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初春・佐天、やっぱりそんな関係 (とある科学の超電磁砲)
作者:m (http://milk0824.sakura.ne.jp/doukana)

紹介メッセージ:
 どうやらあの二人の関係は思っていたより深いようで……。

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――とある日の放課後。

「やっほー、初春っ! 今日も遊びに来たよーっ」

 風紀委員(ジャッジメント)第177支部のドアが勢いよく開かれた。

「あ、佐天さん」

 黒のロングヘアをなびかせ元気よく入ってきたのは佐天涙子。天真爛漫を絵に描いたような女の子だ。



「お、初春の頭は今日も今日とて満開だね」

「そういう風に言われると、私の頭がちょっとおかしいみたいじゃないですか」



 パソコンデスクの前で頬を膨らませているのは初春飾利。佐天とは同い年だが背が低いせいか、丸っこい肩のラインのせいか、年下にも見える。頭の上に大げさな花飾りをつけているので、遠目から見ると花瓶が歩いているようだ。そのせいで『歩く花瓶』なんという二つ名を持っているほどだ。

 そんな初春であるが、彼女は学園都市を守る風紀委員(ジャッジメント)の一員である。



「あれ? 今日は初春だけ? 他の人たちは?」

 佐天が支部に入り辺りを見渡すが、いるのは初春だけ。

「はい、白井さんも固法(このり)さんも今は外出中です。今日は戻らないで直帰するかも、と言っていました。――佐天さん、コーヒーでいいですか?」

「あ、うん。砂糖1個とミルクつきでお願い。それと…」

 そう言いながら、佐天が台所へ立った初春の背後へと近づく。

 その手が初春のスカートに掛けられ…

「コーヒー前のデザートをいただきっ!」



――ばふぁっ…



 膝丈より長いスカートがフワリと上へと舞う。

「…!?」

「へぇーっ、白のレースかあ。大人になったじゃん」

 慌ててスカートを押さえるが時すでに遅しだ。

「さっ、佐天さんっ!? いきなり何するんですかーっ!」

「なんかさ、制服で台所に立ってた初春を見たらムラムラしちゃってさ」

「そんなオジサンみたいなことを言わないでくださいっ! もう、佐天さんはっ」

「いやぁ、ごめんごめん」

「それ、全然気持ちがこもってないです。…はい、コーヒーができましたよ」



 入れたてのコーヒーとお菓子を二人で運び、ソファへと並んで腰を下ろした。

「あぁ、美味しいっ」

「やっぱり初春の淹れたコーヒは最高だね。淹れ方の研究とかしてたりする?」

「はい、美味しいコーヒーで先輩達の疲れをとってあげるのも私の仕事ですから」

 褒められたのが嬉しかったのか、はにかみながら初春はコーヒーをすすった。

「ところでさ、初春…」

「はい?」

 佐天がジリジリと体を初春に寄せ、その腕に手を回した。

「あたしも今日はなんか疲れちゃってさ。初春にこの疲れをとってほしいなぁ…」

 回された手が初春の手を取り、指と指を絡ませる。

「佐天さん、どうしちゃったんですか?」

「だってさ…」

 初春の腕に頬ずりを始めた。

「今日は初春忙しくて、一緒にお昼食べれなかったしさ…。それに帰りも白井さんに呼ばれてすぐ帰っちゃったじゃん…」

 絡んだ指が艶かしく動かされる。

「あたし、すごい寂しかったんだよ…?」

「佐天さん…」

「ねえ、初春……」

 佐天が顔を上げ、さらに初春に体を密着させた。

 甘い吐息と鼻に掛かったような声が初春をくすぐる。

「こんなに我慢したんだからさ、ちょっとくらいご褒美くれたっていいんじゃないかな…?」

 人差し指が愛おしそうに初春の唇を撫でた。

「もう…佐天さんは寂しがり屋さんなんだから」

 クス、と初春が笑い、その手を佐天の首へと回した。

「こんな溶けちゃいそうな佐天さんがとっても愛おしいです」

 初春の空いている方の手が、佐天の頬を陶器を触るように撫でる。

「ういはるぅ…」

 そのまま二人の少女の唇と唇が近づき…。



――ちゅっ



 重なった。

 そして余韻を残すようにゆっくりと離された。

「……今日いっぱい我慢したご褒美です」

「……頭、真っ白になるほど気持ちい……」

 溶けてしまいそうなほどの佐天の顔が初春の心を刺激する。

「まだ、たりないよ…」

「もう一回……しますか?」

 何も言わずに佐天が唇を寄せてきた。

「もう、佐天さんは我がままですね。あと一回だけですからね」



――ちゅっ。



 先程よりも強く抱き寄せ、先程よりも長く長く唇を重ね合わせた。



 だが、そのとき予想外のことが起きた。



――バタン!



 突然177支部のドアが開け放たれた!

「はぁーっ! 誤報ですわ、誤報! もうわたくし、くったくたですわっ!! 初春ーっ、悪いですけど美味しいコーヒーをわたくしに……へ?」

――ちゅぷっ

「…んっ……え?」



 重なるように抱き合い、唇をようやく離した初春と、何も知らずにズカズカとソファへ寄ってきた白井の目が合った。

 それはもうバッチリと。



「……」

「……」

「……う、う、うい、うい…」

 金魚のごとく口をパクパクしている白井。声も出ないとはこのことだ。

「……あ、し、しし、白井…さん?」

 初春は初春で、あまりの驚きで佐天を抱き寄せたままだ。

「だ、だだだ…っ」

 白井の髪の毛が徐々に逆立ち、ついに爆発した!

「だはああああああああああぁぁぁぁーーーっ!? なななななななななな何を、な、何をやってますのぉぉぉぉぉーーーっ!?」

「ししっしし白井さん!? きょっ、今日は帰ってこないんじゃなかったのですかーーーっ!?」

「帰ってきましたわ!! めちゃくちゃ帰ってきてますわっ!! それがなななな、あなたは何を…じゃなくて、それ以前に女性同士で何してやがりますのーーーっ!?」

「こ、これはそのっ」

「その前に人が話してるんだから離れなさいなぁぁーーーっ!! キィィィーーーーっ!!」

「ひやあああぁぁぁーーー!? 白井さんっ、そんなテレビとか本棚とか飛ばさないで下さいーーーっ! ひぃっやっ!? さ、佐天さんもクッタリしてると死んじゃいますよーっ!」

「…はあぁあぁ、あたし…もう気持ちよすぎてどうでもいい…」

「佐天さんーっ!?」

「ムキィィィィーーーーっ!! どんだけテクニシャンなのですのっ!? 腹が立ちますわっ! ここで死になさいなぁぁぁーーーっ!!」

「ひやぁぁぁぁーーーっ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいーーーっ!」


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