鈴:きょーすけっ!!理樹!!いるんだろ!!
小毬:鈴ちゃん、夜だからもっと静かにしないとだめだよ〜
鈴:む…ごめん
小毬:ううん
鈴:それじゃピンポン鳴らしまくる
小毬:鈴ちゃ〜ん…
相変わらずな二人の会話を聞きながら、僕はドアを開けた。
理樹:やぁ、二人とも。どうしたの?
鈴:理樹!出てくるのが遅い…
小毬:理樹く…え?
僕を見た二人の顔が凍りつく。
理樹:ん?…あぁ、ごめんね、ビックリさせちゃったね
鈴:理樹…その赤いの…この血の臭い…なんだ?
理樹:あはは…恭介が…僕の…僕だけのものになった証だよ…
僕は恭介の全てを感じたくて血を拭わなかった。
手だけじゃない。
顔にも、唇にも塗った。
鈴:理樹…お前…何を言ってるんだ…?
理樹:鈴にも、小毬さんにも恭介は渡さない。恭介は僕のだ…!
小毬:理樹くん…
理樹:そういえば…小毬さんは僕に内緒で恭介と会ってたよね…
小毬:見て…たの?
呆然と呟く小毬さん。
その表情はまるで…
理樹:あはは、小毬さん恭介みたいな顔してるよ
それが僕をイライラさせる…!
小毬:誤解だよ!恭介さんとはたしかに会ってたけど
理樹:プレゼントまで貰って誤解もなにもない!
小毬:それは…
理樹:だから…小毬さんにもお仕置きしなきゃ…恭介みたいにね
僕は隠し持っていたナイフを取り出し…笑顔を作った。
小毬:…!
鈴:理樹…お前、きょーすけをどうしたっ!?
理樹:ふふふ…もうわかってるんでしょ…この血を見てさ
鈴:理樹ぃぃぃっ!!
鈴のハイキックをもろに喰らう。
理樹:ぐぁっ!?
鈴:理樹!!なんでだ!?
鈴は倒れ込んだ僕に追い撃ちをかけようとしていたけど、僕は動けなかった。
小毬:鈴ちゃんだめ!
鈴:止めないでくれ小毬ちゃん!
小毬:今は恭介さんを…
鈴:…っ!わかった。きょーすけっ!!無事なら返事しろ!!
小毬:恭介さん!!
ここで僕の意識は途絶えた。
―
鈴:あ…きょー…すけ…そんな…
小毬:鈴ちゃん!?…っ!!恭介さん!!
膝から崩れ落ちる鈴ちゃんの側に…血まみれの恭介さんが倒れていました。
鈴:あ、あぁ…きょーすけ…なに寝てるんだ…可愛い妹が遊びにきてやったんだぞ?
小毬:…
鈴:なんだ…お兄ちゃんって呼んでほしいのか?…そんなのだめだ…呼んでほしかったら…さっさと起きろ…馬鹿きょーすけ…っ
小毬:鈴ちゃん…わたし救急車呼ぶから…
怖くて、信じられなくて、でも勇気を出して救急車を呼びました。
鈴:うん…ほら見ろ…こまりちゃんにも迷惑かけてるんだぞ…そんな奴を…お兄ちゃんなんてあたしは呼べない…呼ばない…だから…さっさと起きろきょーすけぇっ!!…あ!
小毬:鈴ちゃん、救急車すぐに来る…
鈴:こまりちゃん!きょーすけがっ!
小毬:え!?
鈴ちゃんの切羽詰まった声に、わたしは駆け寄りました。
恭介:…二人とも、どうか…理樹を…許してやってくれ…
恭介さんらしからぬか細い声でした。
鈴:きょーすけっ!
小毬:恭介さん!!
恭介:小毬…お前の言う通りだった…最後まで…迷惑かけちまったな…
小毬:そんなこと…
恭介:鈴…こんな馬鹿な兄貴ですまなかった
鈴:…
恭介:鈴、小毬と…みんなと仲良くな…
鈴:いやだ…
え?
小毬:鈴ちゃん…?
鈴:きょーすけは…あたしがみんなと仲良くしてないと不安だろ?だからあたしはみんなと仲良くしない…そしたらきょーすけはずっといてくれるよな?
恭介:…そんなことを言うな。今、お前に友達がいるのは…お前自身の力なんだ…お前は最高の妹だよ…ごほっ
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