「うう…理樹ぃ」

「いやぁ〜、恭介さんムチャクチャ落ち込んでますネ…」

今、恭介は生きる屍と化している。

「まあ、普段人の良い彼を怒らしたんだから当然よね」

佳奈多は冷静に言う。そう。普段優しい人は怒らすと怖いと言うがまさに現在の状況だった。

「いやぁ〜、風紀委員さんは辛辣だね〜」

美鳥がちゃかす。

「彼がいない間は私くらいしかストッパーはいないでしょう?」

いつもは風紀がどうのとか言ってる佳奈多も基本的にはリトルバスターズ!に馴染んでいるようだった。

「いやはやお姉ちゃんも変わりましたネ…」

「そう?」

リトルバスターズ!をことごとく妨害・弾圧しようとした頃に比べたらかなり変わったと言える。

「そういえば理樹君どうしたんだろう〜?」

小毬は呟く

「鈴がいるから大丈夫だろ?」

真人は言う。だが、逆に鈴がいることで不安を覚えてしまったのは御愛想。

「お祭り、そろそろ行かないと遊べませんね…」

美魚は呟く。

「だが、これはどうしようか」

来々谷が指差した先は浴衣を着たままピクリとも動かない恭介だった。

「まったくリーダーがこれではどうしようもあるまい?」

「そうですね」

来々谷と美魚はため息を一つつく。

ガチャ、ドアが開き鈴が入って来る。

「戻ったぞ」

相変わらず素っ気ない

「少年はどうした?」

来々谷は真っ先に聞く

「ん?理樹なら少し1人にしてくれって言ってたから部屋に残ってる」

「そうか」

来々谷は鈴が理樹を女子寮に1人おいておいたのは追及しないことにした。

「なんにせよ、今日のお祭りは無しですネ…」

葉留佳は不満そうに呟く。

「いいじゃないの、葉留佳明日もあるんだから」

佳奈多は言う。

「こういう祭りは2日行ってこそ楽しいんですヨ!?」

葉留佳なりにはもっともらしいことを言ってるように思えるが実際にはただお祭り行きたかったと言ってるだけである。



にゃーにゃーにゃーにゃー



いきなり鈴の携帯の着信音が鳴る。

「もしもし…ん?理樹か?」

理樹という言葉に皆は反応する。

『あ、鈴?さっきはわがまま言ってごめん…』

わがままというのは部屋を貸してほしいということと検討がつく。

「気にしなくて良いぞ」

『ん、ありがとう。…恭介に代わってもらえる?』

「いいぞ…おい馬鹿兄貴理樹が呼んでるぞ」

携帯を恭介に渡す。その渡し方は誰が見ても嫌々だった。

「理樹ぃ〜?」

『恭介?あー、さっきは…ゴメン…』

「いや、まあさっきのは俺が全面的に悪かったし」

『反省してるならもういいよ。それに落ち込むのは恭介に似合わないよ』

このように仲直りできるのもリトルバスターズ!の絆が相当固いからだろう。

「そうか…そうだよな!!」

リーダーは立ち直りが早かった。

『うん、そうだよ』

幼なじみはのせるのがうまかった。

「んで、今どこにいるんだ?」

『何で?』

「ただ謝るだけなら電話じゃなくてもただここに戻ってくればいいだろ?」

『さすが恭介、鋭いね』

さすがリーダーと言うべきだろう。

『今日の10時に神社に来てほしい』

理樹は端的に用件を伝える。

「何故だ?」

もちろん恭介は聞き返す。

『突然だけど僕からミッションを一つ出させてもらうよ』

理樹の声は低く冷たかった。

「理樹がミッションか面白いじゃないか」

恭介は言い返す。

『そう言ってくれると嬉しいよ』

「内容は?」

『ハイド&シークって知ってる?』

「かくれんぼだろう?」

『うん、そうだよ。それをみんなでやろう。』

「聞いてはないが多分皆は賛成すると思うぜ?」

『ただし、今回のハイド&シークは少し特別なルールを加えさせてもらうよ』

恭介はその言葉にニヤリとする。

「どんなルールでも受けてたつぜ?」

その言葉には自信が満ちていた。

『じゃあ追加ルールの説明をするね。まず範囲は言わなくとも神社の敷地内、そこのどこかに僕は隠れてるから探し出してね』

「了解だ」

だがここまでは普通のルールだ。理樹の衝撃的な提案はこれからだった。

『ただし、僕は見つかったらデザートイーグルで反撃するから』

「は!?」

『つまり、ペイント弾の装填されたデザートイーグルを僕は持ってるから僕は見つかったら撃つ。見つけても撃つ。つまりサーチ&デストロイ。そしてペイント弾に当たったら失格ゲームオーバー』

