※バックアップページです。本体はこちらです。
ロ理樹ちゃんプールへ行く ~4話~(リトルバスターズ)
作者:m

紹介メッセージ:
 世の中には不思議が溢れている。この話もそんな不思議の一つだ。いやなに、別に信じる必要はない。ただ、朝起きたら理気が小さくなっていただけだ。女の子になって…な。

――みんなで遊びに来たここは、市営プールだ。

屋外の25mプールで14コース……だったか忘れたが、めちゃくちゃ広い。



ちなみに朝食後は、理樹がこんなことになったし、行くのはどーしようかという話になっていたんだが

「考えたってわからんものはわからん。だから、遊びに行こう」

と、いつもどーりの恭介の一言であっさりプール行きが決定した。





「――じゃあ、また後でなっ」

今日は泳ぎ倒すぜ、とか絶叫しながら恭介たちは男子更衣室に消えていった。



「よおーし、今日は泳ぎ倒そ~っ」

「泳ぎ倒すのですっ」

「おっ、こまりんもクド公もやる気まんまんだねっ」

「我々も着替えるとしよう」

みんなでおしゃべりしながら、あたしたちも更衣室へと向かった。



――更衣室。

「ふっふっふ……じゃーん!! この日のために買ってしまったのだーっ」

着る前からみんなに水着を見せびらかしている葉留佳。

「うわぁ、はるちゃんの水着かわいい~っ」

「でしょでしょ」

葉留佳の水着は、黒と白のボーダーが入ったタンキニだ。

む~、黒のショートパンツが葉留佳によく似合うと思う。

「おねえちゃんが選んでくれたんだー」

嬉しくてしょーがない、って顔をしてるな。

「私はそうね……プールサイドでくつろがせてもらうわ」

靴下だけを脱ぐ麦わら帽子姿の二木。

「どれ、おねーさんのボディーラインを惜しげもなく披露するとしようか」

「わふーっ!? 来ヶ谷さんが白のビキニを着こなしいますっ!! 途方もなく大人な感じなのですーっ!!」

「姉御、相変わらず特盛ですナ…」

「はっはっは、よせよ。照れるじゃないか」

「みなさん、私の水着姿はいかがでしょうかっ」

クドは、オレンジのキャンディーカラーのタンキニタイプの水着に、フリフリのスカートを着けている。

「うん、クドらしくてかわいい」

「……その色合いのロリっぽさが、また一段と良い感じです」

「わふーっ、鈴さんと西園さんに褒められてしまいましたーっ」

「くそっ、スクール水着じゃないのかっ」

来ヶ谷はわけわからんことで、激しくガッカリしている。

「……競泳用水着ですが、何か?」

みおはものの見事に競泳用だ。

「……西園女史……」

「……来ヶ谷さん……」



――がしっ



よくわからんが握手を交わしている。

二人の間に何かが生まれたようだ…。

「私たちはこの前二人で水着買いに行ったんだよね~、りんちゃん」

「うんっ」

「ビキニですよっ」

「ビキニだなっ」

小毬ちゃんの水着は、黄色のビキニだ。花柄がとても可愛い。あたしが選んだんだ。

あたしのは、オレンジで縁がエメラルドグリーンのビキニだ。こまりちゃんに選んでもらった。

「……」

「……」



――ごそごそ、もそもそ、ごそごそ、もそもそ、ごそ



「……」

「……」

「うわあ~ん、りんちゃん、背中のヒモ結んで~っ」

「うみゅ…こまりちゃん、首のとこのヒモ結んでくれ…」

どっちもビキニは着慣れてなかった…。



「――で」

「?」

みんなの注目が理樹に集まった。

もちろん理樹は、こっちの更衣室だ。

「理樹君は……水着があるのか?」

「うんっ、きょうすけが持たせてくれたよ。えーっとね…」



――ごそごそ。



「これだよっ」

理樹が袋から取り出した水着は…。

「やっぱりスクール水着だね~」

「はい、やはりスクール水着なのですっ」

「案の定、スクール水着か」

「……予想通り、スクール水着ですか」

「思った通りスクール水着ですネ」

「まさかとは思ったけど、スクール水着ね」

「うちの馬鹿兄貴はやっぱり馬鹿でロリコンだったか…」

正直、妹として恥かしい…。

「あ、後ね、これも持たせてくれたっ」

……浮き輪だった。





「ふふふ~」

水着に着替え終わった理樹が、肩から羽織ったバスタオルを胸の前で交差させて全身を隠した。

そして、とてとてとあたしたちの前に歩いてくる。

「どうしたんだ、理樹?」

「んとね、ふふふ~」



――ばさーっ



理樹が羽織っていたバスタオルを脱ぎ捨てた!

「じゃじゃ~んっ」

スクール水着を着た理樹が姿を現す。

なるほど。

きっと、理樹もあたしたちみたいにお披露目をやりたかったんだな。

着替えるところを見ていたから水着姿を隠さなくてもいい気がするが、理樹も女の子だし複雑な乙女心に違いない。

「水着、似合ってるかな?」

腰に手なんか当てちゃって、ちょっとおませさんなポーズだっ。

「うわああぁ~、理樹ちゃん、とっても似合ってるよ~」

「まるでリキのために作られた水着のようです~」

「うん、とってもキュートだぞ」

「ほんとっ? うわ~いっ」

よっぽど嬉しかったのか、

「…えへへっ」

理樹は嬉しそうに鏡に向かって、横を向いたりしながら自分の水着姿を入念にチェックしている。

「いやあ、こういうのを見ると……」

頭をポリポリかく葉留佳。

「なんだか恭介くんの気持ちがわかってきますナ……」

「……やはり生のスクール水着は迫力が違います……」

葉留佳もみおも、ぽ…としながら理樹を見ている。

「な、直枝……かわ……」

ぽや~っとしている二木と目が合った。

「ハッ!?」

「……かわ……川中島の戦いは激戦だったようね」

すごい言い訳だった!

「……」

しかも「ごまかしきれたかしら?」みたいな目でこっちをチラ見してきているっ!



「……………………………………うむ」

来ヶ谷が一歩を踏み出そうとした。

「ダメだぞ」

「ダメだよー」

「……ダメです」

「ダメですヨ」

「ダメなのですっ」

「ダメよ」

「なんだ人を変態扱いして」

プンスカする来ヶ谷。

こいつ、自覚なかったのか…。

「ちょっと理樹君をお持ち帰りしようとしただけじゃないか」

やっぱり来ヶ谷はダメだっ!