そうこうしているうちにお昼時で賑わう模擬店の通りをぬけ、講堂前。
正面に掲げられた時計の針は12時20分。
入れ替え時間なのか、直後にドアが開いて少しお客さんが外に出てくる。
「もったいない話だ、この後は絶対にいいものが観られるのに」
「ま、それは人それぞれですからネ」
「わふー、とっても楽しみなのですっ。席があいてるといいですね」
「・・・かなり前のほうで、左側一列だけあいてるみたいだね」
みんなでそこに陣取る。
いっちばーん!って駆け込んだ葉留佳さんは当然ながら結局一番端っこになり、
そのあと僕、クド、唯湖さんの順番で席に着く。
お客さんの入りはすでにほぼ満席、盛り上がってるなぁ。
立ち見で妥協あるいは遠慮している人たちも少しいるくらい。
半分くらいは桜丘の制服姿の女子、
残りは先生方あるいはOBもしくは保護者・親戚筋みたいな人たち、
それより少し少ない割合で招待客みたいな雰囲気の人たち。
・・・はっきり言って、ゴスロリって思いっきりめだってるよね。
女子高、だからか、うらやましそうな視線は多そうだけど。
特に唯湖さんと葉留佳さんは、もともとただでさえ人目を引く人たちだし。
30分前からはじまったのは落語研のステージ。
(これも結構面白かった。
笑点を意識した大喜利構成なんだけど、ネタの工夫が利いてるのと本家大喜利のパロディを織り交ぜたことがうまく働いていて、なかなかの出来。
来ヶ谷さんがクックッと笑うくらい。いわんやクドは大喜びだし葉留佳さんは暴走入りかけ。
止めるのが結構大変だった・・・)
これが終了するといったんカーテンが閉まり、中でがたがたと設置音。
その間にさらに人が増え、しかも場内が期待に充ちてくるのを感じる。
落語研のときにはきっちり働いていたエアコンが、人の熱気に押され始めてる。
「わふー、すごい人気みたいですね・・・」
クドが話しかけてくる。
パンフレットを眺めていた葉留佳さんが笑い出す。
「スゴイ曲名ですな、”ふでぺん〜ボールペン〜(新曲!)”・”私の恋はホッチキス”・
”ふわふわ時間”だって。姉御に聴かせて貰ったのは、プチハードなくらいなのに」
軽いチューニング音がおさまる。
「詩はタイトルそのまんまだよ。そのへんのギャップも彼女たちの持ち味だな」
「かっこいい音がしてましたねー。早くもドキドキしてきましたー」
クドが手を胸の前で合わせると、
「次は軽音楽部、「放課後ティータイム」による、ライブを開始します」
のアナウンスに重なって、場内が減光され、そしてステージのカーテンが引き上げられる。
期待に彩られた黄色い歓声が静まった一瞬をついて。
ドラムスティックの乾いたリズムが3回響いて、演奏がはじまった。
おしとやか、おっとりに見える桜丘の制服姿の女の子たちの、早くも何人もが立ち上がって手を振り出すのが目に入る。
・・・女性5人のバンドにしては重量感ある低重心なサウンド。
特にドラムのパワフルさは強烈に意識させられる。
それにあおられて、すぐに僕の両隣、葉留佳さんとクドが立ち上がってリズムをとりだす。
「やっぱ生の演奏はいいですネー!」
葉留佳さんは速攻でノリノリ。
「わふー、すっごいかっこいいのです、痺れちゃいます!」
クドなんてぴょんぴょん跳ねてる。ヒール大丈夫かな?
ステージの子たちは、一人を除いてすごく個性的なコスチュームをしてる。
浴衣をベースにしているみたいだけど、上も少しボリュームを持たせたうえで下は思い切って裾を短くした、ミニスカート風。
もしかして一人は顧問の先生?結構な長身の黄色いジャケット
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