第13話

-現在-お昼休み-
4時間目が終わって生徒たちが賑やかに廊下に溢れるこの時間
「…ぁー あぢぃ〜 」
灯はひとり、たいして涼しくもない前の黒板消しクリーナーにぐったりしながら涼んでいた

「ほらー お昼行くよー 」
「わかってるさよー 」

渋々クリーナーから離して私たちもお昼の準備をする

「あたしはコンビニで昼ご飯買ってくるから ゆりは先に部室行っててー たぶんひよりが先行って鍵開けてると思うから 」
「わかった 」

「ちなみにお昼休みは朝言ってた初攻撃の作戦会議するからねー 作戦開始は放課後だけどさ 」
「了解 」
「ぁ、あと、ついでに部室にサプライズも一緒に持っていってあげるさ♪ 」
「わかったから 早くごはん買ってきておいで ね? 」
「ぉぉー んじゃなー 」

また長話になりそうな灯をコンビニに急がせて、私もお財布と携帯だけを持って1階の購買部へとパンを求めて向かった

学食も購買部も、たぶん灯がいるコンビニも、この時間は生徒たちの人込みで溢れている

………
……

そして本日の私のお昼ご飯は、チョココロネに小さな紙パックのカゴメ野菜生活がひとつ
相変わらず、自分で買っておきながらにボリュームにかけるメニューだと思う

生徒の人込み溢れる購買部から早々に抜けて、目指すは、誰も近付かない4階の部室へと足を進める

………
……

***
-軽音楽部 -部室-

「ひよりごめんねー ちょっと遅れちゃった 」
「あら ゆりちゃん、 有珠ちゃんも一緒ですね 」
「ぇ!? 有珠…ちゃ… 」

ひよりの声に慌ててガバッと後ろを振り向くと
そこにはひょこっと顔を出した有珠ちゃんがいた
「こんにちはなのです」
「こ、こんにちは」
(本当に小動物みたぃ…)

……
ひよりは一人、広い教室の中で窓際のイスに腰掛けながら本を読んでいた

「ぇっと、漫画読んでたの? 」
「 ぁ、これでしょうか? ふふっ これは漫画ではなくラノベと言うものです 」
(ラノベ??? )
「ライトノベル小説です 」
「へぇー 小説 」

(ひよりってやっぱり本が好きなんだよね )
ひよりと話しているときだった

……

「…ギター… 」
奥でひとり遊んでいた有珠ちゃんの声が聞こえた

「ぁ、有珠ちゃん そこに置いてあるギターはさっき私が持ってきました 」
「ギターを? ひよりが? 」
「はい、さっきこの部屋の鍵を先生に貰いに行ったときなのですが、先生から軽音部に貸してあげられるギターが一本余ってると言われてしまって、ついでに部室に持っていってほしいと言われてしまぃまして、職員室から持ってきてしまったのですが… 」

「ギター…… です 」
(有…珠ちゃん??)
一人ぽつり遠くでギターケースに入ったエレキギターを見つめながら、有珠ちゃんはなぜか小さくくぐもった声を呟いた

(―?? )
ギターなんて珍しい物をいきなり間近で見たものだから、純粋な有珠ちゃんにはそこまで驚いてしまう代物だったのだろうか?

「…部長の灯ちゃんに許可なく勝手に持ってきてしまって、やっぱりいけなかったでしょうか? 」
「ぅぅん、たぶん大丈夫だったと思うよ、ここは仮にも一応は軽音部なんだし 」

有珠ちゃんが向こうでギターを触っている
「有珠ちゃーん? あんまり珍しいからってギター触ったりして学校のだから壊しちゃだめだからねー? 」
「大丈夫です、有珠はこう見えて… ギター弾けますから 」

「ぇっ!?、有珠ちゃんってギター弾けるのッ!? 」
「…こくっ 」

あのミニミニサイズの有珠ちゃんがまさかギター
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