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ミッション:佳奈多の胸を揉め!(リトルバスターズ)
作者:m

紹介メッセージ:
 脂肪は揉むと燃えやすくなるらしい。なら脂肪の塊である胸は? そんな疑問を佳奈多にぶつけてみました(爆

――とある放課後。
リトルバスターズ女子メンバーと僕――直枝理樹が教室に集まっていた。
いわゆる定例女子会が開催されていたのだ。
今日は司会進行小毬さんでちょっとしたゲーム大会(ボードの人生ゲームだ)が行われたんだけど……
「って、なんで僕が女子会に混ざってるの!?」
「ふえぇ、理樹君いまさら」
「……すっかりゲームまで終えて何を言っているのですか? 結構楽しんでいたように見えたのですが」
「あ、あはは…」
いやまあ、小毬さんと西園さんの言う通りなんだけどさ。
「わふー……私が一番のビリケツでしたー…したー……たー……」
ちなみに今日のビリはクド。
ビリには罰ゲームが課せられるのが毎度の決まりだ。
今回は小毬さんだしそんなに大変なことにはならないとは思う。たぶん。
「では、今日の罰ゲームを発表しますっ」
「お、お手柔らかにお願いします!」
「だいじょーぶ」
にっこり笑うと小毬さんがごそごそと後ろから白い箱を取り出した。
「クーちゃん、この中に手を入れてください」
「何か入っているのですか?」
「うん、その中に紙が入ってて名前が書いてるのね」
ピッと人差し指を立てる小毬さん。
「その人のちょっとした疑問を解決をしてもらおうと思いますっ!」
「ラジャー、なのですっ」
内容を知ってクドの不安そうだった顔がほころんだ。
「やはは、さすがこまりん。ちっとも刺激が足りませんナ」
「……残念です」
葉留佳さんと西園さんはどこか惜しそうな顔。
「あたしはいつも司会はこまりちゃんがいい」
うん、僕も鈴の意見に賛成だ。
西園さんや来ヶ谷さんが司会の時は……う、思い出したくない。

「ではっ」
クドが「じゃかじゃかじゃん♪」と自分で効果音を付けながら箱の中をかき回す。
「これなのですっ!」
一枚の紙を取り出した。そこには――

『ゆいちゃんの疑問を解決せよっ』

「なんだ、私か? そうか、私か」
「来ヶ谷さんですかっ!?」
よりにもよって来ヶ谷さんだ!
その口元がニヤリとゆがむ!
間違いない!
ハズレだ!
周りからも「クーちゃん、が、がんばって」とか「おまえのことは忘れない」とか「姉御待ってました!」とか声が上がっている!
「おおおおおて、おて、お手柔らかにおおおお願いしますっ」
「来ヶ谷さん、あまり無茶振りはダメだからね」
「なに、クドリャフカ君にできないようなことは言わんさ」
来ヶ谷さんがつかつかと前に歩み出た。
「てか姉御。姉御にも疑問があるんですかー?」
「ああ、あるとも」
フッと笑みを浮かべる。

「――脂肪というものは揉むと燃焼しやすくなる、という話は聞いたことはあるか?」
「はい、雑誌のエステや美容のコーナーでよく目にします~」
クドってそういうところも読むんだ。
なんて言ったら怒られそうだから黙っておこう。
「そこで私は疑問に思ったのだ――」
来ヶ谷さんの目が一段とギラついた!

「脂肪の代表格、おっぱいはどうなのかと!!」

「わっふーーーっ!?」
疑問がすごいところに飛んだっ!
「おっぱいはどうだ!? 脂肪の塊ではないか! ならば揉めば揉むほど燃焼しやすくしなるのではないか!?」
「……さすが我らが来ヶ谷さんです。目の付け所が違います」
パチパチパチと拍手する西園さん。
いーやいやいやっ!
「ななな何をおっしゃるですかーっ」
クドがすかさず自分の胸元を手でガードした!
「ここここれ以上何かありましたら、私のお胸がなくなってしまいますっ」
「はっはっは、安心したまえ」
ポンとクドの肩に手が乗せられた。
「?」
「クドリャフカ君自身ではなく、まずキミには誰かのバストサイズを聞いてもらおう」
「それから少々女子同士のスキンシップ(胸)をした後に、数日後に再度バストサイズを――」
その時だった。

