揉めばミルクの日和あり

「時に理樹君」
「ん、何来ヶ谷さん?」
いつもの数学サボったお茶会。来ヶ谷さんが話しかけてくる。
「修学旅行で例の転落事故に遭わなかったときの最初の目的地、覚えているか?」
そんなもん覚えてるわけない。僕健全だから。
「健全じゃなくて健忘じゃないのか?それは」
脳内ボケに突っ込まないでくれるかな。
これじゃこの部分が僕のセリフみたいじゃないか。
「でもそんな話を振るほうがおかしいよ」
「おかしいわけではあるまい。ミルクティーを見たら思い出したのさ」
「ふぅん」
ミルクティー…。
もしかして、あの先にはワープ時空があって、僕らはそのままスリランカあたりに飛ばされて茶摘みでもさせられた挙句プランテーション農園永住ツアー…?
恐ろしい!この学校は恐ろしい!
あのバスは奴隷船だったなんて!
だったら転落して正解だったんだ!僕英雄!
「…本気なのか?」
「うん、半ば」
「…」
ゴキュッ。首が3度くらい曲がった。


「やれやれ。牧場だろう、最初は」
「そーでした…」
牧場。
相坂さんの実家のある県には、かつてドリフトのメッカがあった。
そこが牧場脇。だけど結局警察の監視が厳しくなって廃れたらしい。
相坂さんもそこで無茶やってマシントラブル。
警察呼んで助け求めたらそれはそれはこっ酷く叱られたとか。
「相坂女史の赤っ恥はどうでもいいんだ」
「牧場でロデオでもするの?パンツ見放題なんですが(笑)」
「…」
ゴギッ!首がさらに10度曲がった。
もう軽く横向かないと来ヶ谷さんが直視できない。
「乳搾りだ。乳搾り。私もしたことがなくてな」
楽しみだったんだ。付け加える来ヶ谷さん。
乳搾り…来ヶ谷さんが乳搾り…来ヶ谷さん『で』乳搾り…!?


『あぁっ…理樹君、っ、そんな、急かさなくてもいいぞ…』
『甘いミルクは逃げたりしない…ッ』
『そんな強く絞るなっ…!』
『あぁ、乳房が、乳房がつぶれてしまう…』
『ダメだっ、出る、出る出る出る…っ!』
『また、大きくなってしまうではないか。キミのせいだぞ』

「来ヶ谷さん!今すぐここで乳搾りしよう!」
「断罪してやる」
「うわぁっ!」
そのあと、放送室に連行された僕が、密室でデスマッチのあと、
本格的にいろいろ搾り取られたのは言うまでもない。
09/11/12 21:11更新 / 相坂 時流
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まろやか投稿小説 Ver1.30