笑夢:ゆりちゃん!大変ですよ!
笑夢お姉ちゃんがキッチンでお料理をしていたゆりちゃんの元へダッシュでやってきました。
ゆり:?
笑夢:時流さんが…時流さんが…!
余程のことがあったのか笑夢お姉ちゃんの口からは中々言葉が出てきません。
ゆり:時流お姉ちゃんがどうしたの?
首を傾げるゆりちゃんに、笑夢お姉ちゃんは深呼吸をして落ち着くと、こう言ったのです。
笑夢:い、家出を!家出をしてしまったようなんです!!
ゆり:!?
笑夢:これを読んでください
ゆりちゃんが受け取ったのはA4ノートで、こう書いてありました。
ゆり:…ろんりーうぇい このぼくの ろんりーうぇい おもうまま はしれめろすのように…?
作詞は秋○康。
笑夢:すみません、間違えました。こっちでした
ゆり:…姉さんとゆりへ
改めて受け取ったものをゆりちゃんは読み始めました。
――
時流:『姉さんとゆりへ。今日の下着は何色なのかしら?
…冗談よ。
いつかこんな日がくるって思ってた。あたしは黒の片翼…告死天使…二人とは…みんなとは一緒にいられないのよ。
ここでの生活はとても楽しかった。
みんな優しかった。
だから…あたしは…
姉さん、ゆりのこと頼んだわよ。
あたしが頼み事出来る相手は笑夢姉さんとスイ姉さんしかいないのよ。
あたしが姉さんにとって良い妹だったかはわからない。
だけど、笑夢姉さんは最高の姉だった…いいえ、最高の姉よ。
ありがとう、姉さん。
―
ゆり。
ゆり、あたしは良い姉じゃなかった。
いつもいつも笑夢姉さんに可愛がられてるゆりを見て、あたしは嫉妬してたのよ。
ごめんなさい。
ねぇ、ゆり。
それでもあたしはゆりが大好き。
信じてもらえないかもしれないけど、何かにつけて厳しくしてたのはゆりの為なのよ。
笑夢姉さんが飴なら、あたしは鞭になって…たとえ嫌われてでもゆりを一人前にしてあげたかったのよ。
ゆりはみんなから愛されている。
だからみんなを愛せ、なんて言わないわ。
だけど、みんなを愛せるくらいに努力は怠らないようになさい。
ゆり、大好きよ。
そうそう、チョコは程々にしなさいよ?
後で泣くのはあんたなんだからね。
―
カズ君へ。
頑張りなさい。以上。
…冗談よ。
色々あったけど、カズ君に言いたいことがあるのよ。
妹の力になってくれてありがとう。
…やっと言えたわ。
これからもゆりをよろしく。
隙あらば押し倒すくらいの甲斐性みせなさい。
子供の名前にはあたしの名前からとってね。
―
榛希…あたし達って結局なんだったのかしら?
友達?仲間?恋人?夫婦かしら?
どれも合ってて、どれも違うような…なんだか難しいわね。
ねぇ、榛希。
あたしはあたしとして強く在れたかしら?
あたしはあなたの天使でいられたかしら?
ねぇ、榛希。
あたし…あたしは…本当は…
…やめた。内緒よ。
あなたが天寿を全うしたその時に…教えてあげるわ。
―
本当は他にも色々言いたい人や言いたいことがあるんだけど、未練になるからやめておくわ。
それじゃ…みんな元気でいなさいよね。
あたしは故郷からみんなを見守ってるから。
相坂時流』
――
ゆり:時流お姉ちゃん…そんな…
読み終えたゆりちゃんは真っ青な顔で、ぐらりと傾きました。
笑夢:ゆりちゃん!
笑夢お姉ちゃんはそんなゆりちゃんを抱き抱えて支えます。
ゆり:笑夢お姉ちゃん…ゆりが…ゆりのせいで時流お姉ちゃんが…!
ガタガタ震えるゆりちゃんはパニック寸前でした。
笑夢:ゆりちゃん落ち
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