――ツカツカツカツカ。

クリムゾンレッドの腕章。
腰までのロングヘアが風に揺れる。
佳奈多さんがちょうど教室のドアから通り過ぎて行くのが見えた。

「ふむ、いいところにターゲットが通ったな」
「いやいやいやっ、なんで佳奈多さんを巻き込むのさ!?」
「無論おねーさんが二木女史のバストサイズに興味津々だからだ」
完全に自分の私利私欲だった!
「いやー私も興味シンシンー! お姉ちゃん秘密主義だから教えてくれないし」
「かなちゃんって制服でわかりにくいけど結構大きいよね」
「……着やせするタイプかもしれません」
「理樹君だって、かの鉄血と言われた風紀委員長の神秘のベールに包まれた麗しのおっぱいについて知りたくはないのか?」
「な、ないからっ」
「あたしが走っていいんちょーにぶつかったとき、結構やわらかかったぞ」
「鈴まで何言ってるのさっ」
「ふわふわだった」
「ブッ!?」
なんやかんやでみんな興味津々だ!
「そんなわけだ、クドリャフカ君。やってはくれないか?」
「私も佳奈多さんのお胸のサイズはそれはそれはうらやま…ではなく気になっていました。ではでは、お尋ねしてきますーっ」
そういうと、クドは教室から飛び出していった。

「どれ――」
来ヶ谷さんが自分のカバンからリンゴマークがついたノートパソコンを取り出した。
「クドリャフカ君の髪飾りに小型カメラを仕込んでおいた。これで気とられることなく様子を見ることができる。映像受信だけだからこちらからの指令送信はできないが」
いつの間に、とつっこむのはよそう。
じゃなくてっ!
「いやいやいやっ! 僕、止めに――」
言い終わる前に、
「西園女史、葉留佳君」
「……おおせのままに」「あいよーっ!」
来ヶ谷さんが指を鳴らすと同時にロープを持った西園さんと葉留佳さんが!
「え、えっ!?」
僕はあっと言う間に椅子に縛り付けられてしまった。
「理樹、ごめん」
「理樹君、ごめんね」
鈴の手にはモンペチ、小毬さんの手にはトッポひと箱がっ! 買収済みだったようだ!
「キミには黙って様子を見ていてもらおう」
完全に来ヶ谷さんは悪党ポジションだった!


***


『はろー、佳奈多さん』
『ハロー、クドリャフカ。どうしたの?』
しばらくしてクドが佳奈多さんと接触した。
パソコンの画面に佳奈多さんが髪を払う仕草が映し出されている。
「へー、お姉ちゃんってミニ子にああいう返しするんだ。私の時なんて無視ですヨ無視」
「はるかは構ったらうっさそうだからな」
「がががーんっ! りんちゃんヒドイっ!」

『あの……その……』
パソコンの向こうからクドのしどろもどろになっている声が聞こえる。
『?』
『あの……えと……佳奈多さんに、その、お聞きしたいことがあるのです』
『いいわよ。何をそんなにためらっているのか知らないけど』
『では、えとその、す、少しお耳をかしていただけないでしょうか?』
『?』
少し首をかしげながらも、佳奈多さんが「なにかしら?」と人差し指で長い髪を耳にかけクドに耳を寄せた。

「クーちゃんの視点からだと、かなちゃんがすごいお姉さんに見えるね」
「……大人の魅惑を感じますね」
小毬さんが言うのと西園さんが言うのでは微妙に意味が違うように感じるのは僕だけだろうか。

