した。
「・・・まず、久しぶりだな。」
「さっきもいったじゃん」と、光は苦笑いをしていた。
「さっきはまともに言えなかったからね」
「そうかな〜、まぁ、いっか、久しぶり」
「それで・・・だ。」
・・・しまった。さっき考えたことが全て飛んでしまった。
仕方ない・・・直球で攻めるしかない。
「なにか、あったのか?」
「なにか、って?」
「私の目を、欺けると思ったのか?」
「さぁ、どうかな?」
「お前が私を欺こうなんて100年早い。」
やれやれ、と、肩をすくめる光
「ま、それはそうだね」
「おとなしく、話してくれないかな?」
隠し通せるとは思ってなかったけど、こんなに早くばれるなんてね・・・そうつぶやいて、光は話し始めた。
要約するとこうだ。
家族で、ドライブをしていたところ子供が飛び出してきて、それを避けたら、横から来たトラックと衝突、その衝撃で、子供も轢いてしまい、5人の死者が出た。
その三人は自分の家族であり、光の姉、瑞佳さんは、光を守って死んでしまった。
その結果、明るく社交的な光が心を閉ざしてしまった。
「そうだったんだな・・・」
かける言葉が見当たらなかった。
突き止める、そのことだけに固執しすぎていて、聞いた後を考えていなかった。
「ボクを守ってくれた姉さんの腕の感触がまだ離れないんだ。感触だけじゃない。血の臭い、血の温度、冷たい体温・・・
それから、思うようになったんだ・・・ボクも死にたいって。
祖父母がいるからって、こっちに引き取られた。
そして、転校が決まって、玲にあえた、それで、喜んだ自分が嫌だった。
姉さんを殺した自分がそんな風に思えることが、嫌だった」
「だから、決めたんだ、ボクも死ぬって」
今にも泣きそうな、壊れそうな光。
私が使った鍵は外すのではなく、無理やりこじ開けてしまった。
―私は何をしているんだ・・・?―
そんな疑問が頭をよぎる。
私は、たしかに、今でも、他人と関わりたくはない。
しかし、光は、傲慢な物言いだが、私が助けたい。
何故なら、私しか、助けれないのだから。
私は上手な言葉なんか、言えない。だから、私はこの気持ちをぶつける。
「ふざけないで!!!!」
「・・・え?」
「光が死んで喜ぶ人なんていない!そんなの瑞佳さんも喜ばない!!助けたのに、せっかくの命を粗末にする行為なんて、許されるはずがない!!!」
「・・・」
「お願い・・・光。そんな馬鹿な真似は・・・しないで・・・。」
ポタ、ポタ、と涙が床に落ちる。
自分はこんなに涙もろかったのか・・・?
しかし、これで苛立った意味が分かった。
私は、騙していた事に苛立っていたのではない。
光がそうなってしまっていた事に苛立っていたのだった。
大好きな光には、あのままでいてほしかったから。
エゴだとは分かる、しかし、それが私の思いだ。
「ごめ・・・ん」
いきなり、そんな言葉と一緒に抱きしめられた。
そうして、二人で抱きしめあって、泣きあっていた。
気がついたときにはもう夕方だった。
なんというか、恥ずかしいことに流れで告白してしまい、成就してしまっていたのだった。
(女同士って世間的にやばいよね。)
そんなことを考えないわけでもないが、まぁ、気にしないことにする。
光を生き返らせようとした。
その行為は、自分を助ける結果にも繋がった様だった。
(情けは人のためならず・・・なんか、違う気がしないわけでもないけど)
「もうこんな時間かぁ・・・かえろ!玲」
「そうだね、ご飯作る時間が遅くなっちゃう。ただでささえお昼ぬいたのに・・・」
「あはは。確かに…さっきからお腹がなってなって・・・」
「ふふっ、じゃぁ、早く帰らなきゃ、ね。光」
「うん、帰ろ!って二回目なんだけど・・・あはは。まぁいっか」
そして私たちは帰り道を歩く。
ほかの人と馴染めるか、心配だけど。
頑張っていこう。きっとできる。
この、つないだ手の温もりと、光がいれば私は。
どんなことだって、がんばれる。
全てが下らない・・・。
私は何も楽しくはない。なににも興味はない。
同年の女子共が叫ぶ愛だの、同学年の奴等が言うテストの成績も。
学校全体が無駄に沸く学園祭、体育祭なんてのも同様に、つまらない。
私は生きている。惰性で生きている。それと同時に私は“死んでいる”
そう。私は死にながら生きている。
この馬鹿みたいに下らない日常を。
no title
また、始まった。
下らない今日という一日が。
何時もの様に朝飯を食べ、そして何時ものように登校する。
学校でも、何時ものように授業を受け、何時ものように帰宅する。
そんな変わらず下らない最悪(普通)な一日になる、そう思っていた。
べつに今更どうも思わない。これだって何時ものことだ。
そう。思っていたのだ。
そのときが来るまでは。
登校したとき、クラスメイトが騒がしかった。
私には転校生という単語が聞こえた。
(・・・転校生、ね。私には関係ない。)
そう思い、私は席に着く。
そして、学活。
転校生が、紹介された。
その転校生に、私は驚かざるを得なかった。
その転校生は、見事に見知った顔で・・・そして。
私同様に“死んでいた”
そう、その転校生も死にながら生きていた。
表面上はそうでなくても、私には分かる。
