優れた職人によって作られたり、人のどうしようもなく強い想いを込められた道具には、魂が宿る事があります。

これは、呪い染みた運命を持つある武器と、ある極悪人の物語です。

では、お楽しみ下さい。









久しぶりに起きた。

外で剣戟(けんげき)の音が聞こえる。

私はいったい何年ぶりに起きたのだろうか。

いや、私には関係ないか。

少し経つと木の向こうには静かになり、今度は小舟を漕ぐ音が聞こえてくる。

足音が近づく。

桜の木で出来た蓋が開かれる。

私に眩しい光と、心地よい血の匂いを感じる。

人の手が私の柄に触れられる。

暗く、暖かい何かが茎尻(なかごじり)から切先まで広がってゆく。

――さて。

今度の主は、どんな極悪人なのだろうか。









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