ひよりが必死に声を押し出して伝えた‘痛み’…
「三人を騙してしまって本当に申し訳ありませんでした でも…だから私は…、犯罪者なんですよ 」
(…… )
「…怖いですよね、危ない人間ですよね、私みたいな危険な人間は… 」
ひよりは私たちの前で軽くあざ笑った
…誰でもない、自分の過去に
半分しか知らないままに仲間になっていた誰か
半分しか知らないままに痛みを作戦のツールとして使おうとしたていた誰か
半分しか知らないままに助けられ触れられていた誰か
所詮、私達なんてまだ知り合って一週間しか経っていないんだ
(まだ…そんなもんなんだ )
「これを言ったからと言って、今まで騙していたくせに慰めや励ましてもらいたいなんて都合のいいような事は思ってはいません… 自業自得ですから 」
「ただ…犯罪者が一緒になんていたら きっとゆりちゃんの作戦の迷惑になりますし、私がいるだけで… ウィッチの濡れ衣以外にも危険を増やしてしまいます…」
ひたすらに自分の不必要さをこぼすひより
「おかしいですよね、最初から…いつかこうなるって分かっていたのに… 」
「だから、私は…やっぱりやめたほうが… ―― 」
しかしそのときだった
誰かの声が不意に部屋をつんざく
「ぁ、有珠は…! ひよりさんとずっと一緒にいたぃです…っ! 犯罪者でも、過去にどれだけ酷い人でも醜い人間でも…! ひよりさんに優しくしていただいた…‘今のひよりさん’に 有珠は優しくしていただいたです! 」
それは予想だにしなかった、私の後ろで縮こまっていた有珠ちゃんの震えきった声だった
怖かったに違いない…けれどもその精一杯に放った言葉は
問い掛けではなく
慰めや励ましでもなく
確かにひよりへのたったひとつ お願い事だった
(……)
――どうする?
私は…何を放てばいい?
こんな状況で何を口にすれば、ひよりはまた笑顔にさせられる?
ゲームの分岐点のように
どうすれば…その真っ黒な前髪のフィルターをあげられる?
―――どうすればいい?
出会ってしまった… 一週間分の君に、半分しか…知らなかった私に…
……
――変われるよッ!
(ッ!? )
口ごもる私を横目に、一瞬にして闇色の部屋一面ピリリッと響かせたその声の主は
横にいた灯だった
「過去なんてみんなそうなんだよ、みんな人に言えないような過去を積んで今を生きてんだ! ひよりだけなんかじゃない、ゆりや有珠も、あたしも そんでみんな、苦しくて苦しい苦しい不満だらけの今を生きてんだ でも…だからッ! このままを変えたくて! あの日この街と戦うって四人で決意したんだろ! 」
「変われる機会なんて常にあるんだ!、それはきっと今のひより次第だッ 」
「自分の過去から簡単に逃げるな! 過去が死ぬほど辛かった…だからっ!、友達ができるってさ…本当に本当に こんなに嬉しかっただろ…? 一緒に笑えて楽しんでホント嬉しかっただろ? それなのに…その自分と同類の友達に、自分の痛みが見つかった、だから迷惑かけらんない…だから… 」
「友達だろ! ひよりみたく苦しんできて…偶然だったかもしんない、でもっ、一緒に笑って楽しんで…それなのに なんでひよりの痛みだけは一緒に分け合っちゃいけないんだよ 迷惑?犯罪者? だからどうしたッ 」
「いいんだよ、そんな事あたしらが気にするわけないだろ、難しい事なんかじゃない どんだけひよりが昔はクズでもさ あたしらが‘友達’として巻き込んじゃったからもう諦めろ、ずっとずっと此処に居座り続けろ 」
「もし
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