不思議なもので、人は同類をすぐに見分けられるという。
その転校生の名前は澤上光(サワガミ アキラ)。
こいつは、容姿端麗、ある程度の金持ち、世話焼きであるため、男子には人気があった。
しかし、女らしく虫の類は苦手で、見ると避ける。というか、逃げる。
私には、関係ないが。
そして、こいつは私の幼馴染である。
光は私の顔を見ると嬉しそうに手を振ってきた。
面倒だ・・・しかし、流石の私も知り合いを無視するほど礼儀しらずじゃない。
礼儀として、手をふりかえしてやった。
ただ、死んでいるくせに楽しそうにしているのは酷く気に食わなかった。
クラスメイトたちは手をふりかえしている私を見て、目を丸くしていた。
それはそうだろう。
他の人間に私は反応すらしないのだから。
休み時間。
当たり前のように光のまわりには人だかりができる。
どこから来たのか、など、そんなテンプレートなモノ。
光は笑顔で対応しているが、やはり、といえばいいか、どこか、空虚。
・・・私の解釈で言えば、死んでいる、であるが。
心の底から楽しんでもいない、嬉しくもない。
それどころか、心は、何も感じていない。
死んでいる、なんていうのは、大袈裟だとは思う。
しかし、これが、ぴったりな表現である、と私は思っている。
何も感じていないのにさも心の底から楽しそうにしている。そのことが酷く気に食わなかった。
(そんなのは、人をだましているのと同じだ。あいつは・・・昔は・・・もっと楽しそうだった。心の底から笑っていた・・・。)
私は、そう思わずにいられなかった。
「ねぇ」
いきなり、声をかけられ、私は二重の意味で、驚いた。
一つ目の理由がこのクラス・・・いや、学校で、私に話しかける奴がいたこと。二つ目はいきなり声をかけられたことである。
驚いたとはいえ、返事をしなければ失礼に当たる。
(他人に関心がないはずなのになんで礼儀などということを考えるんだろうな。馬鹿馬鹿しい)
そうは思うが性分なので変えようはない。何より、変えるのが面倒で、そして、変える必要性を感じない。
「・・・何だ?」
「野月玲・・・だよね?」
「・・・それがどうした?」
野月玲(ノヅキ レイ)それが私の名前である。
というかそもそも、違ったらこいつはただの変人である。
何の関係もない初対面の人間に満面の笑顔で手を振ったことになるのだから。
「やっぱり!久しぶりだね!!何年ぶりだっけ?」
「・・・少し静かにしろ、五月蝿い」
「は〜い・・・ははっ・・・変わってないね、そういうとこ」
「・・・お前は変わったみたいだがな」
「・・・?何か言った?」
「・・・関係のないことだ。気にするな」
「ん、了解」
『え・・・?野月さんって、澤上さんの知り合いなの?』
『おぉ〜〜・・・野月さんが話してんのはじめてみたかも』
『まぁ・・・滅多に話さないしね・・・』
私と光が話してる間、周りの連中が五月蝿かった。
会話自体は嫌いじゃない。だが、周りが騒がしいのも、相手が興味ない奴だと面倒だからやる気が起きない。
相手を知りたいとも思わない。知ってもらいたいとも思わない。
私は私である。
そう考えて、驚く。
(たった一人、知り合いが来るだけでも考え方、気持ちってのは変わるもんなんだな。こんなの初めて知った・・・)
いい傾向なのかは、自分には分からない。
しかし、今朝までの自分だったら確実に、下らない、というふうに切り捨ていたと、思う。
今でもやはり、くだらないとは思う。
ただ、そのことを、考えることができるようになっている。
それが、大きいのか、小さいのかは分からない。
しかし、変わったことは自覚した。
「にしたって、ずいぶん久しぶりだよね〜!確か・・・小2の頃だよね、転校したのって」
「・・・あぁ」
「・・・とすると・・・・・・」
目の前で楽しそうに悩む“ふりをする”道化師。
その存在は私を苛立たせた。
(こいつは・・・こんな奴じゃなかった)
と、そのときチャイムが鳴った。
「あ、なっちゃった。う〜ん・・・じゃあ、また次の休み時間に!」
「・・・」
その授業は、何時もよりも、頭に入らなかった。
授業が終わり、光が来る前に廊下へ、そして屋上へと出る。
幸いにも今日は午前だけで学校が終わる日だった。
突如出現した非日常(イレギュラー)は、私という存在を大きく変えた。
幼馴染、死にながら生きている光。
私は、如何するべきなのかわからない。考えても泥沼にはまり抜け出せない。
どんな理由があったのかも分からない。
如何したいのかも分からない。
分からないことだらけで、自分が壊れそうだった。
(私は・・・なにをしようとしているんだろう・・・)
しかし、そんな中、ひとつの可能性を見出した。
それは
光を殺したものを突き止める、ということ。
これは、光に聞くのが一番いい。こそこそ探るのは、無駄である。
そう思い当たったのだ。
そのためには、言葉が必要だ。
聞き出すための、突き止めるための鍵を。
(・・・わたしにも、いや、わたしにしかできない、か。)
そう思うと、幾らでも力が湧いてくるような気がした。
何十のパターンにもそなえて、鍵を作っていく。
あいつは、明るくてこそなんだ・・・
あんなのは光じゃない・・・!
