その3

機材の搬入が終わると、軽音部のメンバーはいったん準備室に下がり、
もう一度着替えて出てきた。
片付け時のジャージから、今度は僕たちにあわせてくれたのか、「ぷち」ゴスロリ系。
律さん・澪さん・紬さんがゴス寄り、唯さん・梓さんがロリ寄り。
聞いてみたら、去年の文化祭のときのコスチュームだったとか。
驚いたことに、今年から入った梓・・・ちゃん(1年生、後輩だったんだ)の分も含めて、すべて顧問の山中先生のお手製だとか。
ちなみに、あとで来ヶ谷さんが言っていた。
下手なブランド品より手間隙も素材の質も、さらには出来もいいものだって。
梓ちゃんが、かなり恥ずかしそうにしていたのが印象的。
肩も襟元もさらしてる律さんが堂々としてるのと好対照。

「お疲れ様でした」(理樹)
「うん、おっつかれー」(律)
「いきなりで手伝ってもらってすみません」(澪)
「いや、こちらこそ押しかけた格好ですまない」(唯湖)
「氷はまだあるかしら?」(さわ子)
「あ、大丈夫です。まだあと2袋」(梓)
「ねーねー、早く打ち上げ始めよーよー」(唯)
「わふー、おやついっぱいですね」(クド)
「ええ、だってお友達がいらっしゃるんですもの」(ムギ)
「はるちんのためにこんなに?嬉しいデスネ」(葉留佳)

「いや、別に葉留佳君だけのためじゃないだろう」
「というかすぐに遊んでいたひとがよく言えるよね・・・」
「やっぱりだめ?」
「あーもーいいよ、とにかく乾杯しよう」
「だよね、りっちゃん!」
「サボり2号の唯先輩が話をそらさないでください」
「うう、あずにゃんが厳しい・・・」

「まあまず、とにかく無事に終わったことに感謝して。
唯がなんとかまにあったことと、梓の初参加が成功だったこと、
それから、ムギに友達を紹介してもらえるこの日に」
といって、律さんが来ヶ谷さんに目を向ける。
「では私も。
琴吹女史にネットで初めて出会って、このバンドのことと演奏を聴かせてもらってから、
ずっと会いたい、生演奏を聴きたい、
そして私が大事にしている友人たちを紹介する機会を持ちたいと願っていた。
それがすべて叶えられたこの日に」

「ちょっとかっこつけてみて」
律さんがくだけた笑いを、唯湖さんがスパイシーな微笑を交換。
アイスティとダッチコーヒーのグラスを二人が鳴らす。

「乾杯!」
みんなで唱和。

「改めて紹介させてくださいね」
車座に配置した椅子にみんなが腰を下ろしたのを確認し、
めいめいにお茶請けのケーキとクッキーが回ったのをみて、紬さんが話し出す。
「桜が丘高軽音学部、放課後ティータイムのメンバーと顧問の先生です」
促されて、一人ずつ入れ替わりに立ち上がってくれる。
「部長でドラムやってます、田井中律です。
皆には、「りっちゃん」って呼ばれてます。だから、そう呼んでくれるほうが嬉しいな」
うら、と胸を張って演奏のときのイメージより小柄なデコさんが口火を切る。
「ベースと、なぜだかボーカル・作詞もやってます・・・恥ずかしいんですけど。
なんかすっかりなし崩しです、2年の秋山澪です。
ムギの紹介なら大歓迎。こちらこそ、ぜひよろしく」
少し人見知りっぽいしぐさ、でも一方で言葉は結構マニッシュ。基本生真面目?
「リードギターとボーカルもやってます。軽音楽ってなんだか知らないで部活に入って、
ギターも高校からです。MC長いってよくりっちゃんに怒られてます、平沢唯です。
うーんでも、ムギちゃんのお友達さんって、みんなすっごい美人さんだー。いいなー」
ああもう完全に見た目のまんま。ほわほわふわふわという擬音が服着
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まろやか投稿小説 Ver1.30