『終着点』への想起


 時速百二十キロメートルの世界で彼は想起する。



 時速百五十キロメートルの世界が彼に頭痛を起こさせる。



 時速三百キロメートルの世界は彼を切なさへと誘う。



 秒速三百四十四メートルの世界では彼の唇が想いを読み取る。



 秒速三万キロメートルの世界に彼が答えを見つける。



 もっとも早い世界の彼を他の彼は感じない。



 その時、彼は。






 彼は時速百二十キロメートルから想起する。


 ただ一つの恋の物語を。
10/12/01 20:52更新 / 楽堕 天
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まろやか投稿小説 Ver1.30