ところで、唯湖が遅れた理由。
・・・彼女は先に寄り道していたからだった。
第2会議室。
近隣の高校の生徒会間で組織されている連絡会。
今日は当番が周ってきているのが、ここ。
「というわけでこの案件についてはこれで決をとってよいでしょうか?」
佳奈多が仕切る会議。
全会一致でひとつの案件が通り、次に移る。
佳奈多は2学期に入り、風紀委員会を自分から解体した。
「風紀委員会はよくない形で実権と強制力を持ちすぎました。
生徒会の権限の一部まで取り込むような結果を招いていたのと、
それに伴って風紀委員会に対して、
さらには生徒会自体にまでも反感を持ち込む結果になっていました。
これはあるべき姿ではなく、また、生徒の自主性を削ぐ結果にもなっていた以上、
これからは風紀委員会という形で「風紀」を強制する形ではなく、
生徒それぞれの自主性を「秩序」に結び付けていく方向に変えていくべきだと考えます」
そう提起し、「生活委員会」に改組する形で強制力を放棄し、自身も生徒会活動から退く
ことにしようとしたのだが、
「そこまで責任を感じなくてもいいわ。それよりも、佳奈多さんの能力は貴重だから、
生徒会の無任所副会長という形で、雑務ばかりだけど仕事にとどまってくれない?」
という現生徒会長と「あーちゃん」寮長の意見で、
生徒からの信任票を改めて請けたうえで生徒会にとどまったのである。
現在の彼女は、生徒会連絡会の運営と実務に関する権限を一任されている。
それと予算執行とその監査。
「では・・・」
そこにノックの音。
「すみません、ちょっと失礼します」
間を取ってドアを開けると、
そこに唯湖が立っていた。
「来ヶ谷さん、どうしたのです?」
「仕事中すまない。
たしかいま、桜丘女子高の方もいると思ってな。野暮用に近い件で恐縮だが、
ちょっと呼んで貰えないか」
「桜丘からは副会長の真鍋和さんが来られてます。彼女になにか?」
「こちらの来客の件でな。できれば連絡をしておきたい」
溜息をひとつついたが、
「まあしょうがないですね。ちょっと待っていてください」
「失礼しました。桜丘女子の真鍋和さん。すみませんが来客です。外でお願いします」
「・・・え?来ヶ谷さん?」
「覚えていてもらって光栄だ」
ちょっと声を潜めて、
「実は放課後ティータイム、軽音楽部の面々がここに来ているんだ」
「え・・・唯たちが?」
「このあと我らがリトルバスターズと放送室・視聴覚室で面談の予定だ。
和君が来ているという話は聞いていたから、もしよければ会議が終わった後でも、と思ってな」
「あ、はい。では唯達を引き取る形にしましょうか」
「うむ」
「今日は車も来ていますからちょうどいいですね」
「そうか、ではよろしく頼む。二木佳奈多君に
『来ヶ谷が言っていたから、視聴覚室に案内してほしい』と伝えてもらえれば、
あとは取り計らってもらえるはずだ」
「和ちゃん、どうしたの?」小声で。
「すみません、さわ子先生。実は唯たちが来ているらしいんです」
「・・・軽音部が?」
猫たちを放し、犬2人をつないで。
放課後ティータイムは休日の校内に案内された。
「うちと違って、寮舎があること以外は普通の学校だねー」
「桜高は歴史的建造物なんですよね、先輩方」
「なんでも、昭和初期の建物と聞いているが?」と、唯湖。
「うん、数年前に一度解体建て直しの話もでたんだけど、地元のみなさんが
もったいないって保存運動を起こして、結局大規模に修理した上で維持が決まったんだ。
ただ電気が弱いのがネックで、イベントがあるとトラ
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6 7]
TOP 目次投票 感想