6話―3


――――――
神谷・相坂邸
――――――

笑夢:…こんな時に誰でしょうか?

早朝、時流お姉さんを捜す準備として車を出していた笑夢お姉ちゃんに電話がかかりました。
その相手は…

笑夢:スイさん?…もしもし?
スイ:『もしもし笑夢さん?スイです』
笑夢:どうしました?実は今急ぎの用事がありまして…

暗に、後にしてくれと言おうとした笑夢お姉ちゃんでしたが、先手を打ったのはスイさんでした。

スイ:『時流ちゃんのこと…かな?』
笑夢:何故…!
スイ:『さっきプリキ○ア見てたら時流ちゃんが来てさ、「今までありがとう、お世話になりました」って言ってどっか行っちゃったんだよ』
笑夢:時流さん…

笑夢お姉ちゃんの心に、先程封印したはずの後悔が首をもたげます。

スイ:『よかったら何があったか教えてくれないかな?』
笑夢:実は…

――――
事情説明
――――

スイ:『そっか…よし、わかったよ。スイさんも協力しましょー』
笑夢:スイさん、良いのですか?
スイ:『良いも悪いもないよ。時流ちゃんはあたしの大事な友達だからね』
笑夢:スイさん、ありがとうございます…

あぁ、時流さんは良い友を得たのですね…笑夢お姉ちゃんの目に涙が浮かびます。

スイ:『今のあたし達に遠慮はなしだよ。今のあたしは時雨さんちのスイさんで、笑夢さんも時流ちゃんも相坂さんなんだからさ』
笑夢:はい…っ

笑夢お姉ちゃんは溢れる涙がこぼれないように我慢します。

スイ:『それでさ、あたしは時流ちゃんの行きそうな所、特に車無しだと行けないような所を捜すからさ、近場は頼んでもいいかな?』
笑夢:わかりました
スイ:『あ、榛希仕事中って言ってたよね?』
笑夢:はい
スイ:『大丈夫とは思うんだけど、今連絡したら仕事に集中出来なくなっちゃうと思うんだ』
笑夢:そう…ですね

榛希さんは真面目な人なので、あれもこれもしょい込もうとしてしまうのです。

スイ:『だから仕事が終わる頃…五時くらい?に連絡した方がいいかな』
笑夢:では榛希さんには私から連絡しますね
スイ:『うん、お願いします』

電話が切れ、トップ対談は終了しました。

笑夢:時流さん…必ず見つけます。そしたら…

AM09:30
追跡者行動開始。



―――
スイ邸
―――

スイ:ふぃ〜、これで時間稼ぎ出来るかな
ナハト:…顔色変えないでよくもまぁ

女は怖い…ナハトさんの顔にはそう書いてあります。

スイ:嘘は最初しか言ってないもん
時流:たまに姉さんが恐ろしくなるわよ…

スイ姉さんが特に怖いのよ、時流お姉さんの顔にはそう書いてあります。

スイ:さてさて、遠出しちゃおうか!
時流:何処に?
スイ:どこでも。久しぶりに美味しいレストランにでも行こうか?

家出を口実に、普段行かない所へ行くつもりみたいです。

時流:いいわね
ナハト:…それなら、俺は別行動を取らせてもらうぞ

立ち上がりながら、ナハトさんはバイクの鍵を取り出しました。

スイ:おーけー
ナハト:何かあれば連絡する

ナハトさんは手を振りながら去って行きました。

時流:…良かったの?
スイ:問題ないよ。笑夢さん達にチクったりはしないから
時流:ならいいけど…

今一つ納得しきれない時流お姉さんでしたが、スイさんの言う事なので信用することにしました。

もちろん…

スイ:(あたしの許可が出ない限りは、ねw

この心の呟きが聞こえていたなら、話は違っていたのでしょうが…

AM09:30
逃亡開始。



――――
白遊綺邸
――――

朝。
寝ぼけ眼を
次へ
TOP 目次
投票 感想
まろやか投稿小説 Ver1.30