幸せってなんなん?(のんのんびより)作者:m
紹介メッセージ:
ふとmが思ったことをのんのんびよりキャラに代弁していただきました~
#シチュ:駄菓子屋が古くなったお菓子を捨てるのももったいないからと越谷家に持ってきたのだった。
――冬休みのある日。
「ほれ、さっき電話した駄菓子だ」
よいしょと駄菓子屋がこたつの上に膨らんだビニール袋を置いた。
中にはえびせんべいやうまい棒、酢だこさんなど駄菓子が満載だ。
「おお~っ、駄菓子屋、ほんとにいいのんっ!?」
「どうせ古くなって売れないからな。捨てるより食ってもらったほうがいいってもんだろ。――れんげ、そんなに慌てて食うなよ。むせるぞ」
「大丈夫なんっ! 今日はウチ的にフィーバーなんっ!」
「こんなにあればお正月はお菓子食べ放題じゃん、姉ちゃん。これもらいっ」
「あっ夏海! 私もどんどん焼き食べたいっ!」
「おまえら、そんなにがっつくなって……」
「こま先輩、私とビッグチョコ半分こしません?」
「いいの蛍? するする~♪」
「……かわいい……ぽっ」
「なぁなぁ兄ちゃんは何食べる? カップヨーグルト? はい。え、もっと?」
…………。
……。
「食べたー! さすがにもう食べれないっ!」
「夏海、食べてすぐ横になると牛になるよ。はい、次はホタルのばん」
「あやとりって難しいですね。こう…ですか? あれ、あれ?」
「蛍ぶきっちょ。それは私の指だって」
「あっ、間違えました」
「おまえら、せっかくこんなに持ってきたんだから大事に食べろよ。みかんうまいな……」
こたつではみんなのまったりした時間が流れていた。
そんなとき、不意にれんげが口を開いた。
「……幸せってなんなん……?」
「いきなり難しい質問がきましたな……」
こたつに顔をべったりくっつけた夏海。お腹いっぱいのせいかまどろんだ表情だ。
「幸せかぁ。ウチは今幸せだなー。暖かいし。たっぷり遊べるし。駄菓子いっぱい食ったし」
「夏海はいつも幸せそうだよね」
「そういう姉ちゃんはどうなのさ?」
「私? うーん、深く考えたことはなかったけど」
蛍とあやとりをしている小鞠が少し考えるように手を止めた。
「私も幸せかなあ。こうやってみんなと一緒に遊んでるの好きだしね」
にはは、とはにかんだ笑みをこぼした。
「蛍は?」
「私は――」
手元を見ていた蛍の目が小鞠の顔で止まった。
「?」
「……………………ぽっ」
「顔赤いけど、だいじょぶ?」
「あっ! ああっ、えと、だ、大丈夫ですっ! 私はこうしているだけで幸せです」
夏海がこたつに顔をつけたまま、
「兄ちゃんはどうなのさ?」
――バッ
「あーラノベね。えーと、男子高校生のハ……まあいいや。幸せそうに読むよね、ラノベ」
――こくこく。
「んで駄菓子屋は?」
「ん? 金が足りない。一穂センパイと比べるとな。新しいボードが欲しいけど買えないってのもある。不幸せだ」
「大人の直球がきたね、こりゃ」
「こうして聞いてると……」
蛍が考えるように自分のほっぺに指を当てた。
「幸せって自分が満足しているかしていないか、なのかもしれませんね」
「おー、それあるかも」
みかんを頬張りながら夏海が当たり前といったような声を出した。
「ウチはこれで今日のご飯がハンバーグだと大満足だわー」
「子どもはいいよな」
駄菓子屋が大きくため息を吐き出した。
「大人になると隣の芝は青いっつーか、他所様と比べるとどうしても足りない部分が多くなるからな。満足には遠いだろ。それに周りと比べると苦労も多いしな」
「大人って比べてばっかりで大変なのん……」
「まぁな」
「あ、けど」
ぽんと蛍が手を叩いた。
「都会の人はいつも時間がない時間がないって言ってますけど、駄菓子屋さんはいっぱい時間があるじゃないですか」
「……それは暗に駄菓子屋は暇だって言ってるのか?」
「えっ! ち、違いますーっ」
「ま、時間は確かにあるけどさ。時間があったってなぁ。――れんげはどうだ?」
「ウチ?」
「ウチは昨日、みんなと雪合戦をして、雪だるまを作ったのん」
「春になったらあの山の大きな桜の下でお花見に行くのん」
話す都度に、れんげの瞳のキラキラ度が増していく。
「夏になったら海でいっぱい泳いで山でいっぱいセミをとって日記を書くのんっ」
「秋になったら栗をいっぱい拾って、栗ご飯とマロンケーキをみんなで作るのんっ」
「ウチ――」
「幸せなのんっ」
ぴょこんぴょこんと幸せいっぱいで飛び跳ねるれんげが、駄菓子屋の膝の上に乗った。
「駄菓子屋~」
「こらこら甘えるなよ。――……こういうの、幸せなのかもな」
「ん? 聞こえなかったん」
「いや、なんでもない」
***
あとがき
なんとなくこんなことを考えていた電車の中でしたw
自分に満足した状態≒幸せという仮定です。
あなたは今持っているものに満足していますか?
何をしたら満足ですか?
どこまで手に入れたら満足しますか?