その9

コンコン。

遠慮がちなノックの音に意識が戻ると、もう23時半。

いけないいけない。
「律、消灯過ぎてる。もう寝ないと」
「・・・ん、あ、そうだそうだ」

あわてて蛍光灯を常夜灯に変え、二人で。

「なんで律が下のベッドにいるんだ」
「澪こそ上にいけよ」
「おまえがどけ、上が怖いならエキストラでもいいだろ」

・・・。
「「まあいいか」」

なんとなく空気がそうなっちゃったのと、ベッドが思っていたより空間に余裕があったことが重なって。

「一体何年ぶりだろうな、こうやって寝るの」
「さあてね」

律の寝息をすぐ傍に感じているうちに、私も意識が消えていった。

ええ、翌日には結構後悔しました。
まさか唯達が合鍵で、寝ているうちに入ってくるなんて思わなかったし。
というか合宿モード時には大抵誰かがやるから、気をつけていたつもり、だったんだけどな。

「くっそ、自爆したも同然じゃん・・・」
「ああ、油断した・・・というか安心しすぎた・・・」

2人で「証拠写真」を見せられたときの感想。
唯と梓のニマニマ顔に腹が立つ私たちでした。
せめて和にまで、微笑ましく見られたくないんだけど。


朝7時半、少し早めに視聴覚室に集合。
みんなでコンチネンタル・ブレックファスト。
コーヒーは恭介・唯湖さん・謙吾・佳奈多さん・葉留佳さん・律さん・梓ちゃん。
紅茶は澪さん・唯さん・和さん・佐々美さん・美魚さん・僕。
ホットミルクを選んでるのがクド・小毬さん・鈴・それに真人。
3派が香りをせめぎあった後、このあとの計画を確認する。
8時半ごろに恭介が憂ちゃんと紬さんを迎えにいくこと(戻ってくるのは9時半ごろ)、
その間は適当にボリュームを絞って練習、2人が戻ってきたのを確認したら、
午前中はまず一番大事な曲目の一次決定、それから少し早めに昼食にして(紬さんが3時ごろまでが本当に限界なので)、一度目の通し練習。
それを見学しながら、佐々美さん・謙吾・真人たちを中心にステージのイメージ構築。
2時過ぎにいったん終わらせて、桜高軽音部名物のティータイム。
憂ちゃんと紬さん、それから今回は美魚さんが乱入?して腕を振るう予定。
紬さんを恭介が送ったあとは、順次譜面を確認しながら個人練習。
7時半くらいからご飯、そのあとは今日は自由時間。日曜日は紬さんが最後まで大丈夫なので、
むしろ明日に全力、ということ。

ごく最小限のメイクはしているみたいだけど、軽音部はどうやら皆よく眠れたみたいで、すっきりした顔をしてる。よかった。
こちらは朝が弱い小毬さんや美魚さんが、やっぱりちょっとへろへろ。
小毬さんなんて苦いの苦手なのわかるけど、
蜂蜜まで入れたホットミルクで緊張緩めちゃだめだよね。
もうゆるんゆるん。ほとんどたれぱんだのオーラにのっとられてる。
美魚さんも、ああ見えて昨日、彼女にしてはハイテンションだったのが効いてるかも。
一方でテンションがとにかく高いのが、まあ案の定真人・謙吾・葉留佳さん・クドの4人。
クドがホットミルクなのはむしろわかる。最近真人と一緒に朝練習に行ってるし。
あんまり筋肉筋肉してもらってもそれはそれなんだけどなぁ。
「おぅそういえば理樹、今朝校門前の道路にすごいタイヤのマークがついてたんだけどよぉ、ありゃいったいなんだったんだろうな。この辺暴走族なんかいたか?」
僕に振らないでよ、と思ったところへ謙吾が。
「暴走族だなんていうな、ああいうのは珍走団っていうんだ。だが、そういえばすごい痕があったな、真人。あれはバイクじゃなくて4輪車だな」

昨日夕食に音を聞いたと
次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6 7]
TOP 目次
投票 感想
まろやか投稿小説 Ver1.30