読切小説
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あいさかけ -カズ君の初夢-

カズ:うぅ…ん?

目覚めたら目の前に幼女がいました。

???:あら、おきた?
カズ:え?あ、え?ここどこ?君は…
???:あたしはときる。びよーじょのときるさまよ

自分で美幼女だと言うこの幼女、名前をときるというそうです。

カズ:ときる…ときるって時流姉さんめっちゃしぼん…縮んでますよ!?

ナニが萎んでるのカナ?カナ?
と言うか、時流さんが美幼女になったのは受け入れるんですねカズ君。

ときる:いきなりしつれーなおとこね、あなた。あなたこそだれよ?

全部平仮名になったような感じですが、喋り方そのものは大人版とほとんど変わらないのが時流様クオリティ。

カズ:え?あの…カズ
ときる:カズね。ちょーどいーわ。カズ、あなたはきょーからあたしのげぼくよ

いきなりとんでもねーことを言い出す幼女です。

カズ:げ、げぼく?
ときる:しもべでもどれーでもいーわ。どーねんだいのおとこたちはあたしのあそびについていけないってゆーのよ
カズ:あ、はぁ…それでどうしたら?
ときる:おうまさんごっこよ。ほら、そこによつんばいになりなさい

なんで四つん這いなんて言葉を知ってるのか?
美幼女様だからです。

カズ:あ、はい
ときる:ぐずぐずしてんじゃないわよ。さっさとしなさいこのぶた!
カズ:馬なんじゃ…?えとこれでいい?
ときる:ふふ…よつんばいがなかなかさまになってるわよ
カズ:…

なんだか目覚めさせてはならないナニかを目覚めさせた気がします。

ときる:ほら、なにをしてるの?そのままじゃあたしのれないわ
カズ:…はい

カズ君はさらにその身を屈めます。

ときる:びよーじょときるさまがのってあげるんだからかんしゃなさい

もう、あんた何様?って聞いたら女王様の時流様よってな勢いです。

カズ:ありがとうございます…
ときる:うまがひとのことばしゃべってんじゃないわよ!
カズ:ちょw
ときる:うまはちょなんてなかないわ
カズ:ヒ、ヒヒーン…
ときる:それでいーわ。ほら、あるきなさい

この女王様ぶり…イエスだね?

カズ:…ヒヒン
ときる:なかなかのすわりごこちよ、カズ号

号が付くと本当に馬みたいです。

カズ:…

俺なにやってんだろ…カズ君の心が疲れてます。

ときる:このあたしがほめてあげてるのにそんなたいどとるのね?
カズ:え?

空気を裂くような音。その直後に…

ビシィッ!!

カズ:いだぁっ!?

ナニかが猛烈な勢いでカズ君の臀部を打ちました。

ときる:なくときはヒヒンでしょ!

幼女は腕を振り、更なる音を発します。

カズ:痛っ!!と、時流姉さん!洒落になってないですよ!!痛ぇぇっ!!

鞭です!カズ君は幼女に鞭打たれています!

ときる:ときるさまでしょこのぶたっ!あははははっ、ほら、もっとみじめになきなさい!わめきなさい!このあたしにゆるしをこいなさい!!
カズ:ぎゃぁぁぁぁっ!!

中略

カズ:はぁ、はぁ…こ、こんな物で人を叩いたらいけません!!

幼女を振り落とし、鞭を取り上げたカズ君はあまりの痛みで座ることが出来ず膝立ちです。

ときる:ぶー…みんなはよろこぶのに

幼女が口を尖らせつまらなそうに言います。

カズ:みんな?
ときる:おとなたち
カズ:…

大丈夫か?天使の国は大丈夫なのか?

ときる:ほんかくてきなじょーばよーのむちよーいしたのに
カズ:本格的乗馬鞭…怪我しちゃうからダメ!!