『あの、その、えとえと……』
『もう…はっきりと言いなさい』
『……でっ、では、佳奈多さんの……佳奈多さんの……』
クドの息をのむ音。
僕らもハラハラと見守る。

『お胸のサイズを教えてくださいっ』

『………………』
あ、佳奈多さんが止まった。
『……』
『……』
『………………はぁぁっ!?』
頬を染めた佳奈多さんが目を真ん丸にしていた!
『わふーっ! ごめんなさいごめんなさいなのですーっ』
『なっ……なんでそんなことを知りたいの?』
『えっとその、佳奈多さんがうらやましいと言いますか、どれくらいなのかといいますか、ごにょごにょ……』
『…………』
しばらく顔を赤くして黙っていた佳奈多さんだったが、
『はぁ……耳をかしなさい』
『え、い、いいのですか?』
『別に知られて困るようなものでもないし』
クドが耳を寄せる。
『……80よ』
『はち――ふぐむぐっ』
クドが大きな声を出しそうになって、慌てて佳奈多さんがクドの口を押えた。
それからそっと手を離す。
『もう……こんなのあればいいってものじゃないわ。スポーツするときは邪魔だし、寝る時も邪魔だし、気に入った服が合わせられないときなんて最悪』
『そんなものでしょうか?』
『そんなものよ』

僕の周りでも「お洋服選ぶとき大変だよねえ」「いやー、胸に合わせると肩があまったりしますナ」とか「ふむ、私は気に入るブラがない時があるぞ」とか「たまに馬鹿兄貴の目線がいやだ」とか「……私には全く関係がない世界です」とか赤裸々な話が飛び交っている!
ここにいる僕が男だってことを忘れないでほしいっ!


***


『あの佳奈多さん、その、えっと実は…………もうひとつお願いがあるのです』
そうこうしているうちにクドが次の段階に移っていた。
『もう一つ?』
『えっと、あの、そのえーっと、先ほどよりも言いにくいのですが…ごにょごにょ…』
『それ、もしかしてフット・イン・ザ・ドアかしら?』
『ふっといんざどあー? それはなんでしょうか?』
『最初に小さな要求を呑んでもらってから、後に大きなお願いをするテクニックよ。断りにくいでしょ』
『わ、わふーっ!?』
『図星?』
『い、いえっ、そんなつもりはなく、えっとそのえっと……』
ふふふ、と佳奈多さんがまるで子どものいたずらを見破ったようにほほ笑んだ。
たしかにクドの目線から見るほほ笑む佳奈多さんはとてもお姉さんで、ちょっとドキリとする。
『別にいいわ。一つ聞くのも二つ聞くのも同じ。何でも聞いてあげる』
わ、佳奈多さんが大きく出てしまった!
なぜか僕の後ろでは西園さんと来ヶ谷さんが「いえーい」とハイタッチしている!
『あの、ではっ』
また佳奈多さんがクドに耳を寄せた。

『佳奈多さんの、お胸を、揉ませてほしい…のです』

『………………………………』
あ、佳奈多さんが完全凍結した。

『……』
『……』
『……』
『……』

沈黙にクドが耐え切れなくなったのか、
『ああああの、えっとえっと、私にはないのでどのような感じか知りたいといいますか、気になるといいますか、佳奈多さんのお胸ってどんな感じなのかと言いますか、そのえっと……』
『…………』

――ぱしっ。

無言の佳奈多さんがクドの手をつかんだ。
その顔はかなり赤みを差している。
『か、佳奈多さん?』
『……』
無言のままクドの手をつかんで歩き出した!
『か、佳奈多さん? ど、どこへ?』
『……』
そのまま引っ張られるようにクドが歩いていく。
『あ、あのあのっ』
『……』

そのままずんずん廊下を進んでいく。

そして佳奈多さんたちが到着した先。
そこは畳が敷かれた家庭部の部室だった。
クドの手を離した佳奈多さんが、畳の上に女の子座りした。
そして両手を後ろにつく。
ちょうど胸を張り出す感じだ。
クドはというと、
『あのあの、えっと、お茶をお入れしますか?』
いきなりのことで戸惑っている。
『お茶はいらない。それより……い、いいわよ』
『え? いいとは……?』
『だ、だから……』
顔を真っ赤に染めた佳奈多さんが顔をそらした。
『こうしてるから……揉みなさい、私の胸』

「「「「ひゃぁぁぁ~~~っ」」」
みんなから禁断のシーンを見てしまう期待と恥ずかしさが混じる声が響いた!
ちなみに来ヶ谷さんは盛大に鼻血を出して倒れてしまった!
倒れるときに鳴ってはいけないようなヤバイ音がした気がするが今のみんなにそれを気に掛ける余裕はないっ!