「フッ、理樹にしては過激な提案だな」

『まあまあ、ただし、僕を捕まえた人は賞品があるから』

「何だ、賞品って?」

『明日1日僕を捕まえた人の言うことを聞くよ』

「!!」

『タイムリミットは12時までの3時間だから。じゃあ切るね』

ブチ…ツーツー電話は切れたようだった。

「恭介氏」

来々谷が口を開くしかもその顔は軽く不安そうだ。

「一体どうしたというのだ?」

なぜなら恭介の顔はミッションを考えてる時の100倍ワクワクとしていたからだ。

「ああ、理樹からのミッションだ」

恭介は今までの理樹との会話を皆に話した、とたんに

歓声があがる。

「ミッション開始は10時だ、神社に向かうぞー!!」

「「「「「「「「「オーーー!!」」」」」」」」」

リーダー恭介は統率が上手いのだった。





神社…



恭介一行は期待に胸を膨らませていたはずだった。



パシッパシッ

エアガンの銃口からペイント弾が射出される。







「理樹〜ついたぞ〜」

恭介が叫ぶ。

パシッパシッ

同時に2つのペイント弾が恭介と来々谷をめがけ飛んでいく。

「おっと…」

「アブねー」

だが2人ともギリギリのところで回避する。

「さすがだね、そう簡単にツートップを討ち取ろうなんて甘かったかな?」

闇に紛れていた理樹が姿を表す。

「なんのつもりだ理樹君…」

来々谷は叫ぶ。

「言ったはずだよサーチ&デストロイって…」

「いや…そうではなくてその格好…」

理樹の格好は来々谷と葉留佳に無理矢理着せられたあの格好のままだった。

「しかたないでしょ…」

理樹は軽く涙ぐむ。

「そうか!」

来々谷は何かを察したようだ。

「わかってくれた…?」

「ああ痛いほどよくわかったよ」

「そう…」

その言葉に理樹は安堵する。

「理樹君…とうとう君の熱い思いが伝わった」

「は?」

「君はとうとう女装に目覚めたのだな? おねーさんうれしいよ」

来々谷は理樹の30度斜め上を察していたようだ

「違うよ!!」

「だったら何故そんな格好をしている!」

「おばさんが送ってきたのも女物だったの!!」

おばさんグッジョブとか来々谷が言ったのは華麗にスルー。

「まあいいよこのままだと僕が不利だからからね一旦逃げさせてもらうよ」

だが来々谷は不敵な微笑を浮かべる。

「おねーさんが君を逃がすとでも?」

「逃がしてもらおうなんて思ってないよ、僕は逃げるから」

理樹は微笑を浮かべると言った。

「さあ…お祭りの始まりだよ」

その瞬間だった、理樹めがけて真人と謙吾が理樹に向かって突撃する。

「甘いッ!!」

理樹はデザートイーグルを2人に向けると躊躇いなく撃つ。ペイント弾は2人の顔面に直撃する。同時に理樹はダッシュ。森の闇の中に消えていった。

「待てッ!!」

それにつられて全員森の中に消えていった。



タイムリミットまであと2時間57分

宮沢謙吾&井ノ原真人

開始3分

あっけなく被弾し脱落



「理樹君どこかな〜?」

神北小毬

ほんわりとした空気を纏う癒し系の美少女だ。

バチバチ

手にはスタンガンを持っているが…。

小毬は真っ暗な森を歩き続ける。

「怖いよ〜早く理樹君出てこないかな…」

手にスタンガンを持っている少女が言っても説得力に欠けるが…。

(まず一人)

