天使が来たりて鮪を出す?

カズ:粗茶ですが…
ゆり:わぁ〜、これが粗茶なんだぁ//

来客用の高い茶だよ!
…とは言えない訳で。
そもそもなんで俺が茶をこの自称天使にだしているかというと…

-回想-

カズ:て、天使?
ゆり:天使ですっ

玄関にいたこの自称天使…

カズ:コスプレ?

気になった俺はその白い翼に触れ…

ゆり:キャァァァッ!?
カズ:うわぁぁぁっ!!

ようとして吹っ飛ばされましたとさ。
めでたくはない。

ゆり:ご、ごめんなさぃ…大丈夫ですか…っ?
カズ:な、なにが起きたんだ?

頭を振りながら彼女を見れば、その手には…

カズ:鰹?

立派なサイズの鰹が

ゆり:まぐろですっ。かつおじゃないですっ。ぷんぷんっ

怒られた…え?鮪にしちゃ小さい…そうじゃないだろ俺!

カズ:それってもしかして俺を斬った…あの?
ゆり:あ、はぃ。その節は失礼しました
カズ:あ、あの…
ゆり:はぃ?

呼び掛けたものの…何を言えばいいんだ?

??:なんでもいいが玄関でナニしてるんだ?

よーく聞き覚えのある声に振り向けば…

カズ:に、兄さんっ!!
榛希:あぁ、ただいま。どうしたんだ?
ゆり:あの、カズ君のお兄様ですか?
榛希:そうだけど、カズ、この子は?しかもこの格好は?お前の趣味か?良い趣味してるな

一息で言い切る兄さん。
兄さんの目線の先には当然自称天使。
彼女は白いセーター、白いスカート、白いオーバーニーソックス、そして白い羽(?)を装備(?)している。

カズ:違うから!勝手に完結しないでよ
榛希:彼女だろ?
カズ:だから…

なんとか説明しようとしたとき、彼女は爆弾を投下した。

ゆり:天使です。私、天使のゆりです。カズ君を護る為に来ましたっ//

時が止まる。
耳が痛くなるほどの静寂が世界を支配する。

ゆり:証拠とか…必要ですか…?

さすがに空気を読んでくれたらしい。

榛希:そりゃ…まぁ…あると嬉しいかな

兄さんもどんな顔をしたらいいかわからなくて取り敢えず笑ってる。

ゆり:ですよね…

・・・・・・・・・?

カズ:なんもないの?
ゆり:ぁ…ぇーと…てやぁ〜

気の抜ける声と共に

カズ:おぉ〜
榛希:こ、これは…

羽がバッサバッサと動いてる!

ゆり:さらに…ていっ
カズ:うわっ!?
榛希:眩しい…

頭の上に輪っかが出たと思ったら光出した!

ゆり:どうですか…っ//

ちょっと得意顔になっている天使。

榛希:その翼で飛んだりは出来ないのかな?
ゆり:飾りなもので…ちょっと…
カズ:飾りなのかよ…
ゆり:こんな鳥っぽい羽より虫の羽のほうがよっぽどか便利ですよ…

天使に虫の羽ってビジュアル的にどうなんだ?

榛希:じゃあその輪っかも飾りか?もしかして
ゆり:これは身分証明書です。個人情報がびっしりですよ

マジかよ…

榛希:まんま電波な発言と思いたいが…そうもいかないんだろうな
カズ:どう見てもあの輪っか浮いてるしね
榛希:取り敢えず、上がってもら…もう上がってるのか。詳しい話を聞かせてもらえるかな?何故わざわざ天使がやってきたのかを
ゆり:はいっ
榛希:俺は榛希。こいつの兄貴だ
ゆり:ゆりはゆりです
榛希:百合羽ゆり?
カズ:自分を名前で呼んだだけだよ
榛希:…失礼。カズ、ゆりさんにお茶を。俺は一先ず風呂に入るから
カズ:わかった

-回想終わり-

ゆり:わ…このお茶おいしぃですっ。これが粗茶だとすると高級なお茶はどんな味なんでしょうか
カズ:…

どう言ったものかな…

榛希:この国では客人に出すお茶はみんな粗茶って言うのさ
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まろやか投稿小説 Ver1.30