-未だに連載が続いているこの状況になんだとって言いたいよ、オサレ-

翌朝。
市内の高層マンションの一室。
乱雑に脱ぎ捨てられた女物の服と下着が二人ぶん。
もぞもぞと動くモノ。
「んっ…ちゅっ…」
「ときるんひゃぁん…お仕事、おしごといかないと…んぷっ…」
目覚めて早々奪われる唇。口腔内に進入する舌。
「れろぉっ…」
「んぁ…っ…」
これ以上は正直イロイロなところからツッコミが来るのでお見せできません。これ以上の許可を求めるならみんなで署名活動して管理人さんにお願いしましょう。
唾液の糸がスッ、と切れ。
「それもそうね。遅刻したら大変だし」
「こ、今夜こそは、自宅に帰りますから…」
引かれる、手。
「え」
「妨害してでも終電逃がしてまた一緒に」
「ちょっと…」
冷や汗。少し引き攣っている口元。手を引っ張り続ける相坂。
「ね。シャワー一緒に浴びましょ?」
「そ、それは、ちょっと…」
遠慮がちに伏せ目になる百合愛。でも次の瞬間には。
「今更恥ずかしがることもないでしょ。昨夜だって」
「わーきゃー」
意味深な悲鳴だけを残して、そのカラダはシャワー室に放り込まれるのだった。


 外の天気は快晴。秋だというのに真夏日になりそうな海岸沿いの幹線道路をオープンで走るスズキ、カプチーノ。相坂の車だ。隣には百合愛。
「酷いですときるんちゃん。シャワー室であんなことをするなんて」
あんなことがどんなことかは想像にお任せします。管理人さんに15禁未満で止めるように言われていますので。
「おかげで遅刻決定です。管理者ミーティングに間に合いません」
「大丈夫。えみるんも来ていないに60万ペソ」
「大胆ですね」
聞きながら、なるほどその可能性は高いとため息。
朝はああ言ったけど、今日も帰れそうにありません。
仰ぎ見る空はどこまでも憎らしいくらいの蒼。
「しっかりやんなさいよ、店長」
「わたしは店次長です」
「実質店長」
「嫌な肩書きですね…」
実質店長。実際そうでしかないのだが。
到着後、案の定店長ことえみるはゆりもろとも大遅刻。
テレビ会議で指名され言葉に詰まり、統括部長から電話が入る始末だった。

「今日はチーズケーキですw」
「もしゃもしゃ…♪」
「…」
そして午後3時。現在売り上げ、2万円。
「…」
「コレ終わったら売り場のテレビでWiiしましょうw」
「うんっ♪」
「…」
パキッ。音を立ててキーボードが割れる。
「いい加減にしてください、店長」
「はいっ、店長ですw」
「…」
バキッ。音を立ててディスプレイが割れる。え、ディスプレイ?
「ごめんなさい、もう付いていけません。何なんですかこの店」
「街の電気屋さんです」
「…」
百合愛、その場を去る。
頬に、一筋の涙を残して。
「百合愛さんっ!」
「ゆりあお姉ちゃん!」
何か事件が起こりそうな予感。相坂は対応中でその場を動けない。
「りありん追いかけっこ?スイさんも参加するー!」
何故かスイが走り出した。
「違いますっ!構わないで下さい!」
「とっ捕まえたら何くれるのー?アイスー?」
「何もあげませんっ!」
泣きたくても泣けない。弱みを握られそうで。
倉庫に逃げ込んだ彼女に伸びる手は、果たして。

「おい実質店長、何処行く気だ?店潰す気か?」
「那覇さん…」
汗まみれの、那覇だった。
11/11/07 23:03更新 / 相坂 時流
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まろやか投稿小説 Ver1.30