そんな小毬を見た理樹は食指にかけるべく息を殺し近づく。

「手を上げて」

「ふえ?」

小毬は後ろを向いてしまう。

パシッ

理樹は撃った顔面に直撃する。

「小毬さん失格」

「ええー!?」

理樹はそう言い残すとまた深い闇の中に消えていった。



タイムリミットまであと2時間45分

神北 小毬

開始15分

理樹に瞬殺され脱落





「美魚ー」

「何ですか? 美鳥」

「理樹君どこ?」

「私達は今それを探しているはずですが…?」

暗い森の中を散策する姉妹がいる。

西園 美魚&美鳥

2人は現在共闘している。単純に効率がいいからだ。

だが獲物を2人仲良くなどという考えはさらさらない。つまり2人はお互いを利用しあっているというわけだ。

パシッパシッパシッ

突然ペイント弾が2人を襲う。

「かわされたか…」

「理樹君はいい度胸してるね♪」

「2対1は分が悪いと思います?投降することをおすすめしますよ?」

理樹は2人と対峙する。

「確かに分が悪いね…けどこれならどうかな?」

カシュッ左手にはもう1つデザートイーグルが握られていた。

「二丁ですか…」

「僕は一丁でいくなんて一度も言ってないからね」

美鳥はニヤリと笑う。

「それで勝ったと思ってる? なら甘いよ?」

美鳥の右手にはリボルバーが握られていた。

「これで形勢逆転です」

美魚の手にもリボルバーが。

「だったらかかってきなよ」理樹は笑った。

「その言葉後悔させてあげます…」

パシッパシッ同時だった美魚と美鳥は同モーションでリボルバーを撃つ。

「さすが双子だね」

理樹は余裕綽々としている。

「そんなに同じだとかわしやすいよ?」

理樹は微笑を浮かべ体を少しずらし回避する。

「戦略的撤退により一旦引きます」

美魚は駆け出す。

「遅い!!」

パシッ

ペイント弾は美魚の肩に被弾する。

「西園美魚さん失格」

「うかつでした…」

「もー、美魚は戦場をわかってないなぁ。戦場では背中を見せた人から殺られるんだよ?」

パシッ

「え?」

「西園美鳥失格」

「美鳥は調子にのって油断しすぎです。バカですか?」

「僕からしたらどっちもどっちだよ」

そう言うと理樹は微笑を浮かべまた深い闇の中に消えていった。





タイムリミットまであと2時間30分

西園美魚&美鳥

開始25分

健闘するも脱落





わふー、わふー

森の中に木霊するのは能美クドリャフカの声だ。

「さあ〜理樹〜早くでてくるのです〜!」

誰がそんなこと言われて出ていく奴がいるだろうか。だが理樹はわざとらしく姿を見せる。

「あっ!いたのです」

クドリャフカは喜ぶ。

「リキ〜、そこに立ってろー!なのです!」

理樹はそこに言われた通りに立っている。

「ゆーあーげっとなのです!!」

クドリャフカは突撃する。

ドサッ



「わふーーーーーー!?」



落ちた、それはもう真っ逆さまに落ちた

「これはなんなのですかーーーーーーー!?」

「落とし穴」

「わふ!? 冷静なツッコミはいいから助けるのです!!」

クドリャフカは必死で叫ぶ。だがここは戦場。理樹が向けたのは手ではなく銃口だった。

「わふ!?」

「バイバイ…」

パシッ

ペイント弾が発射されクドリャフカの左胸に被弾する。

「クド失格」

「わふー…」

「あとね、クドは僕を捕まえるって言いたかったんだろうけど。You are getじゃなくてCatch you だったはずだから」

そう言うと理樹は消えていった。





タイムリミットまであと2時間15分

能美クドリャフカ

開始40分

罠にはめられ脱落





「お姉ちゃん」

「何? 葉留佳」

「今何分?」

「10時50分」

「あと2時間と10分もあるなんて体がもちませんヨ…」

「軟弱ね」

「お姉ちゃんが強すぎなだけですヨ…」

「女の子に強いは誉め言葉にはならないわよ?」

森の中に木霊するのは共闘を展開しているもう1つの双子組。

二木 佳奈多&三枝 葉留佳 ちなみに緊張感はまったくない。

「まったく理樹君は一体何を考えてるんでしょうかネ」

「知らないわ」

