Prologue

突然だが俺は斬られた。
それはもう見事にバッサリと。
不思議と痛みは無い。今感じているのは斬られた箇所から感じる猛烈なまでの熱さ。
それと比例するように冷めていく体温だけ。
「ぁ…」
声も出ない。
頭の中に様々なシーンが再生されていく。これが噂の走馬灯?
やべぇ…死にたくない…死にたくないよ。
まだクリアしてないゲームがあるし、読み終わってない本もある。
それに…
それに…俺…まだ女の子と付き合ったことないのに…
ってそんなこと考えてる場合じゃないのに考えてしまう俺は大物なのかもしれない。
最期にこんなこと気づいても無意味なのにな。
「…」
ダメだ…もう意識が…
「…っ」
俺は最後の力を振り絞って斬りかかってきた相手を見た。
「…」
そこにいたのは…背中に純白の羽…頭には輪っか…そして手には何故かまぐろを持った天使だった。
「…はは」
こんな可愛い子に看取られるなら…悪くないかな…なんて…あぁ…もう…ダメみたい…だ。
まさか…まぐろで…斬り殺されるなんて…

そして…俺の意識は闇へと墜ちていった…
09/11/08 02:34更新 / ナハト
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まろやか投稿小説 Ver1.30