連載小説
[TOP][目次]
例題(第零問)
「翔子」
「……なんでもない」
「俺はまだ何も言ってないんだが…。まあいい、とりあえず今背中に隠したものを出せ」
「……なんでもない」
「お前の手って綺麗だよな見せてくれないか?」
「嬉しい」
「よっと――封筒?」
「……雄二、返して」
「中身は…如月ハイランドのプレミアムチケット…だと…」
「……雄二、一緒に行こう」
「行かん」
「……前、チケットがあれば行くって言ってた」
「ん?」
「……約束破ったら挙し…」
「待て、それはプレオープンの話だ」
「……そう」
「随分と物分りがいいな」
「……クリスマスチケットだから、それまでに行く気にさせる。……どんな手を使っても」
「止めてくれ」
「……大丈夫、命は保障する」
「ついでに俺の人権も保障してくれ」
「……雄二が一緒に行ってくれるなら」
「その選択は無い」
「……じゃあ、無理」
「…お前は人外を婿にする気か?」
「……人間とか人外とか関係なく雄二が好きだから大丈夫」
「はいはい」



バカとテストとリトルバスターズ

例題(第零問)
始まりと期待と体験編入



〜野球部部室〜
「どうしたの恭介?いきなり今日は練習なしだなんて」
 プレハブ内には突然の練習の中止を受けて集まったリトルバスターズメンバーが居る。恭介はみんなを見回すように視線を動かした後にこう言った。
「『試験召喚戦争』をやろう」
『は?』
「『試験召喚戦争』をやろう…文月学園に体験入学だ!!」
『なにーーーーーーーーー!!!』
 僕らの叫び声が学校の敷地中に響き渡った。


〜文月学園2年Fクラス〜
ピンポンパンポ〜ン
 お昼休み、僕が水と塩の昼食を済ませてみんなと喋っていると突然校内放送がかかった。
『2年Fクラス、坂本雄二君。同じく2年Fクラス、吉井明久君は至急学園長室まで来てください。繰り返します…』
「む、雄二と明久呼ばれておるようじゃが、何かしでかしたのか?」
 と、問いかけてくるのは戸籍上の性別は男の美少女、木下秀吉。今日も変わらず可愛い。でも…
「鉄人ならともかくババアに呼び出されるようなことをした覚えは無いけど。雄二は?」
「俺も同じだ。まあ、あのババアのことだから、また何か新しい技術を開発してそれをひけらかす企画を考えたのかもな」
 言えてる、肝試しとか召喚獣の野球とか前例はある。肝試しは失敗の利用だけど。
「それじゃ、面倒くさいけど行ってくるよ」
「そうだな気は乗らんが行くか」
 そうして、僕達は学え―ババアの部屋へと向かった。


〜野球部部室〜
「『文月学園』と言うと、科学とオカルトと偶然の産物『試験召喚システム』を利用した競争型進学校で、2年に上がるときの試験の成績順にA~Fクラスへと振り分けられ、教室の設備も変わる、特にFクラスは酷いもので畳に卓袱台らしい。あと、女子の制服の可愛さと女子のレベルの高さで有名。の『文月学園』でよかったかな恭介氏」
 と、叫び終わった僕らに説明してくれたのは来々谷さんだ。何でそんなに詳しいのか後で聞いてみよう。とにかく今の問題は恭介だ。
「ああ、その『文月学園』だ」
「…理樹、あたしには恭介が何を言いたいのか分からないんだが」
「鈴、僕もだよ」
「俺も分からん、恭介どういう経緯でそんなことになったのかきっちり話してくれ」
 謙吾の言うとおりだ今のままじゃ情報が少なすぎる。
「了解だ、まず…」


〜文月学園学園長室〜
「「体験編入?」」
「そうさね、学園のPRの一環として進学校から10人ほど生徒を招いて、二週間ほど一緒に勉強させようってことさ」
「それって、体験入学よりいいことなんですか?」
 体験編入した生徒がそのまま転校してくる可能性に賭けるなら、地元の中学生を連れてきたほうが学園のためになるんじゃないか?
「恐らく目的は二つだな。一つ目は県外から呼び寄せることで県外に学園のいい噂を広めるため。もう一つは他校と比較することで俺たちのモチベーションを向上させるためだろうな」
 なるほど、ただでさえ情報の届きにくい県外にいい情報を流すことで県外から質の高い生徒を獲得しようってことか。モチベーションの方は…僕らには若干関係ないかな。
「相変わらず頭の回るクソガキだね。全く以ってその通りだよ」