人間に向けると大変危険です。

ときる:むー、わかったわよ。こーゆーことにはそーごのりかいがひつようだものね
カズ:…相互の理解、うんそうです
ときる:じゃー、つぎにするときにはもっとそふとなむちをよーいしておくわ
カズ:そうそう、ソフト…いやいやいや、次はないですから!
ときる:ふふ、すぐにあたしのむちさばきがこいしくなってはしたなくおねだりするよーになるわ

本当に幼女なんでしょうか?この子は。

カズ:なりません!!
ときる:なら…そーなるよーにちょーきょーしてあげるわ
カズ:…

やばい、本気の目だ!
カズ君の直感はそう告げたそうです。

ときる:それじゃね。カズのひめー、なかなかここちよかったわ

幼女は言いたいことを言って去ってしまいました。

カズ:え!?ちょ、時流姉さん!!…どうしよ

今更ながら、幼女相手に敬語なのはカズ君が時流お姉さんに逆らえないからです。

―――――――――――

カズ:ん?

ぶらぶら歩くカズ君。
何か発見した模様です。

??:ん…シャーペン×ノート…シャーペン×芯、いえ芯×シャーペン?

…不穏な言葉を吐くYo-Joでした。

カズ:…あ、あの
??:うわっ!?は、はい、なんでしょうか?

自分の世界に浸っていた幼女はカズ君の呼び掛けに文字通り飛び上がって驚きました。

カズ:もしかして…笑夢さん?
??:は、はい、わたしはえむですが…あなたは?

口調がやけに丁寧です。

カズ:カズと言います。その…時流姉さんを追ってきたんですが…
えむ:ときるさんのおしりあいのかたですか。ときるさんはきょうはみてないですね…ごめんなさい

ぺこりと謝る幼女M…じゃなくてえむちゃん。

カズ:そうですか…
えむ:あの…

えむちゃんはモジモジしています。

カズ:はい?
えむ:オススメのカップリングってありますか?

勇気を振り絞ったえむちゃんは固く目を閉じ、拳を強く握り、そう尋ねました。

カズ:…え?

どうも、カズ君の脳容量では処理に時間がかかるようです。

えむ:さいきん、ぎじんかのカップリングがうまくいかないんです

なんで幼女時代からそんなことを…しかも擬人化とか。

カズ:カップリング…
えむ:なにかこう、はなかおるような…
カズ:ジョウロと花…?

花薫るような…と聞いたカズ君は、なんとなく口にしました。

えむ:!

くわっと見開かれる幼女EYE。

カズ:ダ、ダメですか?

幼女相手に腰がひけちゃってます。

えむ:ジョウロとはな!みずをかけてほしいはなと、いぢわるをするジョウロですね!?
カズ:…

一瞬でシチュエーションを組み立てた幼女に言葉もありません。

えむ:さすがときるさんのおしりあいです…
カズ:は、はぁ…

一目置かれてしまいました。

えむ:ちなみにどんなはなですか?
カズ:どんな!?…ゆり、とか?

他意はありません。

えむ:!

くわっ、再び。

カズ:?
えむ:そ れ で す
カズ:え?
えむ:きたきたきた!みなぎってきましたよー!!ゆりならやはりおにゃのこをイメージして…

何かが降りてきたようです。

カズ:笑夢さん?
えむ:うふふふ…
カズ:行っちゃった…

またもや一人取り残されたカズ君でした。

―――――――――――

カズ:夢…だよな…どうしたらいいんだろう…

さすがに気付いてしまいました。

??:…
カズ:ん?
??:…だれ?

幼女三度。

カズ:…ゆり?
??:…うん。おにぃたんは?

今度は舌足らずな幼女ゆりでした。

カズ:俺はカズ
ゆり:カズにぃたん…あそぼ?
カズ:うん、いいよ。なにする?
ゆり:おまぁごと
カズ:うん

カズ君はホッとしていました。
これなら無茶苦茶言い出さないだろうと。
駄菓子菓子。

ゆり:ゆりたんはひるさがりにひまをしてるひとづまするから、カズにぃたんはおこめやしゃん
カズ:ちょwなに、その設定…

昼ドラかよっ!てな設定ですね。

ゆり:ときるたんがおもしろぃって
カズ:ダメダメ!

これぞ時流クオリティ。

ゆり:ぅ…ぅぅ…だめ?

