TJ部


#活動内容不明の部活「TJ部」。
#ある土曜日の午後、主人公が女の子を拾ったと部室に釣れてきました。


――土曜日の午後。午前中の授業が終了してからブラブラしていたらあっと言う間に1時過ぎだ。
俺は学校の北側、特別教室棟の4階の角の教室の前で立ち止まった。
毎日見ちゃいるが、ドアに張られた女の子字の「TJ部♪」だけは未だに慣れない。変えて欲しい。
部室の中ではテレビをつけているのだろう。ドア越しに「どこかの国の王女が逃げた」とかいうニュースが漏れ聞こえている。
いや、そんなことはどうでもいい。
説明はしにくいが……今はいつもと全く違う状況にある。
俺の手に握られている小さな手からは心許ない温もりが伝わってきていた。


「ちーっす」
「――わぁ、ナハトさん。いらっしゃい」
ドアを開けるといつものようにえみる、通称えむの一声。
部室には既にいつもの顔が並んでいた。
いつもの顔と言うのは、ノートパソコンとにらめっこしながらカチャカチャと小説を書いているロリっ娘ゆり、そのゆりに後ろからちょっかいを出そうとしている相坂に、それを叩いている常識人ユリア、その傍らにはなぜか綺麗なアーチを描いてブリッジをしている魔人たいら、そして微笑を浮かべ優雅に紅茶を飲んでいる部長えみる……ブリッジしているたいらを椅子代わりにしてなかったら優雅なんだろうけどな……。
見てもらえばわかるとおり変な奴らの集まりだ。
ちなみに全員に本当の名前があるのだが、ここではニックネームで呼び合うことが暗黙の了解になっていた。
あの時……あの不思議な交通渋滞が縁となってできた部なわけだが、そんな過去のことは今はどうでもいい。

「あー……えむ」
「はい?」
まるで春風のような笑み。色々間違ってなかったらいい笑顔だ。たぶん。
「たいらからどいてやれよ……」
「うん? けれどイスが壊れちゃいまして。困っていたところにたいらさんが丁度綺麗なブリッジしていたので、つい」
「ついじゃないだろ!? それだけの理由でたいらに座ってるのかよ!?」
「ナハトよ、ブリッジはいいぞッ! おまえもやるか、イスをッ!」
「やらねぇよ!」
「そうね……次はたいらをWiiフィットのボード代わりにして、誰が一番たいらの上でバランスを取れるか競争しましょ」
「相坂はもっと鬼だな!」
「ゆりもやりたい〜っ! ユリアお姉ちゃん、競争だよ」
「……ゆりちゃんが言うなら仕方ありません」
「仕方あるよ! ゆりが言ったからってユリアも言うこと聞かない!!」
「ふふっ、負けません」
「えむは靴脱ぐなよ! 上がるなよ! バランスいいなオイ!!」
「ナハトよ、ブリッジはいいぞッ! ここからだとパンツ見放題だッ!」
「おまえ案外下心いっぱいだな!?」
くっ……いつものことだがツッコミが間に合わない!
そんなときだ。

「――楽しそうだな」

俺の横――正確には俺と手を繋いだ物体から声が響いた。
みんな俺のほうを見て……絶句した。

「ナハトナハト、あれ楽しそうだ。わたしもまぜてほしい」
その声を発した女の子――年の頃は10歳ころ。
ふわふわの白の帽子と赤いコート。どっちもお高いブランドだった気がする。
何よりも目を引くのが綺麗な金髪とブルーの瞳だ。
そいつが俺の服の袖をくいくいっと引いて、キラッキラとした目で俺を見つめている。
「わたしもやりたいぞ。バランスには自信がある。ブーツは脱いだ方がいいか?」
流暢な日本語。
いきなり悪影響をモロに受けてんぞ。どうしてくれるんだお前ら。
俺から手を離し、んしょ、んしょと早速ブーツを脱ごうとさえしてい
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まろやか投稿小説 Ver1.30