1分でわかる! 魔法使いの夜ってこんな話だ!
未プレイの方に簡単説明!(ネタばれなし)
#蒼崎青子と久遠寺有珠(くおんじ・ありす)は山の上の豪邸で2人で住んでいました。
#青子は魔法使い見習い、有珠は凄腕魔法使いです。
#そんな2人ですが、ある日魔法使い退治の様子を目撃されてしまいました。
#目撃したのは電気も通っていない山から越してきた少年・静希草十郎(しずきそうじゅうろう)。
#そんな目撃者の口止めをするため、なんやかんやで青子、有珠、草十郎の3人で一緒に住むことになったが――
ちなみにこの話をゲームにしていますw
http://milk0824.sakura.ne.jp/web_maker_ver_tj/maho_yo01.html
――最近、有珠の様子がおかしい。
お人形のように表情も乏しければ口数も少ない有珠だから、傍目にはその変化はわからないかもしれない。
けど1年も一緒に生活をしていた青子は敏感に感じ取っていた。
「何かが違うのよね。何がおかしいかっていうのははっきりとは言えないけど……まさかとは思うけど」
学校帰りの山の豪邸へと続く坂道。
青子は一人つぶやいた。
いつも通り居間のソファで静かに本を目を落としているのだけど、やはり以前とは違うのだ。
落ち着かない……と言えばいいのか、心ここにあらずと言うのか。
悩んでいるうちに到着。
鉄ごしらえの門を開け、月明かりに照らされた豪邸へと足を進めた。
広いロビーを抜け居間の扉を開いた。
「――――」
ドアを開けた瞬間、ソファに座っている有珠と青子の目が合った。
「……――」
その目線が一瞬左右に泳いで、すぐさま読んでいた本に落とされた。
「……ただいま、有珠」
「…………おかえりなさい。遅かったじゃない」
なんだ、この間は。
青子の眉が軽く歪む。
有珠は青子がドアから入ってくる前から、わざわざ本から目を離してドアを見つめていた……ように感じられた。
以前はこんなことはなかった。
大体は青子が帰ってきても本に目線を落としたままの生返事だった。
首を傾(かし)げた時、ロビーの方でドアが開く音がした。
どうやら草十郎も帰ってきたようだ。
――ピクッ
ん?
有珠の本のページをめくる手が止まった……気がした。
ほどなくして居間のドアが開き、案の定、この家最後の住居人、人畜無害を絵に描いたような少年が顔を出した。
「ただいま。春とはいえまだまだ冷えるね」
「おかえり、草十郎」
「蒼崎も今か? 今日は遅いな」
「生徒会。この時期忙しいのよ」
そう言いながら青子が有珠に目を向けると、
「――――」
有珠は『私、全然気付いてませんけど?』と言わんばかりに本に目を落としていた。
「ただいま、有珠」
「――あら」
草十郎から声を掛けられて、初めて有珠が顔を上げた。
どこか白々しさが混じった声。
それも一瞬で、すぐに興味がないといった様子で本に目を落とした。
「――帰ってたの? 気付かなかったわ」
……は?
青子は口から飛び出しそうになった声を慌てて押しとどめた。
「まだまだ外は寒いね」
「――そう」
本に落とされた有珠の目線。
「……」
青子が見る限り……どう見ても全く文字を追っているように見えない。
明らかに意識は別のところに行っている。
「――」
ほんの一瞬だけ上がった目線が草十郎に向けられ、
「……」
すぐに本に落ちた。
そして少しだけ体を動かし、草十郎のいる方向から体の向きをそらした。
全くもって気になんてしてないわ、ということを表そうとしているかのよう
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