大声を出すカズ君にゆりたんはびっくりして泣き出しそうです。

カズ:うっ…も、もっと普通のにしよ?
ゆり:ふつー…ゆりたん、かぁいいわかおくさまがいい
カズ:う、うん。それじゃ俺は…

いちいち時流クオリティな設定です。

ゆり:ひじょうよぅにかってるぶたさん

!?

カズ:何故!?しかも非常用って!?食用!?
ゆり:?

言葉の意味まではわかってないらしく首を傾げるゆりたん。

カズ:いやいやいや!時流姉さん酷いな

おままごとに必要とは思えない設定です。

ゆり:カズにぃたん…わがまま(メーロー)

ゆりたんがちょっと怒ってます。

カズ:俺が悪いの!?
ゆり:カズにぃたんはなにがしたぃの?
カズ:普通に旦那さんじゃダメ?
ゆり:…ゆりたんとふーふ?
カズ:え?あ…

幼女相手とはいえとんでもないことを…とカズ君は顔を赤くしました。

ゆり:…
カズ:そう、だね
ゆり:ぅん…//

二人揃って顔を赤くしました…が、はたから見たら幼女相手に赤面してる危ない人です。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

カズ:ただいま
ゆり:おかぇりなさぃあなた。ごはん?おふろ?それとも
カズ:それとも…ってまさか!?

出るか、あの伝説の…

ゆり:た・わ・し?
カズ:ベタな間違いだ!
ゆり:あれ?たわし?わたし?

ゆりたんはゆりたんだからわたしなんていわないんです。

カズ:…時流姉さんがそう言えって?
ゆり:うん
カズ:普通のおままごとじゃそういうことは言わないと思うよ?
ゆり:そぅなんだ…ときるたんうそつき?
カズ:え!?あ、いや、ほら、その…冗談ってやつだよ。わかる?
ゆり:わかるょ
カズ:そっか。あ、笑夢さんとはどんなことをするの?
ゆり:えむねぇたんはごほんよんでくれるの
カズ:本?

いやまさか、そんな危ない本は…と、自問自答なカズ君。

ゆり:ももたろぉ×おにとか…きょうすけ×りきとか
カズ:期待を裏切らない人だ…!!

どんな本を読み聞かせてるんだよ…カズ君は戦慄しました。

ゆり:まじょ×にんぎょひめとか…へんぜる×ぐれーてるとか
カズ:…ヘンゼルとグレーテルね

なんでもかんでも×にしないように。

ゆり:?…ぁ、ゆりたんかえらなぃと
カズ:あ、うん。気をつけてね
ゆり:ぅん…あの、ね?カズにぃたん
カズ:ん?
ゆり:また…ぁそぼ?
カズ:…うん遊ぼう。またね、ゆり
ゆり:ぅん//またね

別れの挨拶はさよならでも、バイバイでもなく、またねでした。

―――――――――――

カズ:…やっぱり夢だったか

段々とこぼれ落ちていく夢のかけら。
それでも、なんだかわからなくて、でも楽しくて…そんな残滓は残りました。

時流:起きてる?

ノックと声…時流お姉さんでした。

カズ:あ、はい
時流:今日は忙しくなるから早めに用意なさい
カズ:はい、今、着替えてます

先にそう言ってから着替えを始めました。

時流:グズグスしてたら鞭で叩くわよ
カズ:電光石火で用意します!…鞭?なんか夢の中で…まぁいいか

その後、感覚込みできちんと覚醒したカズ君が、原因不明の臀部の痛みを感じたのは別の話。
10/01/10 14:28更新 / ナハト

■作者メッセージ
今更になってしまった正月編。

続きになる全員集合カルタ編を先に書いてたんですが…上手くまとまらなくて、ふと降りてきた幼女ネタを初夢編にしてみました。

今年が皆様にとって良い年になりますように。

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■感想メッセージ
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※名前が全て半角だとプロテクトが発動しますのでご注意下さいっ
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 名無し 12/04/30 12:19 評価:う〜ん……。
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まろやか投稿小説 Ver1.30