始まり


アキ:ふふふ、根回しは完了しました。あとは…ふふふ…うふふふふ…あははははっ

闇に響く笑い声。
そう、彼女の願いが叶う時が訪れようとしていた。
彼女の名はアキ。
彼女は…



笑夢:それでは番号!

今日という日。
いつものように暑い日。
ここ、神谷家の前で点呼確認が行われた。

ゆり:1〜
カズ:2
時流:3
榛希:4
ヒメ:ふぁいぶっ
ショータ:6
楠:ななー
アキ:Hachi
たいら:9!
マーシュ:10
三原:11
笑夢:12!
スイ:ナハトさんが13であたしが14!
笑夢:はい、全員揃っていますね

笑夢は満足そうに頷く。
満足なのは13という不吉な番号にならなくて済んだ為である。

時流:…スイ姉さん?ニャハトいないわよ?

そのNo.13ことナハトであるが…
見渡す時流。スイが代返したナハトの姿はしかし、ここにない。

スイ:昔々、ナハトさんがいました。ナハトさんは山へしばかれに…じゃなくて、みんなの為に場所取りに行きました。めでたしめでたし

場所取り…そう、ここにいる者達は皆で遊びに行く為に集まったのだ。
目的地は…プール。
夏のアヴァロンである。

榛希:…一人でか?

人数比13:1。さすがに同情を禁じ得ない榛希。

スイ:うん

そして、なんの悪意もなく頷くスイ。

ショータ:…今頃寂しくて泣いてたりしてw
スイ:ないないwでも泣いてたら面白そうだからその意見採用っ
ショータ:採用されたw

そんなことで泣く成人男性は面白いというより嫌かもしれない。

そんな時だった。

スイ:ありゃ、メールが…うわっw

メール確認していたスイが声をあげた。

時流:どしたの?

スイの携帯を当たり前のように覗き込む時流。

スイ:ナハトさんがw

ナハトからのメールのようだ。
その文面は…

『馬鹿言ってないで早く来るように。さすがに一人だと暇だ』

やけにタイムリーだった。

笑夢:まるでこちらの会話を聞いてるようです…
アキ:気に入りませんね
楠:あ、ボクがなんとなくメールしたんです。『泣いて舞ってろ』って

犯人が判明した。
ガケの上でもないのに自白した楠。
2時間サスペンスの犯人役には向いていないかもしれない。

マーシュ:…?
三原:…舞ってろ?

なにやらイントネーションがおかしかったと気づいた二人。

たいら:泣きながら踊り狂うナハト…キモいな

思うまではいいが、それを口に出すのは先生としてどうなのか?

ヒメ:面白いかもしれないじゃない!

ヒメの座右の銘は『可愛いと面白いは正義』である。

アキ:まぁ、正直どうでもいいです。早く行きましょう

彼女の頭の中は、女性陣の水着姿を見ることでいっぱいである。

笑夢:そうですね。それではたいら先生とスイさん、運転お願いします

さすがにこの人数を一緒に運ぶ車がなく、榛希、たいら、スイがそれぞれ車を用意した。

たいら:了解しました
スイ:おーけー。んじゃあ、ヒメちゃんとショタさんとくーちゃんはあたしので

言いながら鍵を取り出し車へ向かうスイと、それに続く三人。

たいら:マーシュ、三原、それと…
アキ:先生、私も同乗させてください
たいら:おー、わかった

普段ならば、アキは榛希の…というよりも相坂姉妹か、ヒメと楠と一緒の車を選んでいただろう。
だが…違うのだ。
そう…

アキ:(空腹は…最高のスパイスです

敢えて距離をとり、妄想力を高める作戦だ。

榛希:決まりだな。それじゃ行こうか

…数々の妄想と煩悩を乗せて彼ら、彼女らは行く。

…目的地はプール。


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まろやか投稿小説 Ver1.30