いつもの部室。
俺と古泉はチェス。
朝比奈さんはお茶の準備、長門はゲーム。
ハルヒは俺達に背を向けて窓の外を眺めている。
「おい、キョン」
古泉が声をかけてきた。
「なんすか、古泉さん」
「待っただ」
「何回待ったかければ気が済むんですか…」
何回目か数えるのを放棄してしまったぞ。
「そう言うなよ」
「はぁ…」
仕方なく待ったを許可してやる。だがな…
「…よし、ここだ」
「…王手」
お前はもう詰んでるんだよ古泉。
「なにっ!?」
「相変わらず弱いっすね古泉さん」
「ちっ」
俺の言葉に顔を歪ませ舌打ちする古泉。
「あははー、一樹君ってチェスも弱いんだね。っていうかキョン君、なんでチェスしながら王手なの?」
いつものようにウサ耳ヘッドホンをした長門が俺と古泉の一局が終わったのを見て話し掛けてきた。
「いや、何て言うかチェックとか気取った言い方が性にあわなくて」
「おっかしいー」
クスクスと笑う長門。
「あぅ…キョンく〜んたすけてぇ〜」
可愛らしい悲鳴が俺の耳に届く。
「どした?みくる」
「うぅ、お茶零しちゃったよぉ〜」
泣きそうな顔をする朝比奈さん。
「相変わらずポンコツだな、お前は」
「わたしポンコツじゃないよぉ〜ポカポカポカ〜」
本当にポカポカ言いながら俺を叩いてくる朝比奈さん。なんて可愛いのだろうか。
「みくるちゃんはドジっ娘だねー。ほらほら拭いちゃおうよ」
長門が台拭きでテーブルを拭いていく。
「あぅ〜、ありがとう雪希ちゃぁん」
朝比奈さん、長門は有希ですよ。
と言うかだな…
「そろそろ止めようぜ?なぁハルヒ…ハルヒ?」
ハルヒに話し掛けるのだが
「…」
無視された。
おいハルヒ。
「あ、キョンさん」
キョンさんじゃなくてもう止めようぜ?正直見てられなくなってきた。
「なにがですか?」
随分と可愛らしい声が出るんだなお前…じゃなくてだな。
「ハルヒ、お前さっきから肩震えてるぞ。笑うの我慢してるだろ」
「そんなことありま…ぷっ…くくっ…ありませんよキョンさん…あははははっダメ!もう笑うの我慢出来ないっ!あははははっ!!」
爆笑しだすハルヒ。それまでの上品さが台なしである。
今更ながら説明するとしよう。
俺達は今、ゲームやアニメで自分達そっくりの声のキャラの物真似をするというなんだかわかるようなわからないようなことをしている。
「声だけ聞いてるとみんな凄いわね。本当にそっくりなんだもん」
落ち着いたハルヒがそう言い出した。
「特に有希ったらゲーム作ったときの朝倉の物真似と同じくらい凄かったわよ」
長門が演じたのは桜が絶えず咲き続けている、とある島を題材にしたやつの第二弾のヒロインの一人だ。
「確かに凄かったがな…長門、無表情であれは正直怖かったぞ」
「えー?そうかな?キョン君ひどーい」
だからやめろ…
「私はどうだったかなぁ」
朝比奈さんは…みずいろちっくなゲームのメインヒロインの真似。ちなみにそのヒロインだけ幼馴染みルートと義妹ルートの二つがあったりするのはどうでもいい知識だったりする。
「正直、あんまり変わらなかったわよね」
そうはっきり言うな。恥ずかしそうに俺をポカポカ叩いていた朝比奈さんは可愛かったぞ。
「恥ずかしいですぅ…」
顔を赤くして照れている朝比奈さん。激しく萌えるな。
「いやはや、普段俺だなんて言わないものですから大変でしたよ」
そう言う古泉が演じたのは鍵というメーカーが出した泣きゲーの主人公(アニメ版)である。
「なかなかかっこよかったよー」
長門、せめて表情をつけてくれ。
「涼宮さんはお上品でとっても可愛かったですよぉ〜
次へ
TOP投票 感想