その一 ~基礎基本編~(コラム)作者:篝火 稟
紹介メッセージ:
電子ノベルで溢れ変える世の中で、美しく、人より優れた小説を書きたい、全ての若者たちへ。
「これから小説を書きたい」、若しくは「今書いてるよ」という方へ。
小説を書くにあたって、なかなかアクセス数が伸びなかったり、他の作品に埋もれてしまったり……という苦悩を抱えることは、有名人でもない限り、誰でも絶対にあるはずだ。
私も、今、とある二次創作の小説を書いている。
二次創作の小説は、電子小説の中でも特に数が多く、目立たなかったり、読んでくれる人が皆無だったりすることは稀じゃない。
…もっとも、暇潰しのつもりで書いている人が、かなり多いんだけどね。
では、これから、基礎から「美しい」小説の書き方をレクチャーするよ。
「美しい」といっても、これは、決してセンスだけの問題じゃない。
言葉の使い方が「美しい」と、自然と小説も「美しく」なるんだ。
まずは、言葉の使い方からみていこう。
«POINT» 文法に注意!
文法というと、どうしても難しく聞こえてしまうけれど、専門の言葉はあまり使わないから、安心してね。
1.主語や述語をはっきりさせているかな?
小説は、あくまでも自分で書くものだ。
だから、「自分にしか分かって、他人には分からないこと」を、知らず知らずのうちに書いてしまうことは、かなりよくあるんだ。
例を挙げてみよう。
ここでは、人物Aと、人物Bが会話をしているという設定で、文章を比較してみよう。
文章はすべて、人物Aを中心に書かれている。
「なあ、B。 明日、暇?」
「暇だけど、何か用でもあるのか?」
問い返されるなり、いきなり立ち上がった。
「お前、自分が一昨日何したか、分かってるよな?」
「…は? 何の事だよ?」
Bの胸ぐらを掴む。
「試験の時、お前が俺の問題をカンニングしたの、もう忘れたのか!? クラスではもう広まってるんだよ。 あそこなは耳の早い奴らしか居ないからな」
Bは青ざめ、弱々しく答えた。
「…俺は……何も……してない」
「嘘つけ! 俺は学年トップで、お前は中の下だ。 …今まで、俺を信じてた俺が間違ってたよ」
以上の文章で、おかしいところは見つかったかな?
この中で間違いを見つけられなかった人は、自分の知識に危機感を持ってくれ。
述語ははっきりしているが、主語の記述が非常に曖昧で、主語を書いているところと、そうでないところがある。
これは、文章を醜くするだけでなく、読者に誤解を与えてしまうため、非常によくない。
少し説明的に感じるかもしれないが、主語は(面倒くさくても)きちんとつけるようにしよう。
とある人物の目線で書く場合は、主語をその人物に見あったものにするとよい。(『俺』、『私』など)
また、上の場合、台詞(「」の部分)以外の文章の語り口も、その人物の口調に合わせると、違和感がなくなるぞ。
『自分が一昨日何したか』と言っている部分があるが、ここは『自分が一昨日、何したか』に変えた方がよい。
意味の違う漢字を並べると、思わぬ勘違いをしてしまう読者もいるから、やめよう。
『Bは青ざめ』とあるが、ここは『Bは青ざめて』に変えよう。
下手をすると、『B=青ざめ』という理解をされてしまう…ことは稀だろうけど、これは文法的によくないから、覚えておいてほしい。
次回は、今回の補足と、より詳しい書き方を説明するから、楽しみに待っていてくれ。
では、また次回。