「いい加減でてきてくれないと足が棒どころか鉄棒になっちゃいますヨ…」

「軟弱な上にひ弱ね」

「お姉ちゃんさっきから酷すぎじゃないデスカ!?」

「本当のことを言ってるだけ…」

「?どうしたのお姉ちゃん」「伏せて!!」

「へ?」

パシッパシッペイント弾が地面に被弾する。

「へえ…鋭いね」

「あなたも見事に気配を消したわ、称賛に値するわ」

闇の中から現れた理樹と佳奈多は対峙する

「一体なんなんですカ!?」

「直枝理樹が現れたわ、ボサッとしてると殺られるわよ!?」

「エエ!? まさか理樹君がそんなことするわけな…」

パシッ

「葉留佳さん失格」

気づいたときにはもう胸にペイント弾が被弾していた。

「マジッスか?」

「だからボサッとするなと言ったのに!!」

「私だってこんなあっさり殺られるとは思ってませんヨ!?」

「あなたは普段から…! 危なっ」

佳奈多の頬をペイント弾がかする。

「やるね、今のは確実に当たると思ったのに」

佳奈多は笑う。葉留佳は完全にかやの外だ

「悪いわね伊達に風紀委員を努めてはいないわ」

空気が緊迫する

「…」

「…」

ダッ、先にモーションを出したのは佳奈多だった。

理樹に向かい間合いを詰める。

パシッパシッ

だが理樹も負けてはいない。的確な射撃で佳奈多の進路を断つ。

「見え見えよ!!」

だが佳奈多は全ての弾丸をかわしきる。それは毎日葉留佳を追いかけているうちに身につけた力だ。

そのまま佳奈多は一気に近づき。

「もらった!!」

手を伸ばす。だが理樹がそう簡単に捕まるはずもなかった。

「甘いよ!!」

とっさに掴みかかってきた手を薙ぎ払う。

「もらった!!」

パシッ

ペイント弾を発砲する。

「くっ…!!」

だが佳奈多はすんでのところで回避する。

「外した!?」

佳奈多は笑う。

「もらった!!」

そして手を伸ばす。

だが佳奈多は甘かった。

パシッ

「え?」

ペイント弾が佳奈多の肩に被弾していた。

「危なかった…これが最後だったんだ」

理樹はデザートイーグルをリロードしてみせる。

「佳奈多さん失格」

そう言い残し去っていった。



タイムリミットまで1時間50分

二木佳奈多&三枝葉留佳

開始1時間10分

佳奈多のみ好戦するも脱落



「えーと、古式さんと笹瀬川さんは除いて、1、2、3…あと残り3人か少しハイペースで狩りすぎたかな?」

「だったらおねーさんが楽しませてあげようか?」

「その声は来々谷さん?」

「当たりだ理樹君」

「来々谷さん…」

「なんだね理樹君」

「何でビデオカメラ持ってるの?」

フフ、と来々谷さんは微笑する。

「いやなに、ただ単に今までの理樹君の勇姿をこのカメラに納めているだけだよ?」

パシッ

「何をするんだ理樹君。カメラが壊れてしまうではないか」

「そりゃ狙って撃ったし」

「フム、まあいい。どうだい? おねーさんと一戦交えてみないかい?」

「いいよ」

そしてまた空気は緊迫する。佳奈多とはまた違った空気だ。

パシッパシッ

最初にモーションを起こしたのは理樹だったデザートイーグルを発砲する。

ヒュッ

だが、来々谷は華麗に回避どこから取り出したのかわからないレプリカノリムネを構える。

理樹は間合いを離し、牽制のためにまたデザートイーグルを発砲する。

パシッパシッパシッ

だが来々谷はその人間離れした敏捷性と卓越した動体視力でペイント弾をレプリカノリムネで弾く。

「やるね!!」

「理樹君もな!!」

理樹はそれほど能力は高くないがリトルバスターズ!の恭介主催のサバイバルゲームで培った能力と持ち前のガッツで天才来々谷と互角に渡り合う。

パシッパシッパシッ

デザートイーグルを発砲するもどれも決定的な当たりにならない。

「くっ!!」

「どうした?理樹君。へばってきているじゃないか」

それどころか理樹は来々谷に圧されはじめてきた。それはもちろん、先程までの戦闘もあるが、何より来々谷が強すぎるのだ。圧倒的なまでの戦闘能力、優雅な剣撃。どれをとっても美しい。そんな来々谷に理樹は挑んでいたのだ。もともと圧されても仕方ない戦いだった。

