じゃんけんが行われ、勝ったのは――
「私なのですーっ!」
わふーとクドが飛び上がった。
う、うーん。
クドで大丈夫なのかなぁ。
「「「「「…………」」」」」
みんなも決まったのはいいけどクドを見て冷や汗を流している。
「ね、恭介…」
「いや、決行だ!」
言い切った!
「ささ、リキ」
僕の前でしゃがむクド。
「私の背中に乗るのですっ!」
こちらに向けた顔はすごいドヤ顔だ!
目なんかキラキラとお星様を飛ばしてるし!
ううう、断るのは逆に悪い気がする……。
「じゃ、じゃあ」
クドの首に手を回した。
「くすぐったいのです~っ」
「わわ、そ、そんなに動くと…えと…」
「リキのお胸が背中でムニムニしています!? 全くけしからんのですっ! ぷんぷんっ!」
「これパットだしそんなこと実況しなくてもいいからぁーっ」
「それではおしりをお持ちますね」
「え、いや――ひゃっ!?」
小毬さんたちから「クーちゃん、がんばってー!」「全くけしからん。うらやましいぞ!」「……来ヶ谷さん、本音が漏れています」と応援が飛んでいる。
「リキ、準備は良いですか?」
「う、うん。クドこそ大丈夫?」
「よゆーですっ」
そういうとクドが……
すっくと立ち上がった!
「どうですか、みなさんっ!」
「「「「「おおおおーーーー……おー……?」」」」
みんなの驚きの声は尻すぼみだ。
それもそのはず……。
僕の脚もしっかりと地面に着いている……。
クドが立ち上がり、クドの首に手を回した僕が一緒に立っている。
クドは僕を背負っているつもりなのか僕のおしりに申し訳程度に小さな手が添えている。
「リキ、いきましょうっ」
「え? う、うん」
「リキは存外軽いのです~」
――すたすたすた。
「クド、もう少しゆっくり歩いてもらっていいかな」
「あ、はい」
――すたすたすた。
後ろからクドの首に手を回した僕と、僕のおしりに手を添えているクドが一緒に歩く。
「まるで普通に歩いているかのようです~」
――すたすたすた。
「うん……」
――すたすたすた。
「なぁ謙吾」
「なんだ真人」
「オレには二人羽織しているようにしか見えないんだが」
「奇遇だな、俺もだ」
ごめん、僕もそんな気分だ。
「えろくないか?」
「えろくないよっ!」
来ヶ谷さんの脳内はそればっかりだった!