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花ざかりの理樹たちへ その57 ~学校・午後編~(リトルバスターズ)
作者:m

紹介メッセージ:
 恭介の思いつきで始まった王様ゲームにより、理樹は……。各編はほぼ独立していますので、途中からでもお楽しみ頂けます。



「――よし、早速チーム分けといくか」

チーム分けか…。

杉並さんはまだみんなとあまり話したことがないだろうし、ここは僕が…。

そう思って、横にいる杉並さんを見ると。

「あ…」

「あ……っ」

杉並さんも僕のことを見ていたのだろう。

目が合ってしまった。



――ササッ!



どうにも気恥ずかしくて、急いで目を逸らす。

「……………………むーっ」

目を逸らした先に鈴と目がいた。

どうしたんだろう? 少しむくれている気がする。

「――なんだ、杉並女史は理樹君とチームを組みたいのか?」

来ヶ谷さんがズバリと聞いてきた。

「あ……っ、そ、それは……っ」

僕をチラリと見る。

「……あの……私は、別に誰とでも……」

顔を赤くしてモジモジとする杉並さん。

けど、目線は僕の方に向いているような気がする。

もしかして…。

杉並さんは僕とチームがいいんじゃないかな?

「杉並さん、よかったら僕と…」



――ツカツカツカ。



「理樹」

言葉を途中で遮られる。

「ど、どうしたの鈴?」

突然早足で鈴が寄って来て、僕のブレザーの袖(そで)を掴んだ。

「あっ…」

杉並さんが小さく声を上げる。

「理樹、あたしとチームを組もう」

「ちょ、ちょっと鈴?」

「行くぞ」

そのまま僕の袖を引っぱって小毬さんたちの方に行こうとする。

今日の鈴は少し強引だ!

「どうしたのさ、鈴?」

僕と顔を合わせようとしない鈴の顔を覗き見ると…やっぱりふくれている気がする。

「理樹ーっ!!」

ガシッ!!

今度は真人に腕をガッシリと掴まれた。

「理樹はオレとチームになるんだっ! ぷ~~~っ!」

「ぶっ!?」

ついつい吹き出してしまった!

「うわ…真人くんがふくれてますヨ…」

葉留佳さんが言う通り、真人もふくれていた!

もう可愛くないを通り越して、ちょっと薄気味悪い!



「うえええええーん、真人君がきしょいーっ」

泣き入ってしまっている小毬さん!

「…………うっ」

「大丈夫か、西園さんっ! しっかりしろ、西園さんっ」

あまりのショッキング映像に西園さんは倒れ、それを鈴が支えている!

「ふくれっ面の井ノ原さんはどこか愛くるしいのですーっ!」

「「「「えっ!?」」」」

そしてクドのセンスはよくわからなかった…!



「諸君、落ち着いてほしい」

来ヶ谷さんがみんなを見回す。

「最初から混乱は予想していたのでな…あみだくじを作成しておいた」

あみだくじが書かれた紙を黒板に広げる。

「下に番号が振ってある。同じ番号を選んだもの同士がチームだ」

「うん、これならみんな仲良くチーム分けできるね」

小毬さんも嬉しそうだ。



「――では、理樹君から選んでくれ」

「うん」

黒板に張られているあみだくじの前に行く。

「じゃあ…右から3番目で」

指で辿(たど)っていく。

下まで辿り、隠れている番号を開く。

「あ、僕は4番だ」

周りから「おぉ、筋肉神よ、どうかオレに4番を…」とか「……4番と勝負が出来たら面白いのですが…ぽ」とか聞えてくる。



「はいはいはーい! 次、私、わたしーっ!」

葉留佳さんが元気に手を上げる。

「ふむ、では葉留佳君選んでくれ」

「んじゃね、ココ」

「フフフフフ~ンとフフフッフ♪」

鼻歌を歌いながら線を辿っていく。

「ちぇーちぇーちぇー、私1番ー」

どうやら葉留佳さんとは違うチームのようだ。



「では、次は私が選ぶのですっ」

クドが意気揚々と出てくる。

「ここなのですっ!」

「えーっと、えーっと、えーっと…」

たどたどしく線を辿る。

「わふー、1番なのですーっ! 三枝さんと同じチームなのですっ!?」

どうやら葉留佳さんとクドチームは決定のようだ。

「――ちょっとクド公? 今、わふーって言ったよね? ね?」

「それは私とじゃイヤってことかーっ」

葉留佳さんがクドに詰め寄る。

「いえっ、そういう意味では――」

「問答無用ーっ! くらえ、地獄のモミモミ地獄ーっ!」

「今、地獄と二回言いまし…あははははーっ、そこはダメなので…はわっ…わふーっ!」

じゃれ合っている二人。

この二人って結構仲良しだ。



「次、あたし行く」

鈴が肩で風を切りながら歩いてくる…!

どこか迫力がある!

「りんちゃん、がんばってー」

「任せておけ」

いや…一体何をがんばるのさ。

「ここだっ!」

あみだくじを差す指まで気合いが入っている。

そのままゴゴゴゴゴと線を辿っていく。

「――ごくっ」

鈴が生唾を飲み込み、恐る恐る隠れた番号をめくる。

「…………」

「ふむ、鈴君は3番のようだな」

鈴とは違うチームになってしまったようだ。

「むーーっ!」

「って、なんで僕を睨むのさっ!?」

「なんでもないわっ、ぼけー」

なぜか睨まれた挙句に悪口まで言われたし!



「じゃあ、次は私が…」

「待ってくれ小毬…次はオレに行かせてくれ」

「ま、真人君…?」

――ズシャ、ズシャ、ズシャ!

