第17話

-9月6日-(土)-

「ウーーッ! ウーッ!」

まだベットの中で眠っている意識の外側でパトカーの嫌なサイレンの音が耳を通過する
………
……
「…ん…っ 」
土曜日だっていうのにこんな朝から騒がしい街に響くサイレンの騒音に私は起こされた

「はぁ〜… 」
(嫌な目覚めだなぁ… )

気分を変えようと、なかばまだ半分寝ている思考で部屋のコンポの電源をつける
直ぐさま何百と繰り返し聞いたであろう、いつものBUMPのアルバム曲が流れ始める
意識も起き始め、猫のようにベットからモゾモゾと起き、部屋のカーテンをシャーッとおもいっきり開くと…

「雨… 」
窓から広がる景色は今週始めての雨空だった
しんしんと降り注ぐ雨粒、灰色の重い低い空に見ているだけでじとじとと身体に張り付くような嫌な湿気を感じる

(テンション上がらないなぁ…)
そんなことを思いながら真っ白なブラウスに腕を通し制服に着替え始める
私の学校は一応私立のため、土曜日にも午前中だけ授業がある
早々と制服に着替え終え、一階に下りた

まさにそのときだったっ

ピンポンッ! と玄関のインターホンが鳴った
(…?? 誰だろぅ こんな朝から)
「はーぃっ 」
パタパタと玄関へ小走りで向かう
朝からのいきなりの来客に驚いたものの、またどうせ新聞やセールスマン的なものだと思い、なんらためらいもなく私は玄関のドアを開けた

…それが問題だった

「ぁ 朝からすいません 私たちこういうもので」

………
(…っ!!? )
(警察…手帳…っ!)
焦った…
狂い震えるほどまでに焦った…
扉一枚開けた私の目の前には警察の制服を着た二人組の警察官が私を見下ろし立っていた、その手に警察手帳を私に差し出して見せながら…

「ぁ…っ…っ 」
私は捕まるのか、事情聴取でもされるのか、はたまた家宅捜索でもされてしまうのか…
頭の中で自分の秘密に比例するように不安と痛みが音を立てて押し寄せてきた
小刻みに震える私をよそに目の前の警察官は話を続ける
「今週 そこの駅前で起きた通り魔事件の目撃情報を聞き込みで調査してまして 」
私に話しかけた二人組の前の背の高い若い警察官は私にそう言った
もう一人後ろに明らかに前の若い警察官より先輩そうなおじさんの警察官のように見える

「……ぁ…ぁ 」
あれだけパトカーに恐怖を感じ、駅前にすら行けないほどまでに募りに募った…今の自分と警察が交わる不安感…
それが今、まさに何の気無しに私の目の前で起きている
「………っ」

「…?? 」
あまりに焦っているような挙動不審な私の仕草に向こうも気付いたのだろうか
探るような目線で警察官は私のことを見ている
「…っ……ぇっと…っ」
「…ぁ 急にごめんね ほかに家族の人とかいるかな? 」

私が驚いていると解釈したのだろうか…
警察官はそう言って私を安心させるように小さな笑顔を向けた
「ぁの… 今 私しか家にいないんです…」
「そっか 君は…中学生かな? 」
「ぁ…ぇっと 高一です 」
いまだ緊迫した緊張感が胸を締め付ける
私の一言で私は簡単に犯人にでもなれてしまうのだから
「じゃあ いくつか少しだけ質問させてね 」
「……はぃ」
そう言ってその二人組の警察官はしばらく私に数点質問をした
・二回の通り魔事件の起きたときの同時刻の私の行動
・身の回りに条件に合いそうな人はいないか

時間にしてきっと5分弱
けれど、本気で嘘を隠し通し続けた5分…
「ありがとうございます」
警察官は、最後にそう言うとまた小さな微笑みと小さな一礼をし、去っていった

警察官が
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