…ヒメちゃんの体に巣くう災厄獣
lt;ディザスター
gt;を引きはがしてから、ヒメちゃんの魂を戻す。
不本意ながら魔王を名乗って(名乗らされて)いるあたしには難しいことじゃない。
スイ:『…見つけた』
災厄獣
lt;ディザスター
gt;…生命体が抱く欲望や願いを糧にする悪魔。
悪魔と言ってもあたしの眷属ではないから力で無理矢理に捩伏せることになる。
スイ:『運がなかったねー。いきなりだけど、あたしの友達が困ってるからさよならだよ』
…明確な
lt;形
gt;も、そして
lt;名前
gt;も持たない低級悪魔をあたしは力付くで取り込んでいく。
この感覚…いつまでたっても好きになれない。
災厄獣
lt;ディザスター
gt;の対処は、あたしを筆頭にした
lt;名前
gt;持ちの上位魔族による吸収、笑夢さん達天使による浄化、荒療治としてナハトさん達死神による刈り取り。
この吸収、する度に不快な快感…と言うか、暗い愉悦に襲われる。それが嫌だった。
この愉悦に支配されたとき、あたしの中の本当の魔王が…
『っ!?嘘…!こんなタイミングで…』
災厄獣
lt;ディザスター
gt;を取り込み、ヒメちゃんの魂を体に戻そうとしたときだった。
どうやら、あの剣が発動したみたい。
世界を滅ぼした剣…レプリカとは言ってもあたしの心にさざ波のような揺らぎを起こす。
そしてその揺らぎは…
??:『…ヒメちゃんの魂、美味しそうだね』
スイ:『出てくるな!』
あたしに巣くう、真の魔王を呼び覚ます。
??:『ほらほら、我慢なんかしないでさ、食べちゃおうよ。大丈夫、バレないって』
スイ:『あたしは…友達を食べるような本当の悪魔にはならない!』
??:『ふーん。本能に逆らえるって本気で思ってるの?それに友達だなんて…あの片翼しかいないくせに』
スイ:『そんな本能、あたしは認めない!あたしはみんなが楽しく遊べる世界を作る為に魔王を継いだんだ!』
??:『…まぁ、せいぜい頑張りなよ。だけどね、お姉ちゃんは必ずみんなに災いを呼ぶよ。あの片翼の天使と一緒に、ね』
スイ:『トキルちゃんを傷つけさせはしないし、あんたにこの体は渡さないよ!メイ!!』
トキルちゃんは大変な思いをしてきた。
あたしではトキルちゃんの片翼にはなれないかもしれない。
だけど、あたしには繋ぐ手がある!
メイ:『あははははっ!よく言うよ。留学にきたレリエルに興味を持ったのは美味しそうな魂に反応したからでしょ』
スイ:『…!』
メイ:『今思い出しても興奮するよ。光が闇を内包していて…特にあの頃の鬱屈としていた心が美味しそうで…♪』
スイ:『言うな!』
トキル:『姉さん!心を静めて』
スイ:『え?ト、トキルちゃん!?』
ここにいるはずのないトキルちゃんが、あたしの横に…
トキル:『ヒメの魂を早く定着させて!』
スイ:『!…うん!』
あたしはトキルちゃんのおかげで冷静さを取り戻し、儀式を続けた。
―
メイ:『ちぇっ…やっぱり来てたんだねぇ、片翼のレリエルちゃん』
言葉とは裏腹に、どこか楽しそうなメイ。
トキル:『…あなたは封印したはずよ、魔王』
メイ:『人間の世界にいれば力の採集には困らないからね』
トキル:『魔王を継ぐ者に与えられる災厄獣
lt;ディザスター
gt;…スイ姉さんの為にならない力ならあたしが消すわ』
トキルは闇色の片翼を顕現させる。
メイ:『それはやめた方がいいよ。魔王のくせに仲良く楽しく暮らしましょーなんて言ってるお姉ちゃんが魔王の証を失う…どういう意味かわかるよね?』
トキ
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