〜野球部部室〜
「と言うわけで体験編入の話がこの学校に来た、と言うわけだ」
 そうか、真人とか恭介とかバカになった謙吾とか真人とかを見てて若干忘れてたけどこの学校って進学校だ。
「…確かに、全国的にはそうでもないですがこの学校は地域的には有名ですしね」
「ふぇ?そうなの美魚ちゃん」
「はい、寮制度と試験は申し込み制のこの学校では『自己の管理能力を養う』ということでそれなりに有名です。しかも寮生なら体験編入で向こうの学校に寝泊りしても体調を崩すことも少ないでしょうし」
 なるほど、それでか…って。
「10人程度ってことは僕らと佳奈多さんとか笹瀬川さんとかが行くの?」
「いや、今この場にいる10人だ」
 この場に居る10人って…僕、鈴、真人、謙吾、小鞠さん、クド、葉留佳さん、来々谷さん、西園さんで2年生は9人しか居ないんだけど。
「わふー、どう数えても9人しかいないです」
「ですネ。かろうじて3年生の恭介さんを入れて10人ですけど」
「はは、何を言ってるんだ二人とももちろん俺も行くに決まってるだろ」
「いや、恭介氏は学年が違うんだが」
「大丈夫、既に先生は脅は――説得済みだ」
 いつも思うけど無駄に凄い行動力だ、ついつい脅迫って言いそうになったのをスルーしちゃったよ。
「バカ兄貴とささみはどうでもいいから佳奈多を連れて行くぞバカ兄貴」
「駄目だ鈴!そんな事言ったら恭介が…」
「うむ、血の涙を流してるな」
 うわ!ホントだ恭介が歯を食いしばって凄い形相で血涙を流してる!
「まあ鈴君に恭介氏、少し落ち着くといいどのみち佳奈多君も佐々美君も来れないみたいだしな」
「む、来々谷それはどういうことだ?」
「連絡を取ったまでさ」
 ほら、と言って来々谷さんは受信メールを僕らに見せてくる。佳奈多さんは『寮会の仕事が忙しいから』、笹瀬川さんは『来週はソフトの練習試合があるから』と言って断っている。
「まあ、10人程度なら2年生9人でも問題ないはずだからな。恭介氏をどうするかは鈴君に任せよう」
「鈴…」
 恭介が懇願するような目で鈴のほうを見る。多分鈴なら…。
「うん、分かったバカ兄貴の同行を許可しよう」
「鈴…、よしじゃあ来週の月曜日に『文月学園』の2−Fに行くぞ」
 やっぱり、鈴も行くならみんなで行きたいもんね。…あれ、Fって…。


〜文月学園学園長室〜
「それっておかしくないですか?普通はCとかDクラスにいれるんじゃ」
よりによって来てもらう人たちを設備が最低でバカばっかりのFクラスに入れるなんて失礼にも程があるんじゃないだろうか。
「私もそう思ったんだがね西村先生がどうしてもってね」
「「鉄人が?」」
「ああ『これがあいつ等の意欲を上げるラストチャンスなんです』って頭を下げられてね。向こうの学校に確認したら行くのはあんた等みたいなお騒がせ集団らしいし、そのリーダー格の奴もその条件で承諾してくれたからね」
 ババアの説明を聞いてチラッと横を見ると雄二が得意げな顔で言った。
「後は『試験召喚戦争』のことだろ」
「へ?雄二それってどういうこと?」
「考えてみろ、宣伝のために呼び寄せるのにうちの一番の売りの『試召戦争』をやらないのはおかしい話だろ」
 まあ、確かにそうだけどそれとFクラスに入れるのとだったらどんな関係があるんだろう?
「そして、進学校ならばA,Bクラスの奴が1人や2人混ざっててもおかしくは無い。つまり…」
「ほんっとうにアンタは頭が回るね。そうだよ、少し位頭がいい奴が入っても変わらないFクラスに入れるんだよ」
 なるほど、待てよこれは。
「雄二これはバカにされてるってことでいいんだよね?このクソバ―」
「いや、そうでもない」
「あれ?」
「よく考えろ明久、接待ゴルフで接待する相手を徹底的に叩きのめすバカがいるか?」
 いや、そりゃ居ないけど…。
「C,Dクラスならメンバーと運によっちゃA,Bクラスを倒せるかもしれない。でもそれはメンバーが増えたからだと言う文句が出る」
 うん、そう言う風に説明してくれれば僕も分かる。ババアは自分から説明する必要がなくなったせいか椅子に深く腰掛けている。
「かといってA,Bクラスに入れれば本来の目的であるモチベーションのアップが出来ないし、やって来た奴らが楽しめるような戦争が出来るとは到底思えない」
「まあ、A,Bクラスが戦争をするとも限らないしね」
「それでEクラスなら勝つことは難しいだろう。しかし、Fクラスならメンバーが増えた文句も止めれるし、なにより勝つ可能性がある」
「そうか褒められてたのか」
「いや、期待されながらもバカにされている」
「訳わかんないよ!」
 クッ、そんな高度なことをするなんて相変わらずの年の功だ。
「それで、どこの学校の奴が来るんだ?」
「5月、6月ごろにバス事故があった学校だよ」
「ああ、あの学校か」
 そのころの僕はニュースも見てない、新聞も取ってないだったから全く分からない。最近は姉さんがニュースを見るから少しは分かるけど。
「まあ、アタシが言いたいのはあんまりそのことについてとやかく聞くんじゃないよってことさね」
「分かった、その辺は俺がフォローしよう」
「分かったならこれで話は終わりだよ、とっとと出ていきなジャリ共」
「あ、最後に一つ。その人たちって何時来るんですか?」
「来週の月曜日、11月の1日から12日の金曜日までだね」
「来週か意外と早いな」
 僕はメンバーが増えることに期待を寄せながら学園長室を後にした。
10/02/14 15:43更新 / ツチノコ
続編へ