「うわ!?」

「勝負アリだな理樹君」

とうとう理樹は追い詰められた。だが奇跡がおきた。

「つう…」

「!!!!!???」

バタン、来々谷は倒れた。

「へっ?」

理樹は勝利した。理樹は何故、自分が勝てたのかまったくわからなかった。それも当然だった。無意識にその攻撃は起こったのだから。まず考えてみてほしい、その中性的な顔立ちでよく女の子に間違えられる理樹が、涙目で上目遣いでこっちを向いてきたらどうだろう。それだけでも大ダメージではないだろうか? さらに戦闘の最中に浴衣が肩からずれ落ちその肩と鎖骨が露になった状態で女の子のような内股座り。その上浴衣自体が短くその太股が見えた状態で理樹に上目遣いで見られたなら一体どうだろう。図式にするならば。

『上目遣い+涙目+鎖骨+肩+太股+内股座り+短い浴衣』

この図式に来々谷は完全敗北したのだった。

パシッ

「来々谷さん失格」

デザートイーグルを発砲すると何事もなかったように理樹は立ち去って行った。



タイムリミットまであと1時間20分

来々谷唯湖

開始1時間40分

あと一歩のところで脱落





「恭介…」

「理樹…俺達はどうしても戦わなくちゃいけないのか?」

理樹は恭介と対峙していた。

「そうだねどうしても戦わなくちゃいけない」

理樹は答える。

「なら…容赦しないぜ!!」

恭介は理樹に襲いかかった。だが理樹は微動だにしなかった。そして言う。

「お兄ちゃん♪」

ピタッ恭介は硬直する。だが理樹の攻撃は止まらない。

「お兄さん、お兄様、兄上、お兄ちゃま、兄様、兄ちゃん、お兄たん、恭介兄ちゃん」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!?」

理樹は鈴に言ってもらいたいお兄さんと言う言葉を恭介に連打する。

そしてトドメ。

「きょ・う・す・け・お兄ちゃん♪」

バタン!!

恭介は倒れた。その顔はいい笑顔だった。

パシッパシッパシッ

理樹はその顔に2発余計にペイント弾を撃ち込んでおいた。

「恭介失格」





タイムリミットまであと1時間10分

棗恭介

開始1時間50分

お兄ちゃん攻撃に惨敗





あとは鈴のみとなった。

理樹は警戒する。

だが、その摩耗した神経での警戒は隙を産んだ。

ギュッ

「えっ?」

後ろを見ると鈴が抱きついていた。

「捕まえた」

鈴は笑いながら言った。

あっけない終幕だった。まるで先程の戦いが嘘のような終わり方だった。

「まさか鈴に捕まるとはね…」

「リキはあたしには捕まえられないとでも思ってたのか?」

「うん…」

理樹は苦笑する。

「しつれいなやつだな」

「そうだね」

「まあ、リキだから許してやる」

「ふふ、ありがとう」





ゲームオーバー

タイムリミットまであと1時間

直枝理樹

開始2時間

棗鈴に捕まり敗北







次の日だった。

「リキ〜早くこい〜」

「今行くよ」

僕は自分で言った通りに僕を捕まえた鈴の言うことを聞く事になった。

今にしてみたら何であんなことをしたのかまったくわからなかった。

けど、結局鈴と祭りを楽しんでいるのだからまあ良しとする。

ブルッ、急に背筋に悪寒が走った。

「どうしたリキ?」

「何でもないよ…」

「?ならいい」

大丈夫なはずだよね…?







番外

「なあ謙吾」

「なんだ」

「俺達の出番ってここしかないのか?」

「気にするな」

「でもよ」

「言ってて悲しくなるからやめろ」

「だな」

漢達はいつだって黄昏ていた。

いつか出番があればいいなって思う2人だった







番外2

「来々谷さん」

「なんだね?西園女史」

「さあ、私たちのお祭りを楽しみましょう!!」

手には例のアルバムとボイスレコーダーが…

「では最初にボイスレコーダーからいこうか」

カチッ、来々谷はボイスレコーダーのスイッチを入れた。

『ひゃん…やめ…あぁん背中らめぇ…そんなとこ…触っちゃ…やあ』

それを聞いた来々谷と美魚は鼻血を吹き出しながらいい笑顔で倒れていた。

その後やって来た人々もこの声を聞いて次々と倒れていった。



ちなみにアルバムの写真はみんなで山分けとなったと言う。








図々しくも後書き。



こんにちは、明神です

いかがでしたでしょうか、まだまだ稚拙な文章ですがお目汚し頂いた人には心から感謝したいと思います。これからも頑張っていきたいと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。







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