『よ、よろしいのでしょうか?』
『言い出したのはクドリャフカでしょ。それに最初に何でもいいと言ったのは私だし』
『あのお嫌でしたら――』
『女に二言はないから』
すごく漢らしかった!
『わ、わふー……』
佳奈多さんの横に正座するクド。
その目線は佳奈多さんの胸に注がれている。
佳奈多さんは一瞬クドの顔を見たが、すぐにその赤くなった顔を他所へ向けた。

…………。
二人の緊張がパソコンを通して伝わってくる。
ゴクリという音が誰からともなく聞こえた。

『あっ、あのっ』
『なな、なに?』
『お、お胸は後ろからお揉みしたほうが良いでしょうか? それとも前からでしょうか?』
『……ま、前からでお願い』
『は、はい』
正座のままズリズリと佳奈多さんの正面に移動するクド。
『で、ではっ』
『……』
クドの手が、女の子座りで目をつぶり顔をそむけている佳奈多さんの胸に伸びる。
その指先が佳奈多さんの胸へ――

――ぴとっ

『…っ』
一瞬びくりと反応する佳奈多さんと、
『ささささ触ってしまいましたっ』
触った瞬間に後ろに飛び退くクド!
佳奈多さんが薄目を開けた。
『……ど、どうだった?』
『ああああう……ええと、その…………思いの外ごわごわしていたのです……』
『……それ、制服の生地だから』
『わふーっ!?』
どうやらホントに少ししか触っていなかったらしい。
『――クドリャフカ、もう一度よ』
『存外スパルタですっ!?』

「……どうやら一回目で吹っ切れたようですね」
「やはは……お姉ちゃん言い出したら聞かないから」

再度クドリャフカが佳奈多さんの前に座った。
佳奈多さんもさっきと同じ後ろに手をつくポージングで、クドが触りやすいように胸を前に出したポーズだ。

『で、ではっ』

クドがつつくように人差し指を佳奈多さんの胸へと伸ばす。
『……ごくり……』
ゆっくり、ゆっくり。
だが確実に人差し指が近づく。
そして。

――ぷ
――にっ

その小さな指が佳奈多さんの胸の上部にゆっくりと当てられた。
『…んっ』
『わ、わふー……』

――ぷに、ぷにっ

『わふー……これは……』

――つんつん

『柔らかいのですー……』

――つんつくつん、つんつくぷにぷに。

『すごいのですー…あのあの、手で触れても良いでしょうか?』
『……』
何も言わずに頷く佳奈多さん。

――ふにふにふに

『これは癖になってしまいそうですー……』

――ふにふにふにふにふにふにふに
もうクドは佳奈多さんにまたがっているような格好になってしまっている。
――ふにふにふにふにふにふにふに

『マシュマロですー……』
『そりゃ脂肪の塊みたいなものだし……――クドリャフカ、お返し』
『お返し?』
手持無沙汰だったのか、佳奈多さんの手がクドの胸に伸びていた。

――ぺたん。

『わふっ!?』
『……』

――ぺたん。つるん。

『……』
『……』

――ぺたんこ。

『……』
『……』
『……』
『……は、春の生命息吹くころの草原…といったところ、かしら?』
『言葉を取り繕っても平原です!?』


ちなみにこちらはというと。

「……わが生涯に一片の悔いなし……」
「ふぇーん! みおちゃんがパソコンの前で腕を掲げたまま真っ白に燃え尽きちゃったよっ! 理樹君どどどどどうしようっ!?」
「くるがやっ、しっかりしろっ! 目を覚ませっ! 理樹、輸血が必要だっ! 血をよこせっ」
「姉御死なないでーーーっ!!」
二人ほど召されたおかげで誰もパソコンを見ていなかった!!


***


後日談。
「クドリャフカ君、あの後のバストサイズの経過は聞いたか?」
「はい~」
笑顔をこぼすクド。
「あれから佳奈多さんとご一緒に寝るときはたまに揉みっこをすることがあるのですが、佳奈多さんの胸のサイズは2.5センチもアップしたそうなのです~」
「揉むと大きくなるっていうもんね~」
「小毬さんの言う通りなのですっ。私もこれからボインボインになる予定なのです~」
「ぼいんぼいんのクドか。たのしみだな」
「鈴さん、サンクスです~」

……すごく聞いてはいけない言葉を聞いた気がするけど、それはおいておこうと思う……。