■作者メッセージ
どうもツチノコです
今回は零話と言うわけで説明調の会話が多かったですね
次回からはちゃんと各キャラの情報を上手く伝えられるように頑張ります
それにしても主要キャラ全員動かすのは骨が折れそうだ

間違いなどがあったらやんわりとコメントしてくださいお願いします

TOP | 目次


■感想メッセージ
Name: Mail:

※名前が全て半角だとプロテクトが発動しますのでご注意下さいっ
−評価−





>「例題(第零問)」を読んだ感想
男性を好きにしたい女性の為の性風俗☆-(ゝω・ )ノ★ http://www2.ktjg.net
 明日美 12/10/16 15:56 評価:良かった。
>「第一問 設問一」を読んだ感想
new balance 店舗
婚約指輪相場 ティファニー http://ameblo.jp/pakarika15/entry-11930584040.html
 ekvijscnhgf@gmail.com [MAIL] 14/09/26 22:33
>「第一問 設問一」を読んだ感想
I just could not depart your website before suggesting that I really enjoyed the standard information a person provide for your visitors? Is going to be back often to check up on new posts
Rocco http://reathawussow.wordpress.com/2015/01/02/symptoms-of-ganglion-cyst
 gmlrixk@yahoo.com [MAIL] 15/03/05 19:08
>「例題(第零問)」を読んだ感想
Usually I do not read post on blogs, however I would like to say that this write-up very forced me to check out and do it! Your writing style has been surprised me. Thank you, very nice post.
Josef http://keelylungsford.wordpress.com/2015/01/06/exercise-movements-for-foot-arthritis
 umivcozgznl@hotmail.co.uk [MAIL] 15/03/10 23:20
>「第一問 設問一」を読んだ感想
Hello, Neat post. There’s a problem together with your website in web explorer, would test this!K IE still is the market chief and a large portion of other people will miss your wonderful writing due to this problem.
Hubert http://terasowels.soup.io/post/519131376/Exercise-Sessions-For-Foot-Odor
 hdrchozpigo@yahoo.com [MAIL] 15/04/11 22:16
>「例題(第零問)」を読んだ感想
Pretty good posting. I just found your blog and wished to mention that I have honestly enjoyed browsing your content.
Everette http://altheahartis.jimdo.com/2015/02/07/diabetic-feet-factors-to-consider
 kexxrtkt@live.com [MAIL] 15/04/16 10:09
>「第一問 設問一」を読んだ感想
Good post however I was wondering if you could write a litte more on this topic? I’d be very grateful if you could elaborate a little bit more. Thank you!
Demetrius http://lavernesanmarco.jimdo.com/2015/01/05/work-outs-for-stress-fracture-in-the-foot
 dlvaewyeqn@hotmail.co.uk [MAIL] 15/04/21 01:03
>「第一問 設問一」を読んだ感想
Hiya, I am really glad I have found this information. Nowadays bloggers publish only about gossip and internet stuff and this is actually frustrating. A good web site with interesting content, this is what I need. Thanks for making this web site, and I will be visiting again. Do you do newsletters? I Can not find it.
Eugenio http://latonyasuhar.jimdo.com/2015/02/06/diabetic-feet-challenges
 ictnbxtcnb@yahoo.com [MAIL] 15/04/24 20:55
>「例題(第零問)」を読んだ感想
I enjoy looking at and I think this website got some genuinely useful stuff on it!
Carey https://clarindakincer.wordpress.com/2015/01/03/symptoms-of-claw-toe
 ictnbxtcnb@yahoo.com [MAIL] 15/04/25 09:46
>「第一問 設問一」を読んだ感想
Mimi 2 defend tres bien cette chanson et je respecte ses gouts, je peux comprendre que ce style puisse plaire mais desole de le dire, mais je pense les fans de ?≫ Attention?≫ ne seront pas tres nombreux a Copenhague.
isabel marant etoile sneakers http://www.sneakersisabel.net/isabel-marant-boston-python-black-sneakers-suede-hidden-wedge-p732/
 ccnexxqrr@gmail.com [MAIL] 15/11/05 19:02

TOP | 目次

まろやか投稿小説 Ver1.30