教室に戻った私に光は少し怒ったようなふりをして、迎えてきた。
いろいろといっていたが、私は一言、放課後に用事がある、とだけ伝えて、話を打ち切った。
そして、放課後。
光を屋上に連れ出した。
「・・・まず、久しぶりだな。」
「さっきもいったじゃん」と、光は苦笑いをしていた。
「さっきはまともに言えなかったからね」
「そうかな〜、まぁ、いっか、久しぶり」
「それで・・・だ。」
・・・しまった。さっき考えたことが全て飛んでしまった。
仕方ない・・・直球で攻めるしかない。
「なにか、あったのか?」
「なにか、って?」
「私の目を、欺けると思ったのか?」
「さぁ、どうかな?」
「お前が私を欺こうなんて100年早い。」
やれやれ、と、肩をすくめる光
「ま、それはそうだね」
「おとなしく、話してくれないかな?」
隠し通せるとは思ってなかったけど、こんなに早くばれるなんてね・・・そうつぶやいて、光は話し始めた。
要約するとこうだ。
家族で、ドライブをしていたところ子供が飛び出してきて、それを避けたら、横から来たトラックと衝突、その衝撃で、子供も轢いてしまい、5人の死者が出た。
その三人は自分の家族であり、光の姉、瑞佳さんは、光を守って死んでしまった。
その結果、明るく社交的な光が心を閉ざしてしまった。
「そうだったんだな・・・」
かける言葉が見当たらなかった。
突き止める、そのことだけに固執しすぎていて、聞いた後を考えていなかった。
「ボクを守ってくれた姉さんの腕の感触がまだ離れないんだ。感触だけじゃない。血の臭い、血の温度、冷たい体温・・・
それから、思うようになったんだ・・・ボクも死にたいって。
祖父母がいるからって、こっちに引き取られた。
そして、転校が決まって、玲にあえた、それで、喜んだ自分が嫌だった。
姉さんを殺した自分がそんな風に思えることが、嫌だった」
「だから、決めたんだ、ボクも死ぬって」
今にも泣きそうな、壊れそうな光。
私が使った鍵は外すのではなく、無理やりこじ開けてしまった。
―私は何をしているんだ・・・?―
そんな疑問が頭をよぎる。
私は、たしかに、今でも、他人と関わりたくはない。
しかし、光は、傲慢な物言いだが、私が助けたい。
何故なら、私しか、助けれないのだから。
私は上手な言葉なんか、言えない。だから、私はこの気持ちをぶつける。
「ふざけないで!!!!」
「・・・え?」
「光が死んで喜ぶ人なんていない!そんなの瑞佳さんも喜ばない!!助けたのに、せっかくの命を粗末にする行為なんて、許されるはずがない!!!」
「・・・」
「お願い・・・光。そんな馬鹿な真似は・・・しないで・・・。」
ポタ、ポタ、と涙が床に落ちる。
自分はこんなに涙もろかったのか・・・?
しかし、これで苛立った意味が分かった。
私は、騙していた事に苛立っていたのではない。
光がそうなってしまっていた事に苛立っていたのだった。
大好きな光には、あのままでいてほしかったから。
エゴだとは分かる、しかし、それが私の思いだ。
「ごめ・・・ん」
いきなり、そんな言葉と一緒に抱きしめられた。
そうして、二人で抱きしめあって、泣きあっていた。
気がついたときにはもう夕方だった。
なんというか、恥ずかしいことに流れで告白してしまい、成就してしまっていたのだった。
(女同士って世間的にやばいよね。)
そんなことを考えないわけでもないが、まぁ、気にしないことにする。
光を生き返らせようとした。
その行為は、自分を助ける結果にも繋がった様だった。
(情けは人のためならず・・・なんか、違う気がしないわけでもないけど)
「もうこんな時間かぁ・・・かえろ!玲」
「そうだね、ご飯作る時間が遅くなっちゃう。ただでささえお昼ぬいたのに・・・」
「あはは。確かに…さっきからお腹がなってなって・・・」
「ふふっ、じゃぁ、早く帰らなきゃ、ね。光」
「うん、帰ろ!って二回目なんだけど・・・あはは。まぁいっか」
そして私たちは帰り道を歩く。
ほかの人と馴染めるか、心配だけど。
頑張っていこう。きっとできる。
この、つないだ手の温もりと、光がいれば私は。
どんなことだって、がんばれる。
11/02/25 23:04更新 / 桜