決戦


時流:…なんてことが昔あったのよね

実は回想でした。

スイ:あー…初めてだとアレはきっついよね
榛希:三億年前には既にあの形だったらしいな

同情するように、スイさんと榛希おにぃはうんうん頷いています。

ゆり:ゆり…ゴキb
笑夢:いけませんゆりちゃん!その名を口にすれば奴は…!

笑夢お姉ちゃんは、まるで世界的なネズミマスコットの名前が出てしまうことを恐れるような態度です。
↑注)あのネズミの名前を勝手に出すと、えらいことになるのです。

ゆり:ごめんなさぃ…?
カズ:一度発見しちゃうと無視出来ないんだよね、あの黒いの

凄い存在感ですよね。

スイ:どれだけ綺麗にしてても出没するんだよね、Gって

G…代表的な隠語です。

榛希:冬くらいか、姿を見ないのは
時流:さすがにあたし目掛けて一直線に飛んできたのには参ったわよ
ゆり:だよね…
カズ:なんで人に向かって飛ぶんだろ…

飛んでくるのは女の子だけで十分です。

笑夢:そう言えば…ナハトさんの知り合いが、寝転がっていたら下着の中に侵入されたとか

『パンツにGが!?』
大パニックだったとか。

スイ:うわ…
ゆり:そ、そんなことになったらゆり…ゆり…っ

さすがのスイさんもどん引き、ゆりちゃんは顔から血の気が失せてます。

榛希:…何故、おばちゃんと呼ばれる人種はアレを平気な顔で退治出来るんだろうな?
スイ:おばちゃんだからだと思うよー

熟練した方だと片手で事足りるようです。
↑蚊と同じ感覚。

ぴんぽーん

玄関のチャイムが鳴り渡りました。

スイ:来たっ!
時流:姉さん!

それは待ち続けた存在の到着でした。

スイ:うんっ!…もしもし、持ってきた?…うん、リビング…

ガチャッ

扉が開き、ひょっこり顔を見せたのは

ショータ:持ってきましたけど…

ショータさんです。
ショータさんはもう少し扉を開こうと

笑夢:それ以上開けたらいけません!
時流:その隙間からこっちに転がして!そしたら扉をそっと閉めて!
ショータ:あ、はい…

二人からの指示で、ショータさんは持っていた袋から大きめのスプレー缶を取り出し

カラカラ…コロコロ…パタン…

転がし、静かにリビングの扉を閉めました。

榛希:…待ち侘びたぞ!

スプレー缶を拾った榛希おにぃ。

カズ:兄さん!
ゆり:おにぃ!
笑夢:榛希さん!
スイ:榛希!

みんなが榛希おにぃを呼びます!
みんなの期待に満ちた声が、目が榛希おにぃに力を与えてくれます。
なにより

時流:一撃よ、一撃で決めなさい!榛希!!

時流お姉さんの言葉は榛希おにぃに無限の力を、そして勇気を与えてくれました。

榛希:消えろーっ!!

↑ちなみに全てウィスパーボイス(囁き声)

いきなりクライマックスなリビングの外では

ショータ:…何をしてるんだか

ショータさんが呆れ

ヒメ:ゴキブリ退治…のはずだよね?

ヒメさんは首を傾げ

ナハト:…こんなことの為に俺達は呼び出されたのか

ナハトさんは深く溜息をつきました。

ガチャッ!

時流:こんなこととは聞き捨てならないわね!
笑夢:フライングGなんですよ相手は!

退治に成功したらしく、みんなが出てきます。

スイ:さすがに届かない位置にいられたら…ね?

肩を竦めるスイさん。

ショータ:…別に僕らを呼ばなくても
ゆり:だ、だって飛ぶんだよ!?動いたらろっくおんされちゃう!
ヒメ:というか…スイさんも時流さんも平気な気がするんだけど…そこんとこどうっすか?

ですよね、そんな気がしますよね。

スイ:ん
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まろやか投稿小説 Ver1.30