生クリーム。

にゅるにゅる、ぴっ。
さっき一生懸命ボールで混ぜて、それらしい感触になった、クリーム。
搾り用の袋に入れて、先端にキャップを付ける。
もうこれだけでも美味しそう。これだけ食べたい。
そんなことを思いつき、絶対胸やけ起こすよ、とセルフツッコミ。

「やはー理樹ちゃん。何させてもサマになりますネ」
葉留佳ちゃんが横からさっきの生クリームを指ですくい、舐める。
「ん。美味しい。理樹ちゃんやっぱり料理の才能あるよ」
「そうかなぁ。葉留佳ちゃんに比べたら、全然」
「何を謙遜しているんだ、直枝女史。おねーさんが嫁にもらっていいくらいだ。こんなに何でもできるんだからな」
「そーだよー。りきちゃん、お料理にお裁縫にお洗濯、お勉強に運動、出来ないことがなさすぎるんだよー」
そうかなぁ。ボクはいたって普通にやってるだけなんだけど。
口に出さずそう思いながら、タルト生地にクリームを出し、その上にフルーツを乗せる。フルーツケーキ出来上がり。
「わー、おいしそー」
「リキのお菓子は美味しいから大好きですっ」
「うんっ。いっぱい食べてね」
「おねーさんはその生クリームを理樹君にぶっかけてそのまま食べてしまいたいぞ…無論答えは聞いていない」
それは困るよ。物騒だなぁ、来ヶ谷さん。


「っておまえら!疑問に思ってないのかっ!?」
鈴、みんなの迷惑になるから、大声出しちゃダメだよ?
「何がだ鈴少年」
「くるがやっ!お前おかしいぞ!くちゃくちゃおかしい!」
「鈴、ダメだよ、お友達におかしいって言っちゃ」
「〜〜〜っ!」
地団太踏むなんて、可愛いけどダメ。
「理樹が女であたしが男なんだぞ!?おかしくないか!?」

「「「「「「全然」」」」」」
「なにぃっ!?」

「第一鈴君は今までもこれからも男の子じゃないか」
「そーだよー。女の子に憧れるのは分からなくもないけど、だからってりきちゃんに八つ当たりしちゃダメなのです」
おっけ〜?
「全然おっけ〜じゃないっ!」
「これは絶対何か裏があるんだ!」
「んー。鈴くん〜、保健室行く〜?」
「こ、こまりちゃんなんか嫌いだっ!」
「…女に憧れる棗さんと、その羨望の対象、直枝さん。二人の間に生まれる熱い愛の炎…アリです」
「ふかーっ!」
鈴っていつも可愛いなぁ。男のくせに。
そんな風に微笑ましく思いながら、ボクはお茶会の準備をするのだった。
09/11/13 21:55更新 / 相坂 時流
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まろやか投稿小説 Ver1.30