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花ざかりの理樹たちへ その9 ~学校・午前中編~(リトルバスターズ)
作者:m

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。



――寮から学校までの短い通学路をみんなに隠れるように歩く。



…………どきどき。

……キョロキョロ。

……どきどき

…………キョドキョド。



「理樹、どうしたんだ?」

鈴が不思議そうな顔でのぞき込んで来る。

「うう……こんな格好して歩いてるんだから気が気じゃないよっ」

「……まるで捨てられた子犬、を見ているようです」

「リキのコシがひけてますっ」

「理樹ちゃん、もっと背筋ピーンっ」

「うむ、理樹君はもっと自分の美貌に自信を持ったほうが良い」

「び、美貌に自信って言われても……」

そこに自信を持ってしまったら違う世界に行ってしまいそうだ……。



「えいっ」



――つつつつーっ!



「ひゃうーっ!?」

背筋をなぞられ、思わず飛び上がった!

「理樹ちゃん」

まるでお姉さんが妹を諭すような口調だ。

「こ、小毬さん…急にどうしたの?」

「学校はたのしいところなのです」

「……えっと、そうだね」

「私に続けていってみて」

――小毬さんはニコニコしてるけど、とても真剣な感じがする。

「学校はたのしいところなのです」

「が、学校は楽しいところなのです」

「今日もいっしょーけんめーがんばるよー」

「今日も一生懸命がんばるよー」

「ようしっ」

「ようしっ」

うん、と大きくうなずく。

…………

……あ。小毬さんがにっこり笑ってる。

「理樹ちゃん、どうかな?」

小毬さんは僕を元気づけてくれているんだ。

「……うん」

とても……勇気をもらった気がする。

「なんか元気になったよ」

「よかった~」



……そうだ、今この時を楽しもう。

――きっと恭介ならこの状態を楽しむだろう。



そう思った途端――

今までの心に何か詰まったような気分が嘘のように消えていった。



「あはははっ」

――何だか急に可笑しくなって笑ってしまった。



鈴が僕をのぞき込んで

「理樹、今日はじめて笑ったな」

うれしそうに言ってくる。



「はっはっは、先ほどまでの怯えた理樹君も良かったが……今のほうがより魅力的だ」

「女の子リキのどこか未完成だった雰囲気が…今完成した気がしますっ」

「テレッテッテー! 理樹ちゃんはレベルアップ~」

「…………開き直り、とも言います」

「よかったね~、理樹ちゃん」



――今さらだけど……

みんな僕のこと……「ちゃん」づけなんだ。