-Ω1-
私、来ヶ谷唯湖は夢を見ている。
これは明晰夢というやつだな。
「ゆいちゃ〜ん」
「なんだ小毬君」
向こうからやってきたのは小毬君。ちなみに呼び方はもう諦めた。
「ほらほら〜筋肉筋肉〜」
「ブッ!?こ、小毬君…」
な、なんだ?何故小毬君が筋肉などと…
「ほあちゃ〜」
気の抜ける掛け声だが、言葉とともに小毬君の服の袖は裂け、逞しい腕が披露された。
「こ!?小毬君がとんでもない筋肉質に…っ!!」
「くるがや」
戦慄する私の背後からかかる声…この声は!
「り、鈴君!?小毬君がとんでもないこと…に…」
「筋肉だ」
そこにいたのは腕を組みながら威風堂々と立つマッチョな鈴君…
「ぐ…なんだと…」
どうしたことだこれは!?
「わふーっ!筋肉筋肉なのですーっ!!」
「ぐはっ…マッチョなクドリャフカ君だと…」
あのサイズで真人少年のような筋肉を備えたクドリャフカ君はもはや私の範疇外だった。
「姉御姉御ーっ!はるちんのこのむっちゃマッチョな筋肉を見てくださいヨほらほら」
と、顔は飛び切りの笑顔で…だがボディビルダーのような体でポーズをとる葉留佳君。
「は、葉留佳君まで…」
「葉留佳の筋肉…素晴らしいわ。私も負けないように筋肉しないと」
「佳奈多君…」
おもむろに生卵を飲み干し筋トレを始めたマッチョな佳奈多君。
「おーっほっほっほ!わたくしの筋肉に勝る筋肉などおりませんわ!」
「さ、佐々美君…」
お嬢笑いのポーズで、だがやはりこれまたマッチョな佐々美君。
い、いかん…この私が震えているっ?これが…恐怖かっ!?
「ほら〜ゆいちゃんも一緒に筋肉筋肉ぅ〜」
「「筋肉筋肉ぅ〜」」
小毬君、鈴君、佐々美君が…
「「「筋肉イェイイェーイ!」」」
クドリャフカ君、葉留佳君、佳奈多君が…
「う…こ、こんな…うぁぁぁぁっ!?」
恐怖という感情の対価はとても高かった、と最後に記させてもらう。
―――
-Ω2-
「沙耶、沙耶に僕の全てを見てほしいんだ」
「理樹君…うん」
ついに、ついにこの時がきたのね!!少し恥ずかしいけど…全然OKばっちこいよ理樹君!!
理樹君はおもむろに上半身裸になると…
「ほら見てよこの筋肉!真人と筋肉してたらこんな立派になったんだよ!」
「…え?」
やけに立派な筋肉を見せ付けてきた。
「腕も…脚も…でも一番はこの背筋かな?どう?僕の背筋が語りかけてこない?一緒に筋肉しようってさ」
「ぅ…ぅぁ…」
あまりに立派すぎるその筋肉にあたしは思わず後退りしていた。ってか恐すぎるわよっ!!
「さぁみんな出番だよ!」
「み、みんな!?」
な、なに?まだ誰か来るっていうの?
「待たせたな。さぁ、俺の筋肉を見ろ」
「と、時風!?」
現れたのは例の仮面をつけた…でも真人君みたいに筋肉質になってしまった時風瞬。
「うまうー、筋肉が喜びに打ち震えている」
「斉藤!?」
いつものマスクをつけた斉藤はまるで謙吾君のように筋肉質で…
「「「「「…っ!」」」」」
「闇の執行部まで!?なに?これなんなのよ!?」
更には時風の部下達まで不必要にマッチョでポーズまで…
「朱鷺戸さん、筋肉って素晴らしいですっ」
「ってあの中身古河先輩だったの!?」
筋肉質な古河先輩鬼怖いわっ!!
「ことみと一緒に筋肉のお勉強をしましょう」
「ことみ先輩!?」
いつものおっとりした口調で、でも筋肉で張り裂けんばかりの水着姿のことみ先輩。
「お姉ちゃん、筋肉も悪くないね」
「そうね。これなら智代にも負けないわ」
「椋先輩に杏先輩までマッチョ!?」
朗らかに笑う椋先輩とにやりと笑う杏先輩は鏡写しのようなマッチ
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