夢を見ている…
倒れ伏す少年…
少年のそばで泣いている少女…
その少女の横でなにやら忙しげに口を動かしている女性…
あれは…俺か?
そうだ、俺が小さかった頃にこんなことが…
泣いてる少女を泣き止ませたくて俺はその手を伸ばして…
瞬間、世界が白に埋め尽くされた…
カズ:う…
??:目が覚めた?
なんだろ?誰かに見下ろされてる…
??:大丈夫?お姉さんそろそろ足が痺れてきたんだけど
カズ:え…?
目の前にあるのは女の人の胸…じゃなくて、綺麗な顔で…
頭に当たるのは何か柔らかくて温かくて、どこかハリのある感触…
カズ:うわぁっ!?
ひ、ひざ枕!?俺は今猛烈にひざ枕ですかーっ!?
??:せっかくひざ枕してあげたのにいきなり悲鳴だなんて、いい度胸してるわね、少年
カズ:ちょ…あ、いえごめん…すみま…あーっ!?
ダメだ!頭以上に口が回りゃしないっ!
??:はぁ…別にとって食ったりしないから落ち着きなさいよ
カズ:あ…
お姉さんはその手で俺の視界を覆った
??:はい、深呼吸しましょうか。はい、ヒッヒッフー
カズ:ヒッヒッ…それラマーズ方じゃ
??:やりかけちゃうのが可愛いわね
カズ:う…
??:そのままでいいわ、聞いてくれる?
カズ:はい
??:私はトキル。呼ぶときはトキル姉さんでいいわ
カズ:トキルさん…
トキル:トキル姉さん
カズ:トキル…姉さん
なんだろう、スイ姉さんの時にもこんなことがあった気がする…
トキル:よろしい。君はカズ君で合ってるわね?
カズ:なんで…
トキル:何故知っているのか不思議?まぁ、それはそうよね。倒れる前のこと覚えてる?
カズ:倒れる前…
なにがあった…なんで俺はこんな…っ!?
カズ:そうだ…俺は確か誰かに斬られて…
トキル:そう…ちゃんと覚えてるのね。なら話が早いわね。私はあなたを斬った子の仲間よ
カズ:…え?
もしかしなくても…俺大ピンチ?
トキル:心配しないで。私はあなたに何もしないから
カズ:私はって…
トキル:ふふ、詳しくはあなたを斬った子に聞いたらいいわ
カズ:…
トキル:それと、別にあなたが憎くて斬ったわけじゃないから。これは信じてほしいわ
カズ:…それは都合が良すぎませんか?
トキル:かもね。けど、斬られたって自覚のあるあなたが何故こうして無事でいられるのかしら。不思議でしょ?
カズ:それは…はい
トキル:やり方が過激なのは認めるけど、これは人助けなのよ
カズ:突然斬りかかるのがですか?
トキル:なら人助けの為に斬られてくださいって言われて斬られてあげられる?
カズ:…
トキル:そういうことよ。あなたがこれから会うことになる子はちょっと人見知りする子なんだけどいい子だから、ゆっくりと話を聞いてあげてちょうだい。それでも納得出来なかったら…
カズ:出来なかったら?
トキル姉さんは俺の耳元で、飛び切り色っぽくこう囁いた。
トキル:私もその子も好きにしていいわよ
カズ:えっ!?
そ、それはどこまでOK…じゃなくて、何を言い出すんだこの人は…
トキル:ふふ、それじゃ私はそろそろ帰らないといけないから
カズ:あ、はい…
名残惜しいものの、俺はトキル姉さんの膝に別れを告げた。
トキル:それじゃ…また会いましょ
…妖艶というのはあの人の為の言葉なのかもしれないな。
さて…
カズ:…帰るか
俺は置いてあった牛乳を手に帰り道を急いだ。
―――
Other Side
―――
トキル:ふふ、からかい甲斐のある可愛い子。姉さんの言う通りね
カズに別れを告げたトキルは同じ公園で、木
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