桜が咲く頃に

          〜番外編〜

 

 

 

 鬼ごっこ開始から3分

 僕は…隠れています。

 

「クソ!直枝どこ行った」

「確かにこっちに来たはずなのにな」

 

 まさか全校生徒から本気で追いかけられるとは…あんまり喜べないよなぁ格好が格好だし。

 とりあえず隠れながら屋上を目指そう。

 あそこなら知ってる人は少ないし。

 逃げ道はないけどあそこを知ってる人になら捕まらないし…多分。

 

 

 

「理樹くん見つけたよ〜」

「うわ!小毬さん!?

  何でここに?」

「ふぇ?理樹くんが屋上に行ったらみんな呼んで捕まえようってゆいちゃんが…

  ほわぁ!言っちゃった!」

「情報提供ありがとう小毬さん」

 

 言いながら僕はダッシュでその場を離れた。

 とりあえずリトルバスターズ(女子だけかもしれないけど)はチームプレイに徹するようだ。

 

 

 

 鬼ごっこ開始から20分

 僕は野球部部室で着物を直してた。

 だって、走ったせいで着物が乱れたら…みんなの見る目がすごく…怖くなった…。

 

 『…い、ここって…』

 

 やば!誰か来た!?

 

 『…も、逃げ…な……こ…』

 『裏を…いて居…か……れ…いぞ』

 

 ヤバイ!入られる!

 ど、どこか隠れる場所は…

 

 『お兄…ゃんならさっ……舎の…うに行き…した…』

 『ホン…か!…し…くぞ!』

 『お…!』

 

 今の声って…。

 

 ガチャ

「やっぱり居た」

「理姫…」

「ダメだよ〜こんな逃げ場がないとこに居たら」

「ありがとう理姫

  助かったよ」

 

 ガシッ

 理姫にお礼を言ってその場を去ろうと思ったら、やっぱりというか…捕まった。

 すごいニコニコしてるよこの子。

 

「つ〜かま〜えた♪」

「…逃がしてくれない?」

「ん〜…私はお兄ちゃんがどうしてもって言うならいいけど

  …多分、お兄ちゃんは私に捕まっといたほうがいいと思うけどな」

「何で?」

「だって『直枝を捕まえたら…ひゃっほ〜い!』とか言ってた男の人とか

  『食べちゃってもいいんだよね?』って言ってた女の人とか

  『是非「お兄ちゃん」と呼ばせよう』って言ってた恭介さんとか

  そういう人たちに捕まってもいいなら逃げてもいいけど」

「…理姫」

「なに?」

「行こうか」

「うん♪」

 

 さすがに身の危険(及び貞操の危険)を感じるので理姫側に付くことにした。

 

「あれ?理姫はリトルバスターズ側じゃないの?」

「ん〜?リトルバスターズもね、みんながみんな互いを出し抜こうとしてるからいいの♪」

「そ、そっか…」

 

 とりあえず見付かったのが来々谷さんとか西園さんとかじゃなく理姫でよかったと心底思った。

 だって、みんなが居るならともかく二人っきりで来々谷さんとかと居たら…うん、考えるのは止めておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、理姫にも着せ替え人形にされてしまった事を言っておくんだけど…何でみんながその写真を持ってるのか気になるな。



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