10月初旬の日曜日、お昼前。
「絶対やじゃー!ボケー!!馬鹿兄貴!!!」
いまや学校の名物集団、リトルバスターズの集まる2年生、
直枝理樹・井ノ原真人の寮室で、少女の絶叫が響き渡った。
「何でも結局あたしとリキに持ってくるな、ばかーっ!」
直後に部屋の扉が吹き飛ばされる勢いで開き、
あまりのダッシュでちりちりちりんと場違いな鈴の音を残し、
栗色の髪をポニーテールにした細身の少女が駆け出していく。
「あーあ、またやったか・・・」
「つか迷惑なんだよな、あいつらは・・・ウラヤマシイケド・・・」
「そもそも男子寮に平気で女の子たちが居座ることが許せん、
それも特上の美少女たちばかりを」
「いや理樹を独占しているリトルバスターズ、一度討伐されてしまえ」
「おいおい主旨がずれてないか・・・」
まあ毎度のことといってしまえばそうだが、
鈴はよく通る声質なうえに「黙ってみてればめちゃかわいい」こともあって、
男子たちは多かれ少なかれ彼女のことは意識している。
ゆえにやはり、その鈴が騒ぐことは注目をむけずにはいられない。
「なんかどさくさにまぎれて聞き捨てならない発言も聞こえたが・・・」
いつも通り筋肉を無意識かつ無意味に誇示する仕草とともに、井ノ原真人。
「いや意識してるかどうかわからないけどさ、
そういうことをいうから僕が無駄に嫉視と身の危険を感じるんだよ、真人・・・」
童顔ショタ・・・もといいつも通り健気な美少年、直枝理樹。
「ふむ、確かに鈴君の発言には一理ある。少々安易に構えすぎていたかもな」
大柄な男子たちの中でも負けない存在感をいつも通り隠さない姉御、来ヶ谷唯湖。
「追わなくていいのか、鈴を?」
制服姿の仲間たちの中で、いつも通りひとり剣道着の宮沢謙吾。
「今追いかけても逃げ回るだけです。少し冷静になるのを待つしかないでしょう。
帰巣本能だけはしっかりしてますから迷子にはならないでしょう、猫さんなだけに」
いつも通り一人冷静な、西園美魚。
「冷静なのはいいが、アイディア提供は美魚、お前だと聞いてるぞ」
背中に冷や汗が幻視できるが、表情は崩さずに。
「でも反対はされていない、むしろ賛成だと聞きましたが、宮沢さん」
「む、それもそうだな・・・というか賛成したくならないか?あれは」
「でもよぉ謙吾っち、冗談と済ませるにはちょっとばかりリスクもないか?」
「それもそうだな・・・お前がリスクなんて言葉をちゃんと使えたのも意外きわまるが」
「俺は理樹のことについてならどこまでもちゃんと考えるぞ」
「だから真人・・・」
「いやそれ以前に、理樹の女姿は俺たちだけのものだ」
妙に力のこもった調子で、真人。
「いやすでに某所で公開してしまったが」
「「・・・今なんて言った?来ヶ谷」」
「安心しろ、女子高でだ」
「「・・・しまったーっ、あのときかぁ!見逃したー!!」」
「いや、おねがいだからそういうこといわないでよ、
それに二人もそのリアクションやめて、そろそろ本当に
話が広がりそうな気配あるんだから・・・」
「それにしても、あちらは放っておいてよいのですか?」
「ああ、たとえ提案者がどうでも責任者はリーダーのあいつだ。」
賛成していたことはちゃっかり棚に上げて、謙吾が断言。
全員の視線が、いまや形無しのリーダーに向けられる。
そこで、棗恭介は呆然としてしゃがみこんでいた。
「確かにオリジナル脚本があげられなかったのは認める、
だがそれは言い訳にしてはいけないが忙しかったのも事実なんだ。
就職がいまこんなに厳しいとは思わなかったし・・・それに、西園の提案
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