「うぅ…ぐすっ…」
「遅かったな」
赤緑青…RGBしかない部屋で。
俺は待ち人と出会えた。
「ごめんっ…ごめんなさい…っ」
俺がリアルで待ち続けた女の子は、ぽろぽろと涙をこぼし泣いていた。
「…ダメだったか」
「ごめん…っ」
愛は俺との待ち合わせに来ることが出来なかった。
愛が来れなかったのは…正直気持ちはわかる。
俺も…病院へ行く時から緊張していて、久しぶりに嘔吐した。
それでもなんとか頑張って病院へ行った。
待ち合わせ場所で待ち続け…倒れた。
「あたし…あたし…」
「大丈夫だから」
もう少しで入院になるところだったが…。
「ほんとに…ごめん…」
「…」
何を言えばいいのかわからなくて、俺はただただ愛の背中を撫でた。
―
「…多分、そろそろ起きる時間だ」
「…」
「また、な」
「…ん」
―
目覚めは上々。
だが気分は晴れない。
俺は…愛の為に何が出来る?
―
代わり映えしない一日を過ごし、俺は再び夢の世界へ。
「…なんだ?」
様子がおかしい。
これは…
「黒い…?」
RGBの三色の部屋はその色が混じり合い、黒く変色し始めていた。
「愛…?愛!」
不安になり俺は声を張り上げだ。
「愛!」
「…」
愛はいた。
隅と呼べる場所で…膝を抱えて。
「…愛?」
「…飛翔?」
「あぁ…愛、いつからここに?」
愛の目はどこかうつろで危うさを感じさせた。
「…ずっと…ここに…いたよ」
「な…!?」
ずっと…ずっとって!?
「起きてないのか?家族が心配するぞ!」
「心配…?…ぅぅっ…げほっ…げほっ」
「愛!」
愛が咳込み、その姿勢を崩す。
俺は慌てて駆け寄り介抱する。
「…あはは、夢の中なのに…こんな経験しなきゃいけないなんて…」
愛の顔から血の気が失せて青ざめている。
この症状は…ストレス性の!
どうする!?どうすればいい?
…いや、違う。
俺に何が出来るかを考えろ!
このままじゃ…リアルの愛は寝たままに…!
そんなことさせてたまるかよ!
「愛!頼みがある!」
―
翌日。
天気は雨。
俺は走っていた。
『俺、愛の家に行く』
考えついた俺の出来ることはシンプルだった。
…馬鹿の考え、休むに似たりとはよく言ったものだ。
問題は愛が寝たままだった場合、家族へ何と言うか…今までで一番頭を使った。
のだが…
『お兄さんがお姉ちゃんの言ってた人?』
『悔しいけど、私達の言葉じゃあの子の重圧にしかならないの』
『お願いします。あの子の力になってあげてください』
愛の家族に頭を下げられてしまった。
夢で出会った人物ではなく、ネットで知り合った人だと愛が言っていたのが効いた。
愛のお姉さんの運転する車で俺は愛のいる病院へと連れていってもらっていた。
そう、病院だ。
どうやら先日の件でかなり危険な状態になったらしい愛は病院に入院しているらしい。
しかし、俺は神様に嫌われているのか、病院へと送ってもらっているその途中、事故があったらしく渋滞が発生していた。
『あーもう!どこの間抜けよ!』
愛のお姉さんはハンドルを持つと、口調がワイルドになるらしかった。
『仕方ないわね…大空飛翔!』
『はい!病院までダッシュします!』
『よく言ったわ!それでこそ男の子よ!』
『行きます!』
『飛翔君、寝ぼすけの妹を…お願いね』
『はい!』
なんだか体育会系のノリで俺は病院までダッシュすることになった。
―
街を猛ダッシュする俺は注目を集めた。
その視線の重圧で何度か吐いた。
それでも…
「こんなとこで…止ま
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