その3

皿の上のベーグルはさすがに追加にまでは至らなかった。
代わりにコーヒーや紅茶を平均2杯は飲み干したところで、皿が空になり、
それを機に腰を上げる。
小毬が会計をすませて、ぞろぞろと店から出る。
「では、そろそろ行こうか」
「うん、今日リトルバスターズはみんないるんだよね?」
「うふふ、楽しみ楽しみ。なにしろ女子高だと周りみんな女ばっかりだもんね、
たまには年頃の男の子たちを近くでみたいじゃん」
「ちょっと、緊張しますね」
「だいじょーぶ、リトルバスターズのみんなは素敵な男の子だよぉ、
きょーすけさんと理樹くん以外はちょっと規格外だからびっくりするかもだけど」
「リキ以外は男どもは馬鹿ばっかりだ、
ただ悪いやつたちじゃないからあんまり責めないでくれ」
「ちょっと棗鈴、宮沢様まで馬鹿みたいにおっしゃらないで」
「けんごも最近はかなりバカなの、ささみだってわかってるだろう?」
「う、まあそれは確かにそうかもですが、
でもでも宮沢様はちょっとまた別なのです。そう、
古式さんとか手ごわい人もいらっしゃいますが・・・」
「・・・ねね?」
かばんを手にしたところで、唯が不意に声を上げた。
「なんかさっきからちょっと気になってたんだけど・・・」
「なぁに、ゆいちゃん?」
「理樹くんって、りっきゅんのことだよね?」
「あ、そういえば。りっきゅんのこと、なんだか男の子みたいに言ってません?
みなさん」梓も続く。
「・・・そういえば、というかそれ以前に、
りっきゅんって、直枝理樹のことですか?」
「リキはリキだぞ、生まれてからこのかたずっと男のはずだ。
まあちょっと並外れて、女の姿も似合うけど」
「・・・え?・・・みんなの言ってるりっきゅんって、
理樹くんのことだったの?」
「気がついてくださいな、小毬さんも・・・って、ええええっ!!」
ようやくすべてがつながった佐々美が大声をあげる。
「まさか直枝理樹、
みなさんのところに伺った際に女装でもしていたということなのですか!?」
「ほえぇ、それは大胆だよ、理樹くん・・・」
「どうせ、くるがやとかはるかあたりのいんぼーだろう」
なぜか全部ひらがなにしたくなる調子で、鈴が断定する。
「「「えええええ!
ぜんぜん気がつかなかったよ・気がついてなかった・気づきませんでした・・・」」」
唯、澪、梓があっけに取られてしまう。
「なんだ唯、あたしと一緒にりっきゅんの胸揉み倒したじゃん、
そのとき気がつかなかったのか?」
「うーん、あれって偽乳だったの?真剣に気がつかなかったんだけど・・・」
唯はかぶりをふる。
「というか骨格とか肩幅とか、あとかすかだけど咽喉仏とか。
いやにはーたんとか来ヶ谷さんも気にかけてたからさ、
そのへんも考えると可能性はあるなって思ったんだけど」
律がさらっと流すように言うのに、澪が激昂する。
「だったらどうしてそれを言わない!」
「いや、言ったってしょうがないだろ?
もしりっきゅんにその趣味があるならそれはもうみんなが公認してるってことだし、
ないんならそれは3対1という状態から逆に考えれば、
もうこれは強制か罰ゲームかあるいはジョークって判断するしかないじゃん。
それをいちいち言い募るのなんて、それこそヤボってもんでしょ」
律に冷静に言われて、澪とそれに乗っかりかかった梓が瞬間的に冷却される。
「そうか、それはそうだな」
「そんなことバラされたら、りっきゅんすごく辛いでしょうね・・・」
「あとたぶんだけど、さわちゃんは気がついてたぞ。
憂ちゃんのおっぱいのことを考えれば、妙に鋭いあの人が気がついてないはずが
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まろやか投稿小説 Ver1.30