第10話

膨大に広がる外の警察の監視をかい潜り、私達は今 聖蹟桜ヶ丘駅内のビルの中にいる

聖蹟桜ヶ丘の駅ビルの構造というのは大きく分けて A館、B館、C館、と広く分かれていて 階数は一番上の階は9階まである

そんな中 四人はエスカレーターを上り冷房が効いた涼しいフロアを進む

***
-5F-

灯の予想は確かに当たっていた…
今いる5階のフロアにも どうやら警察官の姿はどこにも見当たらない

しかし、なぜ私達がこのフロアにいるのか?
それは単純に有珠ちゃんの買い物に付き合うためだった
そしてその有珠ちゃんのお買い物とは ――

「有珠ちゃん? 有珠ちゃんは何を買うの? 」
「にゃはー はぃっ 有珠はお菓子をっ、お菓子を買おうと思っているです 」
手をパタパタさせてうれしそうに有珠ちゃんが言う

「お菓子でしょうか?? ですが、有珠ちゃんのカバンにはもうすでに大量のお菓子が敷き詰められてはいませんでしたでしょうか? 」
ひよりがくすくすと小さく笑いながら有珠ちゃんに聞く

「だめですっ もう足りないんです 定期的にお菓子とデザートだけは買わないとだめなんですっ 」
「有珠のエネルギーはお菓子さもんなー 」
灯がちょっとだけからかうように冗談まじりで話す

「はぃっ お菓子は命ですっ」
その言葉にまっすぐ幸せそうな笑顔で返す有珠ちゃん

私達三人をよそに、有珠ちゃんはフロア内にある大きなお菓子屋さんに立ち寄った
すぐさま慣れたように大きなカゴの中いっぱいにお菓子が次々に入れられていく

ふと棚についていた値段の札を見ると、どの駄菓子もコンビニで買う定価よりもいくらか安い値段で印されていた

「なんかここのお店安いね 有珠ちゃんはいつもここで買ってるの? 」
「ぁ、はぃっ ここが一番安いのでとってもお世話になってるです 」
そう言いながらたけのこの里をカゴの中に入れていく

「あら? 有珠ちゃんはたけのこ派なんですね 」
「はぃっ たけのこさんはチョコが多いのでポイント高いですっ 」
そしてさらにもう二箱カゴの中に入れられる

その後もチュッパチャップスとチロルチョコの箱買いは当たり前に
チョコパイに極細ポッキー、キットカットにアーモンド、コアラのマーチに

そしてお菓子コーナーを過ぎてそのさらに奥に続くと、今度はデザートコーナーが私達を待っていた

迷わず有珠ちゃんはまたもデザートもカゴの中に入れていく
ワッフルに焼きプリン、シュークリームに一切れバームクーヘン、ミニロールケーキにチョコショコラに

どうやら有珠ちゃんはチョコ系のお菓子がとくに好みらしぃ

「関係ないのですが、たまにゆりさんの髪がとっても甘くておいしそうです 」

「ぇっと、そうだね… チョコ色って… よく言われるね… 」
幸せ色すぎる可愛い有珠ちゃんの純粋無垢な笑顔がグサッと胸に刺さる…
「へぇー うまそうだな ゆりの髪 …ニヤリッ 」
「ぅ、うるさぃ…っ 灯はだめっ 」
「なっ、なんでだー!? 」

「……ぽ/// 」

「!? なんでひよりは赤くなってるの!? 」

………
そのあとは
ちっちゃい有珠ちゃんが大きなカゴせっせ運び、いっぱいに盛られたお菓子の山はレジに持って行かれた

これ くださぃっ♪
と、その言葉にレジの店員さんの二度見して驚いた顔が気の毒すぎて忘れられない…

そしてどうしてあの学生カバンにあれだけの量のお菓子やらデザートがすっぽり積み込まれ入るのかわからない…
(プリンとか潰れちゃわないのかな… )


***
-3F-

有珠ちゃんのお買い物に続いて次に
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まろやか投稿小説 Ver1.30