「あらあらあらあら。偶然ですけど嬉しいですね」
「桜高祭から会う機会がなかったけど、鈴ちゃんや小毬ちゃんの
お話は聞いてたんだー、りっきゅんやゆいちゃん、クーちゃんたちに。
会えてとっても嬉しいよ。ねね小毬ちゃん、こまりん、でもいいかな?」
花のような笑顔、とはこういうのを言うのだろう。
5人はとりあえず場所かえ、ということで、
小毬がよく使っているベーグルショップに入っていた。
持ち帰りもイートインもできる、
打ちっぱなしのコンクリ壁にプロヴァンス風の手作り椅子と机を並べた店。
磨りガラスが優しい光を導いて室内を満たしている。
「このお店はねー、普通のも美味しいんだけど甘いのはもっと素敵なんだよー。
ムギちゃんとゆいちゃんでいいんだよね?一杯食べてねー。
それからゆいちゃん、おっけーですよー」
こちらも文字通り、煌く笑顔の小毬。
「うん、ごちそうになっちゃうよ。お昼どうしようかって二人で話してたんだ」
「私がついマクドって言っちゃうんですけど、いつもそれ、もどうでしょう、し」
どう考えても普通より甘いほうが2倍以上、しかもひとり3個にはなる分量を
さらっと頼んだ小毬に他の3人はちょっとびっくり目をしたが、
ちょうど焼き上げ時間にあたったこともあって、
出されてきたほかほかのベーグルと紅茶・コーヒーに、
目を輝かさない女の子はいない。
「今日はアルバイト代でてるからねー。おかわりもしてね」
「あ、そうだ。りっちゃんや澪ちゃん、あずにゃんも呼ぼうよ」
唯は言い出すなり、携帯を操作して一斉メールの準備にかかった。
「軽音部のみなさんですか?」
「そう。みんな会いたい、遊びたいって言ってるんだよー。
予定がなかなか上手くかみ合わないから、
ちょっと延ばし延ばしになってたんだけど・・・」
操作しながらも顔をあげて、ふんふんとうなずく。
「2年生ともなるといろいろあるでしょうしね。
あ、そうだ、申し遅れてましたわ。私 (わたくし)、笹瀬川佐々美と申します。
ソフトボール部でキャプテンを務めてますの。
リトルバスターズとは犬猿の仲・・・だったはずなのですが、
最近は小毬さんたちのおかげで一緒させていただくことも多くなってますわ」
「おー、ちょっぴりざますキャラだー。ねーねー、さーちゃんでいい?」
「みなさんおっしゃることは同じですわね」
苦笑ぎみに佐々美は応えた。
以前に比べれば、佐々美も少しは丸くなってきたと小毬は感じている。
唯・紬はそれほど相性が悪くなさそうだが、
もうすこし壁をつくるタイプだっただけに。
「食べながらでいいから、改めて自己紹介ね。
わたし、神北小毬。
リトルバスターズの一員で、でも野球ではちょっとおみそさん、かな」
「でも、こまりちゃんがいるからみんなまとまる」
「あらためて、ささせがわ・ささみですわ。
リトルバスターズにも最近は時折参加してますの。
鈴さんのリリーフを担当してますわ」
「ささみとはずっと仲が悪かったけど、
こまりちゃんのおかげで普通に話できるようになった。試合では頼りになる」
「それから・・・」
ああやっぱりちょっと人見知りモードに入ってしまった。
仲間の紹介には口を挟んでいた鈴だが、自分に順番が回ってきたのを自覚した瞬間、
小毬にくっついて半身を隠してしまう。
「あ、返事来た」
どうしようかな、と思った小毬だが、タイミングよく唯が声をあげた。
「どれどれ・・・。
りっちゃん、すぐ行く、場所ちゃんと教えろ。
澪ちゃん、近くにいるからすぐ向かう。
で、あずにゃんはま・・・」
「やっぱりここでしたね、唯先輩、ムギ先輩」
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5]
TOP 目次投票 感想