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花ざかりの理樹たちへ その45 ~学校・午後編~(リトルバスターズ)
作者:m

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。



――体育館裏から戻る途中、階段の踊り場で佳奈多さんと会った。

「佳奈多さんっ」

僕の呼びかけを無視して、上へと昇っていこうとする。

「さっきのは誤解だよっ」

「――……何、誤解って」

ようやく足を止め、僕の方に振り返る。

「別にさっきのは、ただみんなが困ってたから手伝っただけだよっ」

「へぇ…今度は正義の味方気取りかしら?」

冷ややかな目線で僕を見下ろす佳奈多さん。

「まあ、いいわ。どちらにせよ一つだけ言えることがあるわ」

「え、何?」

「私はあなたが大嫌い、ということよ」

そう言うと、再び階段を登り始めた。

うぅ…さらに嫌われちゃった……。

取り付く島がないとは、まさにこのことだよ……。

僕が再び階段を登っていく佳奈多さんの方を見ると――

「……ふう…よいしょっと」

上から、イスを重ねて持つおかっぱの女の子が降りてきた。

「あっ、あわわっ……ふぅ……危なかったです」

うわっ、危ないなあ。

女の子は右へフラフラ、左へフラフラと本当に危なっかしい。



――ズルッ!

「きゃぁっ!?」



危ないと思って見ていた矢先、女の子が重ねて持っているイスのバランスが崩れ……

宙を舞った!!

その先には佳奈多さんが!

「…ったく…」

だが、佳奈多さんは足元しか見ていない!

「あぶな――」

僕が発しようとした言葉に佳奈多さんが反応する。

「何――」

僕の意と反し、佳奈多さんはこちらに振り返ろうとする。

まずい……!

このままだと……!

そう考えるのと同時に、僕は地を思いっきり蹴り上げ佳奈多さん目掛けて飛び込んでいた!

「え!? ちょっ……」



――ゴズゥッ!!

目を丸くする佳奈多さんを抱きかかえるのとほぼ同時に、イスが僕の背中に直撃した。



――ガツゥゥン…………――



「……………………」

「………………」

「…………」

イスがおどり場まで転がり落ちると…階段は時が止まったような静寂に包まれた。

僕の腕の中には……大きな瞳をさらに見開いて僕を見つめる佳奈多さんがしっかりと抱かれている。

よかった……。

間に合ったんだ……。

「な……な……」

佳奈多さんは僕の顔と下に転がっているイスを、交互に見比べている。

どうやら何が起こったのか、把握するのにいっぱいいっぱいのようだ。

「だ、だだだ、大丈夫でございますかっ!!?」

イスを落とした女の子が血相を変えて駆け寄ってくる。

「うん、なんともないみたい。体は結構丈夫な方だから」

当たり方が良かったのか、少しヒリヒリするくらいで大したことはなさそうだ。

「けれどっ…しかしっ…」

僕を見ながら泣きそうな顔であたふたとしている。

「じゃあ、保健室から湿布をもらってきて」

恐らく必要はないだろうけど、女の子を安心させるためにお願いをする。

「は、はいッ!! 今すぐに取ってまいりますっ!!」

女の子は急いで階段を下りて行った。



「……佳奈多さん、怪我はない?」

まだ動揺しているであろう佳奈多さんの顔を除きこむ。

「――っ!?」



――バシィッ!

「わっ!」

腕を払い、僕から離れる佳奈多さん。

「…………」

「……」

佳奈多さんは少し離れると、こちらを振り返り静かに…だが肩を怒らせて僕を見つめた。

「――……馬鹿じゃないのッ!!!」

今までにない様な大声を出す。

「私はあなたを嫌いだと言ったのよ!!」

「それなのに……それなのに……」

「どうして体を張ってまで私を助けたのッ!!?」

「正義の味方気取りもいい加減にしなさい!!」

「あなたが怪我をしたらどうするの!?」

「自分を犠牲にしてまで誰かを助けるなんて…………」

「……誰も喜ばないわ」

「ホントあなたは――」

「あなたは本当に馬鹿だわ!!」

そこまで捲くし立てると、佳奈多さんは再び階段を登り始めた。



「――馬鹿でいいよ」

僕は佳奈多さんの背中に言葉を投げかける。



「それで佳奈多さんが怪我をしなかったんだから……ね」



「……………………え?」



僕が優しく微笑んだ先には――

いつもの鉄の仮面ではない、

驚きの表情と、

乙女の表情、

そんな表情を僕に向けた佳奈多さんがいた。




***



■あとがき(「その43」「その44」「その45」)

みなさん、こんにちは! mです。
いつも「花ざかりの理樹たちへ」を読んで下さり、本当にありがとうございます!
リトルバスターズ(理樹ちゃん?)に対する妄想を、暴走気味に書き綴っていますが…みなさんにも愛され、嬉しいかぎりです。
このSSも8月から始まり、早5ヶ月になります。時の流れとは早いものですね。
いつもみなさんから贈られるたくさんの応援に、力をもらい、励まされ、そして心を温めさせてもらっています。
これからも妄想活動に力を入れていきますので…見守っていて下さると嬉しいです(笑)


さて、今回は突然のオリジナルキャラクターの登場で驚かれた方も多かったと思います。
なぜオリジナルキャラを出したかと言いますと……。
理樹には『リトルバスターズ』という居場所があります。
リトルバスターズに所属していない佳奈多さんにも、佳奈多さんが心許せる…理樹のリトルバスターズに当たるような居場所があるのでは、と考えました。
そこで、そのことを表現したいと思いオリジナルでまとめた風紀委員を書いてみました。
……はい、格好良く理由を書いてみましたが…一番の理由は『オリキャラが書きたい!』だったりします(笑)

また、オリジナルキャラの内2人はあからさまに既存のキャラを意識して書いています。
この2名のキャラの元ネタを見破るのもまた一興やもしれません(笑)
ヒントは……

「薔薇の乙女」
「果物の盛り合わせ」

といったところです。