6話―2


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スイ宅
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ナハト:あまりからかわないでくれ

危うくスイさんの寝室に突撃しそうになったナハトさんは、すんでの所で引き返してきました。
心なしか疲れた表情をしています。

時流:普通わかるでしょ
ナハト:スイだぞ?俺達の常識が通じると思うのか?相坂
時流:む…それを言われると…ねぇ?

ナハトさんの言葉に時流お姉さんも思わず納得してしまいそうです。

スイ:…

キッチンでお茶の用意をしていたスイさん(職業:魔王)は、二人の会話を聞いて、棚から髑髏シールの貼られた瓶を取り出しました。

時流・ナハト:すいませんでした、だからその手に持った瓶を置いてください

いわゆるひとつの『デスソース』でした。

スイ:えー?いーじゃんちょっとくらい
ナハト:デスソースなんかちょっと入った時点でやばいぞ

ちなみにスイさんの取り出したデスソースはタバスコのうん百倍の辛さの代物でした。
↑劇物です。むしろ兵器です。

時流:そもそも姉さん辛いもの嫌いなくせになんで持ってるのよ
スイ:面白いからー

スパッと言い切るのがスイ姉さんクオリティ。

時流:さすがスイ姉さん、歪みねぇっす
ナハト:マジパネェっす

スイさんの言葉に軽口を叩く二人ですが…よく見れば冷や汗が流れています。

スイ:やだなー、そんなに褒めてもデスソースしか出ないよ?
時流・ナハト:お願いですから普通のお茶を出してください

神魔融合最凶天使も、魔王のお目付け役に選ばれる実力を持つはずの死神も、魔王様に素直に頭を下げるのでした。



時流:おかしいわね…シリアスに家出してきたのにいつものノリじゃない

シリアスが長続きしないのがあいさかけ。

スイ:あたしのおかげ?
時流:…そうね

時流お姉さんにはもはや適当に返事を返すしか出来ませんでした。

ナハト:戻ったぞ

何故か買い出しに追い出されていたナハトさん(職業:死神)が戻りました。

スイ:遅いよー
ナハト:…

問答無用に追い出されたナハトさんでしたが、精神力を総動員してスイさんの言葉を聞き流し、荷物をテーブルに置きました。

時流:ご苦労様。ご褒美にあたしの足に口づけする権利をあげるわ
ナハト:いらんわ

さすがにスルーしきれませんでした。

時流:それはあたしの台詞よ
ナハト:無茶苦茶だな…

まるで酔っ払いとの会話だな…後に彼はそう語ったそうです。

時流:あたしに触れていいのは可愛い女の子とショタちゃんみたいな可愛い男の娘と榛…

榛希…そう言おうとした時流お姉さんはハッと口を閉じました。

スイ:…
ナハト:…

茶化せるものでもなく、二人は何も言えません。

時流:…なんでもないわ、忘れてちょうだい
スイ:…時流ちゃんはいつまで家出するの?

スイさんは本題に入ることにしました。

時流:…どうしようかしら?さすがに今日帰るのはみっともないし、かと言って一週間も家出なんか出来ないし…
ナハト:待て、追っ手は?女神と鮪がその気になれば隠れ続けるなんて無理だぞ?

女神=笑夢お姉ちゃん、鮪=ゆりちゃんです。

スイ:かもね
時流:いざとなったら姉さんとニャハトにゃんが本気で暴れたらいいんじゃないかしら?そうすれば
スイ・ナハト:だが断る

暴れたら街が壊滅的ダメージを負います。
もしくは流れ的にナハトさんだけが甚大なダメージを負います。

時流:つれないわね
スイ:正直に笑夢さん達に事情を話したら?
時流:…
スイ:下手すると大事になっちゃうし、榛希とか騒ぎだしたら面倒だよ?

スイさんも認める男、神谷榛希…通
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