――ここは市民プールだ。
6月上旬ということもあり、客足はまばらだ。
「きょうすけ…や、やっぱり学校指定の水着じゃ…は、はずかしいよ…」
「けどな理樹、まだシーズン前でどこにも水着が売ってなかったじゃないか」
「そ、そうだけど…っ」
理樹は学校指定のスクール水着に身を包み、辺りを気にしながら恥かしそうにもじもじとしている。
「…………」
「どうしたの、きょうすけ?」
「あ、いや…なんでもないさ」
見た目が幼い理樹には……スクール水着がよく似合っている。
こんなことを考えるから(21)とか言われちまうんだろうな。
けどな、こればかりは仕方ないだろ?
天下一品のロリロリバデーを誇る理樹。
その理樹がスクール水着に身を包み、恥かしげに足をもじもじさせながら、あの大きな瞳をうるうるさせながら上目遣いで見てきてるんだぜ?
俺じゃなくても今の理樹を見たら「萌え~」と叫んじまうさ。
理樹は俺が目を離している間に、プールサイドに座っている。
「♪」
プールサイドに腰を掛けながら楽しそうに足をじゃぶじゃぶ。
「えいっ」とか言って、時折水を蹴り上げている。
俺も理樹の左隣に腰を下ろして足だけプールへと沈めた。
「きょうすけ」
「どうした?」
「どこまで水を飛ばせるかきょーそうしようよ」
「俺に水飛ばしっこ対決を挑むのか?」
「うんっ」
屈託のない笑顔が俺に向けられる。
「じゃあ、ぼくからいくね」
「ああ」
「ていーっ」
――じゃばーっ!
理樹が楽しそうに、スクール水着から伸びる白く可愛い足を目一杯伸ばして、水を蹴り上げた。
「……」
少し、そんな楽しそうな理樹に萌えちまった。
「ほらほら、きょうすけ? どう、けっこう向こうまで飛んだよっ」
目をキラキラとさせて嬉しそうな笑顔を向ける理樹。
「甘いな、理樹…今ので満足しちまってもいいのか?」
理樹に不敵な笑みで応戦する。
「え!?」
「それで俺に勝てる気でいるならいいが…あと一回くらいチャンスをやってもいいぜ? どうする理樹?」
本当は、俺がもう一回あの理樹の楽しそうに水を蹴り上げる様子を見たいだけだが。
「も、もう一回ぼくがんばるよっ」
理樹が「よーし」と少しだけペロッと舌をだして、
「いくねっ」
気合いを入れる。
「とりゃぁーっ!」
思いっきり足を蹴り上げる理樹。
勢いで細っこい足が高らかに上まで上げられる。
それは上げすぎだ、と思ったのも束の間
「わわぁーっ!?」
――ばちゃーんっ!!
理樹は高く上げた足のせいで、そのままくるっと引っくり返ってブールに落っこちた。
「おい、理樹大丈夫か?」
「――ぷはっ」
水面から顔だけ出すと、
「むむぅ~っ」
落っこちた理樹は、恥かしかったのか耳まで真っ赤にして、ふくれっ面で俺を睨んできた。