真人が床を踏みしめながら、あみだくじの方に歩み寄ってくる。

「わふー…井ノ原さんからオーラのようなものが見えるのですっ」

まるで世紀末覇者のようだっ!!

「こぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーー……――」

両手でゆっくりと円を描く真人!

良くはわからないけど、きっと気か何かを溜めている!!

「4番だ……4番しかねぇ……」

「理樹と同じチームになって…ヤツの野望を阻止しねぇとならねぇ!!」

ヤツってもしかして杉並さんのことかな…?

「オラァァァァーーーッ!!」

恐ろしいほどの気合いで指を差す!

「オラァッ!! ここだッ!! くらえッ!! 野郎ッ!! クソぅ!! 何っ!! そうきやがったかッ!!」

すごい気迫で線を辿っていくものの、なぜか後半は苦戦を強いられている!

「ようやく辿り着いたぜ…!」

隠された番号に手を伸ばす。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーっ!!!」

教室を揺るがすほどの雄叫びと共に、隠された番号を開いた!!

「……こ、こいつは……」

そこには――

『4番』

と書かれていた!!

「よっしゃああああああああああああああああぁぁぁぁーーーっ!!」

逆転ホームランを打ったかのように泣きながら絶叫する真人!

「なにーっ!?」

周りからは微妙にブーイングが聞えるし。

「……ちょっといいか、真人少年」

「オレは今最高にハイな気分ってヤツなんだ! なんでも言ってくれっ」

笑顔が抑えきれないという顔だ。

「一箇所、線を上に辿ったぞ?」

「え? マジ?」

雲行きが怪しい。

「ほら、ここをこう…こう…こう辿らなければならないはずだろう?」

「え、上に行っちゃダメなのか」

「…………」

「なら、ここか。どれ」

――ペラ。

「あ、オレ3番だ」

「よろしくな、鈴」

ニカッと笑う真人。

「よろしくじゃないわっ、このボケーーーッ!!」



ボグゥッ!!



「ぐはぁぁぁぁぁっ!?」

鈴のキックが真人の後頭部に炸裂した!

……。

いやまあ、あみだくじのやり方くらい覚えておこうよ、真人…。



続いて、小毬さん、西園さんとくじを選ぶ。

小毬さんは3番、西園さんは2番だ。

「――私は最後でいいから、杉並女史がくじを選ぶといい」

「え、いいの?」

恐る恐る、あみだくじに寄る。

「じゃあ、ここ……かな」

ちょん、とくじを指差し、そろそろと辿っていく。

「こうきて…こうきて…こう…」

下まで辿り着く。

「開けるね」

周りのみんなも息を殺して見守っている。

――ペ…ラ

「あ……っ」

そこには――

『4番』

と書かれていた。

「やった…」

小さく小さくガッツポーズを取る杉並さん。

杉並さんが僕に目を向ける。

「あ、な、直枝くん……よ、よろしくね」

「うん、こちらこそよろしく」

僕と杉並さんが同じチームだ。

つまり、他のチームが僕たちに挑んでくるんだ…!

がんばらなくちゃ!

周りに目を向けると。

「……」

――ゲシッ!

「いてぇ!! なんで足踏むんだよっ!?」

「そこに足があったからだ」

「うおっ!? 納得いかねぇぇぇぇーーーっ!!」

な、なんか鈴の機嫌がとても悪いように見える…。





「――全員チームが決まったな」

「では、チームを発表する」

「まず、杉並女史チームは…杉並女史と理樹君だ」

「私…がんばるよ」

「僕もがんばるよ」

「続いて杉並女史チームに挑むチームだ」

「1番チーム、葉留佳君とクドリャフカ君」

「水族館のチケットはいただくのですーっ」

「そこのヒヨッコをどう調理してあげましょうかネ?」

二人ともやる気まんまんだ!

「2番チーム、西園女史と私だ」

「……来ヶ谷さん、これをどうぞ……ぽ」

「ふむ、ファー付きの手錠と首輪か。悪くない」

いや!? 何をする気なの!?

「3番チーム、鈴君、馬鹿、コマリマックス」

「む~!」

「ムカムカムカー!」

「うわぁぁぁ~ん、二人ともどうしちゃったの~っ」

既にチームワークがボロボロのようだ…。





「最初に杉並女史チームに挑むのは……」

言い終わる前に、葉留佳さんとクドが肩を揺らしながら来ヶ谷さんの前に出た。

「姉御~、ここは私たちに任せてくださいナ」

ケッケッケとヤンキーの下っ端のような雰囲気を醸し出す葉留佳さん。

「わっふっふ……私たちが身の程を思い知らせてやるのですっ」

「いや、なんでそんなに悪役風なのさ…」

クドに至っては、どんなに悪ぶっても可愛いし!



「このはるちんとワンコを敵に回してしまったことをあの世で悔いるのだーっ」

「悔いるのですーっ」



「直枝くん…ど、どうしよう」

不安げに僕を見上げる杉並さん。

「ここまで来たら、やるしかないよ」

僕らも迎え撃つ心の準備をする。



「――では、両者の気合いが十分なところで…」

「これより杉並睦美育成計画第一試合、杉並女史・直枝理樹チームVS葉留佳君・クドリャフカ君チームを開始する」

――カァンッ!!

始まりのゴングが打ち鳴らされる!



「みんな、がんばってー」

「……最初に大口を叩く者ほど弱い…そうならないように頑張ってください」

「(ちりん)」

「なんの勝負だ? 熱い拳と拳のぶつかり合いか? クソッ、オレの分も残しておいてくれ!」

「はっはっは、思う存分にヤっちまいたまえ」

――会場(教室)は熱気に包まれたのだった!